トロンボーン奏者の中川英二郎氏が語る音楽/起源/進化、そしてテクノロジー:「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」と「Apple Music Classical」の関係(1/4 ページ)

» 2024年05月02日 15時30分 公開
[林信行,ITmedia]

 5月3日〜5日、東京都にある東京国際フォーラムでクラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」(LA FOLLE JOURNEE TOKYO)が開幕する。1公演45分、約1500円〜と低価格で朝から晩まで楽しむことができるスタイルで人気となり、東京でのイベントは2005年から2023年で延べ884万人が来場し、世界最大級の音楽イベントとなっている。

 Appleは同イベントとコラボレーションをしており、「Apple Music」アプリでプレイリストを提供している他、4月25日には同イベントで2公演を行う日本のトップトロンボーン奏者で、作曲も行う中川英二郎氏と音楽ジャーナリストの田中泰氏をゲストに迎えたイベント「Today at Apple:中川英二郎と田中泰が探る、音楽の起源と進化する楽しみ方」を開催した。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO Apple 丸の内で開かれたイベント「Today at Apple:中川英二郎と田中泰が探る、音楽の起源と進化する楽しみ方」。トロンボーン奏者の中川英二郎氏と音楽ジャーナリストの田中泰氏との対談に加え、中川氏の生演奏やApple 丸の内スタッフとのセッションなどが行われた

中川英二郎氏の音楽的オリジンとは

 2024年1月のリリース以来、Appleが力を入れているiPhone/iPadそしてAndroidにも対応したクラシック音楽を楽しむためのアプリ/サービス「Apple Music Classical」。LA FOLLE JOURNEE TOKYOが同サービスの公式キュレーターの1つになっていることから、イベント会場である東京国際フォーラムにも近いApple 丸の内で今回のイベントが開かれることとなった。

 イベントは、音楽ジャーナリストの田中泰氏がラ・フォル・ジュルネの概要を紹介して幕を開けた。本国のフランスでは1995年に始まった音楽の祭典で、2024年はフランスで30回目、2005年にスタートした日本でのイベント(当時の名称はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン)として20回目の開催ということもあり、今回は「ORIGINES(オリジン)ーすべてはここからはじまった」がテーマだという。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO クラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」が東京国際フォーラムで開催される

 Today at Appleのイベントに登場した中川英二郎氏は、「新しい物好き」を自称し、Apple直営店にはニューヨークに住んでいた頃から新製品を見によく訪れていたというが、Apple 丸の内は今回のイベントで初めて訪れたという。

 店内の周囲を竹で囲い、中央に吹き抜けがある開放的な空間を気に入ったようで、このストアの空間に合った3曲を選んで演奏した。オリジナル曲の「Boot City」と「Rodeo Clown」、そして「Czardas」(チャルデイッシュ/ヴィットーリオ・モンティ作曲)の3曲だ。2曲目のRodeo Clownは、準備中にApple 丸の内スタッフの1人がトランペット奏者だったことが分かり、急きょ共演する形となった。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO Apple 丸の内で開催されてイベントで、同店スタッフ(右)と共演する中川氏(左)

 演奏後は、田中氏との2人によるトークが始まった。中川氏はそもそも、なぜトロンボーンを吹き始めたのか。音楽一家に生まれた中川氏の家にはトランペット奏者である父、中川喜弘氏が吹くトランペットはもちろん、あらゆる楽器があったという。

 幼稚園の頃にはアルトサックスをプレゼントしてもらい、小さい頃はドラムに興味を示していたというが、たまたま親が友達に貸していてトロンボーンがなかった。父のバンドがベニーグッドマンの「Sing Sing Sing」を演奏するのを見て、妙に伸び縮みする楽器に衝撃を受け、親に「あれをやる」と言ったのがトロンボーンの道を進む最初のきっかけだったという。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO 田中氏(左)と対談する中川氏(右)

 20代後半の4年間は一度、自分を見つめ直す意味を含めて演奏を離れ、ニューヨークに住んで作曲家を目指した時期もあったという。しかし、その間に改めてトロンボーンの魅力に気がつき、30代に入ってからは自分の人生の核となる「侍BRASS」などのグループ活動を始めたそうだ。

 そんな中川氏の音楽的オリジンは、ディキシーランドジャズだという。

 「アメリカで生まれたジャズですが、その中でもルーツと言われるのがディキシーランドジャズです。ニューオリンズの発祥で、奴隷解放後のアメリカで4分の3拍子のアフリカのリズムと西洋の12音階が結びつく形で生み出された(中略)。どんどん速くなっていくスイングや人々が踊りたくなるような躍動感がジャズの1番の醍醐味」だという。

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