トロンボーン奏者の中川英二郎氏が語る音楽/起源/進化、そしてテクノロジー「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」と「Apple Music Classical」の関係(4/4 ページ)

» 2024年05月02日 15時30分 公開
[林信行ITmedia]
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新しい掛け合わせの中から次の時代が生まれる

 Apple Music Classicalで「中川英二郎」を検索すると、アーティストでトロンボーン奏者としての中川氏と、作曲者としての中川氏の2つの候補が出る。これは中川氏が日本のトロンボーン奏者としては珍しい存在であることを物語っている。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO Apple Music Classicalで中川氏を検索すると、作曲者とアーティストで表示される(左)

 そんな中川氏のもう1つの顔である作曲家としての側面から見ても、テクノロジー好きは変わらないようだ。

 常に「新しいものが生まれている瞬間に触れていたい」と言う中川氏だが、「それは作曲にも通じる感覚」だと語っている。「作曲というのは、ある部分では新しいものを作り出していますが、ある部分では(既存の)何かと何かを掛け合わせているみたいなところがあります。その繋ぎがうまくいくと、何かすごく新しいのに親しみがあるものが生まれます。だからゼロから1を生み出しているような新しい物に心を引かれるし、常にそういうものに囲まれていたいと思っています」と語る。

 何かと何かを掛け合わせ、新しいものを生み出すことは人類の歴史の中で常に繰り返されてきた。中川氏自身が自らのルーツだと語るディキシーランドジャズも、奴隷解放から時間が経ち、ヨーロッパ人とアフリカ系の人たちの混血化が進むフランス領のルイジアナをアメリカが買収し、蓄音機などの新しいテクノロジーが生み出されていた大変革の時代に異なる文化を掛け合わせて誕生した。その新しい音楽が100年近い時間を経て中川氏のようなデジタルテクノロジーとジャズ、クラシックを掛け合わせた音楽家を生み出していると思うと、感慨深いものがある。

 なお、5月3日から始まるラ・フォル・ジュルネ TOKYOにおいて、中川氏は5月3日(金・祝)と4日(土・祝)に公演を行う。

 3日の公演は中川氏自身のオリジンをたどる「名匠たちによるノリノリ愉快なディキシーランド・ジャズ!」(公演番号:123)にて、父で伝説のトランぺッターである中川喜弘氏を含む「中川英二郎 TRAD JAZZ COMPANY」としてディキシーランドジャズを演奏予定だ。

 4日の「スターたちによる愉悦の音楽!」(公演番号:215)では、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」とラヴェルの「ボレロ」をSUPER BRASS STARS LFJスペシャルバージョンでお届けする予定だ。

 ラ・フォル・ジュルネ TOKYOのWebサイトでタイムテーブルを見てもらうと分かるが、文字通り東京国際フォーラムは3日間、朝から晩まで“クラシック漬け”のフェス状態になる。パスポート券で満喫するも良し、1500円〜となる個別のコンサートを見るも良し、さらには無料のコンサートや講演会、イベントを回るのも良しと、さまざまな楽しみ方ができる。

 予習や復習は手元のApple Music Classicalから行い、本イベントのテーマである音楽のオリジン(起源、ルーツ)とじっくりと向き合うのも一興だろう。

Apple Music Classical 中川英二郎 田中泰 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ 2024 LA FOLLE JOURNEE TOKYO Apple Music Classicalに用意されたラ・フォル・ジュルネ 2024関連のプレイリスト
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