各モデルのスペックの違いをおさらいしてみよう。
ディスプレイ技術で最も難しいのが、暗いところを真っ暗に、明るいところをとても明るくみせる明るさのコントラストの表現だ。
旧モデルのiPad Proでも、このコントラスト比が素晴らしく100万:1を実現していたが、新型iPad Proのコントラスト比は200万:1と、新モデルは旧モデルに対して明暗差の表現力が倍増しているのだ。
では、どれだけ画面を明るくできるのかというと最大の明るさは1600ニト、実はこの輝度は旧モデルと変わっていない。ということはその分、暗い箇所の表現性能が豊かになっていると考えられる(し、実際に暗い箇所もきれいなグラデーションが描かれている)。
ちなみに、この1600ニトの輝度が発揮されるのは、表示する写真や映像がHDR撮影されていることが条件で、これに対応していないカメラで撮影した写真や映像、iPhoneで撮影したがそこまで明暗さがなかった写真などでは、SDR(Standard Dynamic Range)というフォーマットで記録されるが、実は新型iPad ProはこのSDRの表示でも威力を発揮する。SDR表示時の輝度は前モデルでは最大600ニトだったが、新モデルでは1000ニトになっており、通常のイメージもより明るい表示で楽しめるのだ。
おそらくタブレット史上最高のディスプレイには、映像プロフェッショナルをうならせるもう1つの機能がある。「リファレンスモード」という機能だ。
最近では、カメラマンや映画監督などが現場で写真や映像の確認用にiPadを使うことが増えてきている。確かにこれまでのiPad Proでも、業務用のモニター機器並みに色表現などが正確で信頼性は高かったが、画面表示の色域などの調整まではできなかった。しかし、新型iPad Proでは「リファレンスモード」という機能が追加され、画面表示のホワイトポイントや輝度などを調整できるようになっている(ただし、このモードを使うと、バッテリー動作時間に影響が出るとされている)。
さらにストレージ容量が1TBと2TBのモデルでは、反射の少ないNano-textureガラスもオプションとして選ぶことができる。
最高峰のディスプレイと最高峰のプロセッサを備えつつ、製品としてはさらに薄くなったiPad Proは、さまざまなクリエイティブプロフェッショナルの働き方に大きな変化をもたらすことになるだろう。
なお、新型iPad Proは全ての側面で進化しているわけではない。カメラ機能に関しては、これまで内蔵されていた超広角レンズが省かれている。ただiPad Proユーザーの多くが超広角レンズのついたiPhoneを使っており、両者がHandoff機能やAirDrop、iCloudで連携できることを考えると、実はiPad Proに超広角レンズはそもそも不要だったのではないか、という声もよく聞く。
実際、筆者も超広角で撮る時には、小回りの利くiPhoneで撮っていることが多く、iPad Proで超広角撮影をしたことはほとんどなかった。
カメラといえば、ビデオ会議などに使うフロントカメラは長辺の側に移動したため、本体をMagic Keyboardや他のカバー製品を使って横向きに置いた際、ビデオ会議の相手と視線の方向が合いやすくなっている。
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