AMDが7月21日(米国太平洋夏時間)に発表した、「Ryzen 4000 Series Desktop Processors with AMD Radeon Graphics」。いずれも内蔵GPUとして7nmプロセスのRadeon Graphicsを採用しており、グラフィックスカードを搭載しない低コストな自作PC、ビジネス用途などでの利用が期待される。
今回の新APUはメーカー製PCに組み込まれて販売されるため、基本的に一般ユーザーが単体購入することできない。しかし、Ryzen PROのうち3モデルが「トレー販売」、つまりバルク品として8月8日から一般販売されることが決まっている。
今回、バルク販売される「Ryzen 7 PRO 4750G」「Ryzen 5 PRO 4650G」「Ryzen 3 PRO 4350G」を先行してレビューする機会を得た。実際のパフォーマンスをチェックしていこう。
Ryzen PRO 4000シリーズは、Zen 2アーキテクチャのCPUコアに、Radeon GraphicsのGPUコアを統合したAPU(開発コードネーム:Renoir)だ。
“PRO”の名を冠することからも分かる通り、企業向けの管理機能「AMD PRO」を追加した製品であり、発売時点において「AMD X570」や「AMD B550」といったチップセットを搭載するマザーボードで問題なく利用できる。ただし、マザーボードの出荷時期によってはUEFI(BIOS)のアップデートが必要となる。
なお、PCI Expressについては、Revision 4.0ではなくRevision 3.0となるので注意しよう。
デスクトップ向けのRyzen PRO 4000シリーズでは、デスクトップ向けAPUとしては初めて「Ryzen 7」をラインアップしている。前世代の「Ryzen PRO 3000シリーズ」が12nmプロセスで開発されたPicassoベースの製品であったことを考えると、性能的には大きく向上しているはずだ。
スペックを見てみると、既存の第3世代Ryzenシリーズの一部製品と似通っている部分がある。
例えば、Ryzen 7 PRO 4750Gは「Ryzen 7 3700X」と同じコアとスレッドの構成で、動作クロック(周波数)も同一だ。ただ、GPUを内蔵したせいか、L3キャッシュの容量が削られている。そのため、類似スペックを持つCPUに“比肩”するパフォーマンスを発揮できるわけではない。
内蔵GPUは、Ryzen 7 PRO 4750Gが8コア、Ryzen 5 PRO 4650Gが7コア、Ryzen 3 PRO 4350Gが6コアのRadeon Graphicsを採用している。コア数は控えめだが、動作クロックを高めに設定することで性能を担保している。
APUの外観は、既存のデスクトップ向け第3世代Ryzen CPU、あるいは先代の第2世代Ryzen APUと基本的には変わりない。
ただし、第3世代Ryzen CPUで小さくなった「位置合わせマーク」が再び大きくなり、視認性が向上した。小さくなったことが不評だったのだろうか……。
各製品の想定販売価格(税別)は、Ryzen PRO 7 4750Gが3万9980円、Ryzen PRO 5 4650Gが2万6980円、Ryzen PRO 3 4350Gが1万9980円となっている。
CPUクーラーが付属しない分、価格は割高に見えるが、グラフィックスカード(外部GPU)を物理的に装着できない小型の自作PCなどでは人気が出そうだ。
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