AMDは2月28日(米国太平洋時間)、新型GPU「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」を搭載するグラフィックスカードを米国で3月6日(同)に発売すると発表した。カードはパートナー企業を通して提供される。米国での税別販売価格は、Radeon RX 9070が549ドル(約8万2700円)から、Radeon RX 9070 XTが599ドル(約9万300円)からとなる。
【更新:22時25分】価格情報が公開されたことに伴い、タイトルと本文の一部を変更しました。
Radeon RX 9070(上)とRadeon RX 9070 XT(下)を搭載するグラフィックスカードのイメージ。今回は、このイメージに使われているAMD自社設計のカード(リファレンスカード)の用意がなく、パートナー企業が設計したカードが販売されるRadeon RX 9070/Radeon RX 9070 XTは、新アーキテクチャのコンシューマー向けGPU「Radeon RX 9000シリーズ」の第1弾製品だ。本シリーズは自社の最新CPU(Ryzen 9000シリーズ)に合わせる観点と、競合のNVIDIA製のコンシューマー向けGPUと比較しやすくする観点からモデル名の付与ルールが変更されている。
今回登場する2つの製品は、クラス的にはWQHD(1440p/2560×1440ピクセル)と4K(2160p/3840×2160ピクセル)でのゲームプレイを想定している。
Radeon RX 9000シリーズは、新しいアーキテクチャ「RDNA 4」を採用する初めてのGPUだ。ゲーマーが求めているものに焦点を当て、「より手に届きやすい価格で、より高い解像度とパフォーマンスを発揮し、古いGPUからの置き換えを容易にする」ことを目標として開発してきたという。
結果として、レイトレーシングや機械学習のパフォーマンスを改善した他、販売価格当たりのパフォーマンス(コストパフォーマンス)も向上したとのことだ。製造プロセスは4nmプロセスとなる。
RDNA 4アーキテクチャでは、GPUの“核”となる「コンピュートユニット(CU)」の設計を一新し、メモリサブシステムの拡張によってユニット全体の効率と最高クロックを改善した他、スカラー(物理演算)ユニットのパフォーマンス改善、ダイナミックなレジスタアロケーションへの対応を図っている。
レイトレーシング処理を行う「レイトレーシング(RT)アクセラレーター」は第3世代となり、先代の「RDNA 3アーキテクチャ」と比べて実効パフォーマンスが最大2倍になるという。パフォーマンス改善の大半はレイの交差判定を行う「インターセクションエンジン」を2基に増やしたことによるものだが、RTユニット全体の機能改善による底上げも寄与しているという。
RDNA 4アーキテクチャにおけるCUのブロックダイヤグラム。1基のCUには最大で4基のスカラーユニットが搭載されており、おのおののスカラーユニットにはスケジューラー/デュアルSIMDベクターユニット/AIアクセラレーターがセットされているAI(人工知能)に関する演算を行う「AIアクセラレーター」は第2世代となり、FP8(8bit浮動小数点演算)のネイティブ演算を新規サポートした他、既に対応している精度の演算を最大2〜8倍高速化している。
動画のデコード/エンコードを行う「メディアエンジン」は、VMAFによる計測ベースで最大20%の画質改善を図ったという。
先述の通り、Radeon RX 9070/Radeon RX 9070 XTは「WQHDと4Kでのゲームプレイ」を想定した製品だ。AMD社内の位置付けとしては「Radeon RX 7900 XTとRadeon RX 7900 GREの中間」と位置付けている。
パフォーマンスをRadeon RX 9070とRadeon RX 7900 GREで比較すると、Radeon RX 9070は4K解像度で平均21%、WQHD解像度で平均20%改善するという。これがRadeon RX 9070 XTになると、4K解像度で平均42%、WQHD解像度で平均38%の改善となる(いずれもネイティブ解像度)。
Radeon RX 9000シリーズのリリースに合わせて、AMDは超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」の最新バージョン「FSR 4」を投入する。
FSR4はRDNA 4アーキテクチャのGPUに最適化されており、超解像だけでなくフレーム生成やアンチラグ(入力遅延抑制)にも対応している。API自体は現行の「FSR 3.1」のものを流用可能だが、利用するにはRDNA 4アーキテクチャのGPUが必要となる
Radeon RX 9070/9070 XTの発売時点では、FSR 4は30超のゲームタイトルに対応し、2025年内に75超タイトルまで対応を拡大するという。
Forcus Entertainmentの「Warhammer 40,000:Space Marine 2」では、FSR 4(パフォーマンスモード)を使うことで4K解像度における平均フレームレートが3.4倍になったというその他、AMD Software(デバイスドライバ)に付帯するパフォーマンス向上機能「HYPR-RX(ハイパーアールエックス)」では、2025年初の新要素としてフレーム補間技術「Fluid Mortion Frames(FMF)」のバージョンアップが行われる。
新バージョンのFMF 2.1では、フレーム生成時に発生するゴーストを軽減し、時間的トラッキングの改善も行っている。本バージョンはRadeon RX 6000シリーズ以降(Ryzen AI 300シリーズの内蔵GPUを含む)で利用可能だ。
Radeon RX 9000シリーズのメディアエンジンでは、最大で8K(7680×4320ピクセル)/80fpsのエンコード/デコードに対応する。先述の通り、VMAFによる計測ベースで最大20%の画質改善を図っていることが特徴だRadeon RX 9070/Radeon RX 9070 XTの主な仕様は以下の通りだ。
Radeon RX 9070 XTについては、2世代前の「Radeon RX 6900 XT」比で平均51%、競合の2世代前の「GeForce RTX 3090」比で平均26%のパフォーマンス向上を果たしたという
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