5月7日に開催されたApple Eventで、一新されたiPadシリーズのラインアップ。最新モデルの先には、どんな展望が見えているのだろうか。
M4チップ搭載の「iPad Pro」と「Magic Keyboard」、従来通りの11インチ版だがM2チップ搭載の「iPad Air」、そして「Apple Pencil Pro」の実機を試す機会を得たので、しっかりと検証を行い分析と推察をまとめた。
まずは、二律背反するはずの高性能化と薄型化を同時に実現した新型iPad Proから検証したい。
気になるのが、約5.1mm(13インチモデル/11インチモデルは約5.3mm)と劇的に薄くなった本体デザインと、明るさおよびコントラスト比が向上したディスプレイ、そしてMacでも未採用のM4チップを搭載したことだ。
まずは薄くなった本体デザインから見ていこう。11インチモデルで約5.3mm、13インチモデルでは約5.1mmという薄さは、Appleがこれまで出してきたデジタル製品の中で、最薄でiPhoneやApple Watchよりも薄くなっている(本体が大きい分、バッテリーや部品を平たく配置できる)。
とはいえ、従来製品との薄さの違いは1mm強しかない。見る角度によっては、それほど薄く見えないこともある。ただ100g近く軽くなっていることもあると思うが、手に取ると、その瞬間「薄い!」と感じる。これまでのiPad Proを持ったことがある人は、なおさら強くそう感じるはずだ。
実物を触るまでは、薄くなった分、折れ曲がりやすくなったのではないかと心配していたが、モノとして引き締まったような印象を受け、ボディーの剛性に不安を感じることはなかった。
残念ながら、今回借用した製品で本格的な耐久性テストや曲げのテストをすることはできないが、手で軽く折り曲げたり、ひねったりして力を加えた限りでは、これまでの製品と比べて特別に剛性が落ちたという印象はない。もちろん、薄い製品なだけに無理に曲げようとすれば折り曲がるだろうし、思わぬ事故で曲がってしまうこともあるだろう。
しかし、普通に使っている際に関わる負荷に関しては、Appleも全ての製品でこれまで行ってきた耐屈曲試験などを行っているはずだ。もし日常使いで折れ曲がることが多ければ、Apple自身が製品の修理や交換などで出費がかさむことになるし、その辺りはしっかり対応できていると考えたい。
続いて、本製品が初採用となるM4チップを検証していこう。今回、定番の性能検証アプリである「Geekbench 6」と、同じ開発者によるApple Neural Engineを用いたAI関連の処理を検証できる「Geekbench ML」の2つのアプリを使って徹底的な検証を行った。
比較対象として、同時デビューのM2搭載iPad Airの性能を基準値に、それと比べて何倍の性能を発揮するかを検証した。テストの方法や結果については下記の囲みを参照してほしい。
今回、Geekbench 6とGeekbench MLを4つのデバイスで試した。今回のレビュー対象であるM2版iPad AirとM4版iPad Pro、前モデルのM2版iPad Proだ。そしてiPadにM3搭載モデルがないために、M3チップの比較用にM3搭載iMacでもテストを行った。
GeekbenchとGeekbench MLの全てのスコアにおいてM2版iPad Airの性能を基準値、つまり「1」として、他の3製品が何倍の性能を発揮したかをグラフにしている。実際のスコアが知りたい人のために全スコアをまとめた表も用意した。
コンピューター処理は、単にプロセッサの能力だけで決まるものではない。iPad AirかProかあるいはMacかによってプロセッサが利用できるメモリの容量も異なっており、それらによって厳密な比較は行えないが、今回は割りきっている。ただし、プロセッサの基礎体力とも言えるシングルコアの性能でもM4は他のモデルと比べて大きな差を見せつけた。これは遠からず登場するであろうM4チップ搭載Macの性能にも期待が持てそうだ。
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