これぞ1つの“到達点” 第4世代Ryzenプロセッサの圧倒的な実力をチェック!(1/3 ページ)

» 2020年11月05日 23時00分 公開
[松野将太ITmedia]

 AMDは11月6日、デスクトップPC向けの最新CPU「Ryzen 5000 Series Processors」(以下「第4世代Ryzenプロセッサ」)を発売する。当初のラインアップは「Ryzen 5 5600X」「Ryzen 7 5800X」「Ryzen 9 5900X」「Ryzen 9 5950X」の4製品で、2019年7月の第3世代Ryzen以来、実に1年4カ月ぶりの世代更新となる。アーキテクチャが「Zen 2」から「Zen 3」へと刷新されることもあり、期待に胸を膨らませるている人も少なくないだろう。

 この記事では、Ryzen 7 5800X(3.8G〜4.7GHz、8コア16スレッド)とRyzen 9 5900X(3.7G〜4.8GHz、12コア24スレッド)を用いて、第4世代Ryzenプロセッサの主な特徴とパフォーマンスを確認していく。

箱 Ryzen 9 5900X(左)とRyzen 7 5800X(右)のパッケージ

IPCの向上によってゲーム性能でついにIntel超え?

 発表会の速報記事にもある通り、第4世代Ryzenプロセッサは、7nmプロセスを採用するZen 3アーキテクチャをベースに設計されている。

 プロセス自体は従来のZen 2アーキテクチャと同じ7nmであり、トランジスタの大幅な増加による性能向上はないものの、CPUを構成する「CCX(Core Complex)」の設計が見直されているのが大きなポイントとなる。

 具体的には、従来4つのコアが16MBのL3キャッシュを共有する設計だったものを、CCX内の8基のコアが32MBのL3キャッシュを共有するように再構成した。これにより、CPUキャッシュへのアクセスに伴うレイテンシー(遅延)が抑制され、キャッシュへのアクセス速度自体も最大で2倍の高速化を果たした。

 メインメモリへのアクセスを減らすことで、処理速度をアップさせているわけだ。

アーキテクチャ 8コアのCCX同士の比較。Zen 2アーキテクチャでは4コアで16MBのL3キャッシュを共有していたが、Zen 3アーキテクチャでは8コアで32MBのL3キャッシュを共有するようになった。このことで、メインメモリへのアクセスを減らし、結果的に高速な処理を実現する

 こうした改良により、第4世代RyzenプロセッサのIPC(クロック当たりの処理命令数)は、従来比で実に19%もの改善を見せている。Ryzenのシングルスレッド性能については、これまでも世代を重ねるごとに改善してきていたが、発表会ではIntelの「Core i9-10900K」(3.7G〜5.3GHz、10コア20スレッド)とRyzen 9 5900Xを比較した場合、Ryzen 9 5900Xがシングルスレッド性能で大幅に上回るというスライドが示されて話題を呼んだ。

 ただし、それはAMDが自社で「CINEBENCH R20」のテストを行った結果。それと同様にシングルスレッドテストで600ポイントを超えるのかどうかは、ベンチマークテストを通して検証していく。

IPC Zen 2アーキテクチャ比で、IPCは最大で19%向上。先述のCCXの構造変更はもちろんだが、実行ユニット自体の改善などを積み重ねた結果でもあるという

Socket AM4を引き続き利用 400/500番台チップセットのマザーボードを使える

 第4世代RyzenプロセッサのCPUソケットは、従来と同様に「Socket AM4」だ。「AMD X570」「AMD B550」など、400番台、500番台のAMD製チップセットを搭載するSocket AM4マザーボードであれば、対応のUEFI(BIOS)にアップデートすれば第4世代Ryzenプロセッサでも引き続き利用できる(一部チップセット向けUEFIはβ提供)。

 各製品のTDP(熱設計電力)は、Ryzen 5 5600Xが65Wで、その他が105Wとなる。CPUクーラーはRyzen 5 5600Xにのみ付属する。

上下 Ryzen 7 5800Xの外観。第3世代Ryzenと同じくSocket AM4を使用するため、大きな変化は見られない
仕様 第4世代Ryzenプロセッサの主な仕様
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