2月28日に発表されたAMDのデスクトップ向け新GPU「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」は、新アーキテクチャ「RDNA 4」を採用して、税別で549ドル(約8万2700円)スタートという点を含め大きな話題を集めている。
両GPUを搭載するグラフィックスカードは、3月7日午前11時に発売される。それに先駆けて、AMDからTUL製のグラフィックスカード「PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 16GB GDDR6」と「Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT 16GB GDDR6」を借りたので、その実力をチェックしていこう。
ベンチマークテストを進める前に、まずはRadeon RX 9070とRadeon RX 9070 XTの仕様をチェックしよう。
Radeon RX 9070/9070 XTは、AMDのコンシューマー向けGPU「Radeon RX 9000シリーズ」の第1弾製品だ。
先述の通り、両製品は新しいRDNA 4アーキテクチャを初めて採用したGPUとなる。RDNA 4では、GPUの“核”となる「コンピュートユニット(CU)」の設計が一新されている。
まずGPUの基本的な性能向上のため、メモリサブシステムの改善を実施している。具体的には「メモリ圧縮の強化」や「より高速なGDDR6メモリ(256bit/20Gbps)の採用」などを行うことで、CUの効率改善や動作クロックの改善を図っている。
またダイナミックレジスタアロケーションに対応したことで、メモリアクセスにおける遅延(レイテンシー)の抑制やシェーダーコアの利用率向上も図られている。
レイトレーシング処理を行う「レイトレーシングアクセラレーター」も第3世代に更新され、内部の交差エンジンが2基に増強され、先代の「RDNA 3アーキテクチャ比」で実効パフォーマンスが最大2倍に向上したという。続いて重たいゲームの
AI(人工知能)の演算処理を専門的に担う「AIアクセラレーター」は第2世代となった。AMDの説明によると「最先端のゲーミングと生成AIモデルに合わせて設計された」といい、FP8(8bit浮動小数点)演算のネイティブサポートを追加した他、従来からサポートしている形式(精度)における演算パフォーマンスも最大2〜8倍の高速化を実現した。
動画のデコード/エンコードを行う「メディアエンジン」も最大20%の画質改善が行われている。
上記の改善から、Radeon RX 9070/9070 XTはミドルレンジクラスのGPUながら、先代の「Radeon RX 7000シリーズ」におけるハイエンドGPUに割って入るような位置付けの性能となっている。ゲームシーンでいえば、WQHD(1440p/2560×1440ピクセル)と4K(2160p/3840×2160ピクセル)解像度におけるゲーム体験の向上を期待できるという。
AMDの自社計測ではあるが、先代のハイエンドモデル「Radeon RX 7900 GRE」比で、WQHD/4K解像度共に平均で約20〜40%のパフォーマンス改善をしたとのことだ。
また、AMDの超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」は最新バージョンの「FSR 4」に対応している。FSR 4はRadeon RX 9000シリーズでパワーアップしたAIアクセラレーターを活用した「フレーム生成」「アンチラグ(入力遅延抑制)」も利用可能だ。
FSR 4を利用するにはゲーム側の対応も求められるが、現行の「FSR 3.1」用のAPIを流用できるので、既にFSR 3.1に対応しているゲームアプリであれば、スムーズにFSR 4に対応可能だ。
Radeon RX 9070/9070 XTの主な仕様は以下の通りだ。
発表時の記事でも触れた通り、Radeon RX 9070/9070 XTにはAMD純正設計の「リファレンスカード」の設定がない。そのため、全てのグラフィックスカードはパートナー企業の独自設計となる。
今回AMDから借用したのは、TULのPowerColorブランドの「Red Devilシリーズ」に属するグラフィックスカードだ。寸法はいずれもブラケット込みで約149(幅)×352(奥行き)×69(厚さ)mmとなっており、外観も1カ所を除くと同じである。映像出力は標準仕様と同じくDisplayPort 2.1a×3+HDMI 2.1b×1という構成だ。
両カードは厚いだけでなく奥行きも結構あるので、コンパクトなPCケースを使っている場合は収まるかどうか、事前にチェックしておくことを強くお勧めする。
冷却パフォーマンスを優先する観点からか、Red Devil AMD Radeon RX 9070(左)、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT(右)共に3スロット厚となっているGPU補助電源ピンは、Red Devil AMD Radeon RX 9070は「8ピン×2」、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XTは「8ピン×3」という構成となっている。旧規格のピンなので、現在使っている電源ユニットをそのまま使える点は、グラフィックスカードだけのアップグレードで考えていた人にはうれしい仕様といえる。
なお、同じRadeon RX 9070/9070 XT搭載グラフィックスカードでも、一部にGPU補助電源ピンが新規格の「16ピン(12V2x6)」になっているものもある。ここはターゲットとするユーザー層の違いなどを考慮して決定されるのだろう。
GPU補助電源ピンは、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT(手前)は「8ピン×3」、Red Devil AMD Radeon RX 9070(奥)は「8ピン×2」という構成となっている
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