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» 2021年02月24日 06時00分 公開

フラグシップとエントリーの実力はいかに? 「Ryzen 9 5950X」「Ryzen 5 5600X」をベンチマークテストでチェック(1/2 ページ)

Zen 3アーキテクチャを使ったデスクトップ向けの「Ryzen 5000プロセッサ」が人気を博している。その最上位モデルである「Ryzen 9 5950X」と、エントリーモデルである「Ryzen 5 5600X」の実力をベンチマークテストを通してチェックしてみよう。

[松野将太,ITmedia]

 AMDが2020年10月に発表した、デスクトップ向けRyzen 5000プロセッサ。ITmedia PC USERでは2020年11月、「Ryzen 9 5900X」と「Ryzen 7 5800X」の実力をチェックした。

 この記事では、2021年2月現在におけるデスクトップ向けRyzen 5000プロセッサの最上位モデルとなる「Ryzen 9 5950X」と、エントリーモデルである「Ryzen 5 5600X」の実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。以前の記事と合わせて参考になれば幸いだ。

パッケージ Ryzen 9 5950X(左)とRyzen 5 5600X(右)のパッケージ。先に紹介した2製品と同様に、デスクトップ向け第3世代Ryzenプロセッサと同様のデザインとなっている。

Zen 3アーキテクチャを採用 Ryzen 5 5600XはCPUクーラー付属

 デスクトップ向けRyzen 5000シリーズプロセッサは、現時点において全て7nmプロセスの「Zen 3」アーキテクチャを採用している。CCX(CPUコアユニット)におけるL3キャッシュの構成の変更や実行ユニットの改善などを施すことによって、IPC(クロック当たりの処理命令数)を先代の「Zen 2」アーキテクチャから最大で19%改善している。

ラインアップ デスクトップ向けRyzen 5000プロセッサのラインアップ(PCメーカーにのみ供給されるモデルを除く)

 その最上位モデルであるRyzen 9 5950Xは、16コア32スレッド構成だ。動作クロック(周波数)は3.4GHz〜4.9GHzと、以前紹介したRyzen 9 5900X(3.8GHz〜4.8GHz、12コア24スレッド)よりもベースクロックは控え目でブーストクロックもわずかだ。ただし、TDP(熱設計電力)は105Wに据え置かれ、L2キャッシュは2MBほど多くなっている。

 Ryzen 9 5950Xの税込み実売価格は、2月22日現在でも10万円を超える。非常に高価なCPUであり、基本的にはコアやスレッド数が物を言うクリエイティブ用途でこそ真価を発揮するモデルといえる。ただし、店頭で見かけたら「ラッキー」かもしれないレベルで、流通在庫は不足傾向にある。

Ryzen 9 5950X Ryzen 9 5950Xの外観。引き続きSocket AM4を使用するため、従来のデスクトップ向けRyzenプロセッサと見た目は変わらない

 記事執筆時点のエントリーモデルであるRyzen 5 5600Xは、6コア12スレッド構成となっている。動作クロックは3.7GHz〜4.6GHzで、TDPは他モデルより低い65Wに設定されている。

 税込みの実売価格は5万円弱と、Zen 3アーキテクチャのCPUとしては一番手頃でもある。また、Ryzen 9 5950Xと比べると流通在庫は潤沢なようで、自作系メーカーのBTO PCでも採用が広がっている。シングルスレッド性能が大きく向上したことも鑑みると、ゲームを含む幅広い用途で便利に使えるCPUであるともいえる。

 なお、Ryzen 5 5600XにはAMD純正のCPUクーラー「Wraith Stealth」が付属する。Ryzen 5000シリーズの他モデルは別途CPUクーラーを用意しなければいけないので注意しよう。

Ryzen 5 5600X Ryzen 5 5600Xの外観
Wraith Stealth Ryzen 5 5600Xに付属するWraith Stealth

驚異的マルチスレッド性能の5950X、コスパがとても良い5600X

 早速だが、Ryzen 9 5950XとRyzen 5 5600Xの実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。

 今回のテストは「AMD X570」チップセットを搭載するマザーボードに最新のUEFI(BIOS)を適用した状態で行った。CPUクーラーは240mmラジエーター搭載のオールインワン水冷ユニットを用いて、GPUはAMDの「Radeon RX 6900 XT」を搭載した。PCI Expressバスを通してCPUがグラフィックスメモリに直接アクセスする「Smart Access Memory(SAM)」は“有効”としている。

環境 ベンチマークテストを行う環境の仕様
CPU-Z(その1) 「CPU-Z」で取得したRyzen 9 5950Xの情報
CPU-Z(その2) CPU-Zで取得したRyzen 5 5600Xの情報

CINEBENCH R23

 まず、CPUを使ったレンダリング性能を計測する定番のベンチマークテストアプリ「CINEBENCH R23」の結果を見てみよう。スコアは以下の通りとなった(前段がマルチスレッド、後段がシングルスレッド)。

  • Ryzen 9 5950X:2万5940ポイント/1607ポイント
  • Ryzen 5 5600X:1万1521ポイント/1533ポイント

 前回のテストでは「CINEBENCH R20」を使って計測したため、スコア自体の連続性はない。ただし、今回のテストでもシングルスレッド性能の良さはうかがい知ることはできる。Ryzen 9 5950Xは“16コア32スレッド”のパワーを生かして、マルチスレッドにおいてRyzen 5 5600Xの2倍以上のスコアをたたき出している。

 12コア24スレッドのRyzen 9 5900XでCINEBENCH R23を実行すると、マルチスレッドスコアは2万ポイント程度である。マルチスレッド性能において20%前後の差があることので、「マルチスレッド性能こそ命」という人なら、高価でもRyzen 9 5950Xを選ぶ価値はあるだろう。

CINEBENCH R23 CINEBENCH R23の結果

 CINEBENCH R23では、テストを5回連続で実行した場合のCPU温度の推移と、平均実効クロックも計測した。

 ベンチマーク中の実効クロックはRyzen 9 5950Xがおおむね3.9GHz前後、Ryzen 5 5600Xが4.46GHz前後となる、テスト中はおおむねブレることなく推移する。CPU温度はRyzen 9 5950Xが最大でも65度に届かず、Ryzen 5 5600Xはさらに低い最大60度以下で推移した。

 TDPの低いRyzen 5 5600Xはともかく、Ryzen 9 5950Xも思ったほどには高温にならなかった。全コア駆動時でもクロックがそれほど高くならないため

だと思われる。この温度推移を見る限り、280mmラジエーター搭載の水冷CPUクーラーならRyzen 9 5950Xを十分に冷やせそうだ。

平均実効クロック CINEBENCH R23を5回連続で実行した際の平均実効クロックの推移。Ryzen 9 5950Xは早くテストが終わるので、早くグラフが終息している(CPU温度のグラフも同様)
平均温度 CINEBENCH R23を5回連続で実行した際のCPU温度の推移
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