変化の兆しが見られたのは、まだ日本が猛暑の中にあった9月中旬、Seagateからエンタープライズ向けの30TB HDD「Exos M(ST30000NM004K)」が店頭に出回るようになった頃だ。容量30TBに達したHDDは、2025年7月に登場した同社の「IronWolf Pro(ST30000NT011)」に続く2台目。入荷したオリオスペックはこう語っていた。
「20TB以上の大容量モデルの供給が滞っていて、低容量帯も品薄になっているという状況です。どうも工場で生産調整した後に、AIなどの需要がガンガンきて……という感じですね」
この「AIなどの需要」が世界規模で高まり、メモリやストレージ関連のパーツがコンシューマー市場に供給されにくくなっていった。その影響が値上がりという形で表に出るようになったのは10月頃から。そして、週を追うごとに厳しさが増していった。
特に顕著なのはメモリだ。11月に入ると、各ショップのメモリ価格表には売り切れの札が多数貼られるようになった。在庫がある製品の価格も週に数回更新され、その都度上がっていく。当時、TSUKUMO eX.は「供給が安定していないんですよね。どうも代理店側にも入っていないようで、かなり上流の方で流れが止まっている感じがします」と話していた。購入制限を設けるショップもじわじわと増えていく。
この動きを楽観視する声はもともとなかったが、12月に入るとより深刻な色を帯びるようになった。12月3日に、Micron Technologyがコンシューマー向けブランドである「Crucial」事業の撤退を表明したのがきっかけだ。
このニュースを受け、パソコン工房 秋葉原パーツ館は「これでメモリ(の高騰と品薄)は年単位が確定したと思います。Crucialはとりわけコンシューマー市場をよく見てくれるブランドでした。そのブランドがなくなるわけで、2027年やその先まで見据えないといけなくなりましたね」と語った。
現在においても、メモリの暴騰と枯渇具合に回復の兆しはない。
とりわけ、大容量のメモリキットは価格の高騰が著しい。1枚64GBのモジュールは2025年2月に登場して話題を集めた。第一号はキングストンのDDR5-6400 CUDIMMで、2枚キットの「KVR64A52BD8-64-D」が6万8000円前後で売られた。しかし、年末にかけて極端な値上がりが続いており、20万円超えや30万円超えのキットも見られるようになっている。
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