iPad Airは、業務品質のディスプレイや周辺機器は不要だが、それでもある程度のパフォーマンスは欲しいというバランス重視の人のためのiPadだ。ただし、値下げで4万円の価格差が生まれた標準iPad(第10世代)との比較もかなり気になるポイントだ。
バランスの良さがiPad Airの魅力だ。しかし、円安と第10世代iPadの値下げの相乗効果で4万円の価格差がつき、iPad ProにするかAirにするかの悩ましさに加え、標準iPadにするかiPad Airにするかという新たな悩みが加わっている3種類のiPadの一番大きな違いはプロセッサだ。iPad Proは既に述べたように、未来が楽しみなM4チップを装備する一方、iPad AirはiPad Proの前モデルが採用していたM2チップを搭載している。そして標準iPadは、これまでのiPadでスタンダードだったAシリーズのプロセッサ、A14 Bionicを備える。
3モデルのもう1つの大きな違いは、ディスプレイ性能だろう。いや、ディスプレイの大きさの違いもある。標準iPadは10.9インチのモデルしかないが、iPad Airでは従来の11インチに加えて新たに13インチモデルが選べるようになった。iPad Proはもともと、11インチと12.9インチの2サイズが用意されていた。
画面の性能も異なっていて、iPad Proのディスプレイは既に述べたように業務モニターに近い品質を実現している。
iPad Airのディスプレイは最大輝度が600ニト(13インチモデル/11インチモデルでは500ニト)で1000ニトのiPad Proほど明るくはない。また、明暗のコントラストが大きいXDRの表示にも対応していない。
標準iPadはこのiPad Airのディスプレイと基本同じものだが、反射防止コーティングなどが省かれており、色の表現もPCで一般的なsRGBという基準に沿っている(それでも普通の人は十分満足できるきれいな表示を楽しめる)。
他にiPad Proは、ディスプレイや高速な外付けSSDが接続できるThunderbolt端子となっているが、iPad Airは普通のUSB Type-C端子で使える周辺機器となり、スピーカーもiPad Proが4基のスピーカーで4基のスタジオ品質のマイクを備えているのに対して、iPad Air以下は横向きに構えた時だけステレオになる2スピーカーシステムになっていたり、顔認証のFace IDではなく指紋認証のTouch IDになっていたりという違いがある。こうしたことを残念に思う人たちは、少し頑張ってiPad Proを選んだ方が良い。
では標準iPadではなく4万円多く払って、iPad Airを選ぶべき人はどんな人たちだろうか。
まず13インチの大きな画面を選びたい人は、iPad Airを必然的に選ぶことになる。それから高速なM2チップを必要としている人もiPad Airを選ぶことになる。ビデオ編集をする人には絶対にM2搭載のiPad Airの方がオススメだし、グラフィカルなゲームを楽しみたい人にもAirをお勧めしたい。
他にも、Wi-Fi 6Eの無線LAN(標準iPadはWi-Fi 6)やカメラ性能が少しだけ良いこともiPad Airの魅力だが、標準iPadとiPad Airの一番大きな差は512GBや1TBの大容量モデルが選べることと、最新のApple Pencil Proが使えることだと筆者は考えている。
単に動画の再生や電子書籍の閲覧、メールやWebのチェックやノートを取るためだけであれば標準の第10世代iPadで十分だ。
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