ここからは、ベンチマークテストを通してGeForce RTX 5090の実力をチェックする。今回は「Core Ultra 7 265K」を軸に組み立てたPCと、GeForce RTX 5090 Founders Editionを組み合わせている。なお、CPU、マザーボード、電源、CPUクーラー(水冷式)はASUS JAPANから借用している。
グラフィックスドライバはテスト版の「バージョン571.86」で、マザーボードなどのファームウェア/デバイスドライバやOSは1月21日時点における最新版を利用している。PCの構成やドライバのバージョンは異なるが、ITmedia PC USERの記事で過去に実施した「GeForce RTX 4090」「GeForce RTX 4080 SUPER」「GeForce RTX 3090 Ti」のテスト結果も参考に掲載する。
本当であれば各世代のグラフィックスカードをそろえた状態で、改めて計測を行い比較したかったのだが、テストを行える期間が非常に短かったため、ご容赦いただきたい。
3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックするアプリ「3DMark」で主要なテストを実行してみよう。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」を用意されている全解像度で実行した上で、リアルタイムレイトレーシング(RT)のパフォーマンステスト「Port Royal」も実施した。
各テストの総合スコアは以下の通りだ。
当たり前かもしれないが、いずれのテストもGeForce RTX 5090が最高スコアとなった。
環境に違いがあることは前提だが、スコアの乖離(かいり)状況はテストによって異なる。RTをテストするPort Royalの結果に注目して4090のスコアと比べてみると、スコアの差はTensorコアの性能差(公称の演算性能差)とおおむね比例している。
ハイエンドのGPUを求めるユーザーは、総じてゲームをプレイするディスプレイ環境もハイエンドな環境をそろえているだろう。4K(3840×2160ピクセル)以上の解像度ともなれば、単純な3Dモデルの美しさだけでなく、より「現実に近い表現」での没入感を求めたくもなる。その点でいえばGeForce RTX 5090におけるPort Royalのスコアは、よりリアルな表現を担保するものとして見て良いだろう。
前々世代の最上位であるGeForce RTX 3090 Tiと比べてみると、テストによってスコア差は2倍近くになる。2世代差なので当然といえば当然なのかもしれないが、よくよく振り返ると、GeForce RTX 3090 Tiは2022年3月発売、GeForce RTX 4090は2022年10月発売と7カ月差しかない。「3090 Tiを買ったから、4090をスキップした」という人には、今回の5090はまさに“買い時”なのかもしれない。
続いて、実際のゲームタイトルをベースとするベンチマークテストアプリを使ってパフォーマンスをチェックしてみよう。
現在は既に軽量なゲームに分類され、またベンチマークソフトとしても旧バージョンとなるが、今回は過去のテスト結果と比較するために「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を最高画質のプリセットでフルHD(1920×1080ピクセル)/WQHD(2560×1440ピクセル)/4Kの3つの解像度でスコアを測った。結果は以下の通りだ。
少し不思議なことが起こった。5090のスコアが非常に高いことは間違いないのだが、4K以外の解像度で4090を下回ってしまったのだ。気のせいかと思って何度か計測し直したのだが、結果は変わらなかった(掲載したスコアは最良のものを取っている)。
ここで“心当たり”があるとすると、ずばりCPUだ。以前、筆者はアンロック版のCore Ultra 200Sプロセッサのテストを実施した。その際はGPUをそろえて試したのだが、一部のテストで過去世代のCPUに“負ける”という事案が発生した。Intelはこの事象を認識しており、パフォーマンスを改善する取り組みを実施してたのだが、一部で「まだ改善が不十分」との指摘も見受けられる。
ただ、4K解像度ではしっかりとトップに立っていることを踏まえると、CPUもGPUも負荷が高まると性能が出せるともいえるかもしれない。この辺は、CPU(Core Ultra 7 275K)/GPU(GeForce RTX 5090)共にもう少し様子見が必要そうである。
GeForce RTX 50シリーズにおいて、特にゲームシーンで利用したい機能といえばDLSS 4だろう。
これまでのGeForce RTXシリーズでも、DLSSの恩恵は大きかった。ワンランク上の解像度のディスプレイと組み合わせた際に、重量級のゲームタイトルであっても十分に遊ぶことのできるフレームレートを実現する「PCゲームの救世主」ともいえる。
そこで今回、NVIDIAから提供された3DMarkの「DLSS 4 Feature Test」と、「Cyberpunk 2077」のDLSS 4対応版(共にβ版)を使い、GeForce RTX 5090におけるDLSS 4の“威力”をチェックしてみよう。なお、このパートのテストはGeForce RTX 5090でのみ実施している。
【3DMark DLSS 4 Feature Test】
3DMarkのDLSS 4 Feature Testは、Port Royalをベースとしたベンチマークテストで、4K出力を前提に「2倍」「3倍」「4倍」のアップスケール時の平均フレームレートをを計測できる。当然、倍率は低いほどネイティブ解像度(実際の描画解像度)に近づくので、負荷は大きくなる。
オリジナルのPort Royalと、超解像利用時の平均フレームレートは以下の通りだ。
ある程度“決め打ち”のシナリオでのテストとなるため、「DLSS 4の効果は大きい!」と結論付けられる結果になるのは、ある意味で当然だ。ただ、拡大率4倍(フルHD→4K)のアップスケーリングだと平均400fpsを超えるのは驚きだ。さすがに、ここまでの表示スペックを備えるディスプレイはまだない。
ある意味で、GeForce RTX 5090はまだ見ぬ4K/400Hz超のディスプレイを待っている状況といえるのかもしれない。
【Cyberpunk 2077 with DLSS 4】
Cyberpunk 2077では画質設定を「レイトレーシング:オーバードライブ」とした上で、フルHD/WQHD/4Kの3解像度で出力した際の平均フレームレートを計測した。
現行最新アプリ(DLSS 3まで対応)では「DLSSオフ(ネイティブ解像度)」と「DLSSオン(=DLSS 3相当)」を、DLSS 4に対応するβアプリでは「DLSSオン(=DLSS 4相当)」の拡大率「2倍」「3倍」「4倍」でチェックを行った。現行最新アプリではフレーム生成を、βアプリではマルチフレーム生成を有効化している。
平均フレームレートは以下の通りだ。
倍率が上がれば上がるほど、DLSS 4の効果はてきめんだ。DLSS 3と比べると、超解像の品質も良くなっている。ただ、4倍にすると、さすがにじっと見た時に「ああ、引き延ばしているな……」と分かってしまう。
もっとも、引き延ばしはプレイに影響するレベルで(≒プレイを中断する程度に)凝視をしないと分からないレベルなので、よほど画面表示を気に掛ける人でもない限り拡大率を3〜4倍にプレイすると快適になるだろう。
なお、テストの本旨とは異なるが、DLSSをオフにしてもフレームレートはそこそこ高い。「平均で30fps出ればプレイはできる」と考えると、“超”高負荷なレイトレーシング:オーバードライブ設定でも4Kネイティブで平均30fpsを超えるGeForce RTX 5090ってすごいGPUだな、と思う次第である。
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