グラフィックスカードの上半期を振り返ると、2021年の市場に強い爪痕を残したマイニングブームは落ち着いたものの、半導体不足や輸送費の高騰などは解決せず、供給不足と価格の上昇が続いたことが思い出される。
年初にはGDDR6Xメモリを4GBアップするなど増強したGPU「GeForce RTX 3080(12GB版)」を搭載したカードが登場。8GB版に15万円台の値札も見られる中で、20万円強からの価格設定に二の足を踏む声をよく聞いた。
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その2週間後には、GeForce RTX 30シリーズのローエンドGPUの「GeForce RTX 3050」を積んだカードが各社から登場したが、値付けが特徴的だった。一部のプロパーモデルが3万9800円で売られ、それ以外は4万円台後半〜6万円台前半という二極化され、前者ばかりが売り切れた価格表をよく目にしている。
そして4月には、30万円前後で売られるRTX 3090カードの上位にあたる「GeForce RTX 3090 Ti」カードが32万円強で加わって、天井がさらに高くなった。ようやく値上がり傾向が落ち着いたのは、5月の大型連休前だ。RTX 3090 Tiも8月初旬までに最安値が10万円以上下がり、20万円を切るモデルが選べるまでになった。この間、「GeForce RTX 3070 Ti」カードも8万円台半ばで登場している。
お盆を過ぎた頃からRTX 3070/3060/3050なども初回登場時の平均価格を下回るようになり、7万円を切るRTX 3070カードや、5万円以下のRTX 3060カードなどが店頭に並んだ。
コストパフォーマンスの高さから需要が高まり、RTX 3070 Ti以上のカードの品薄傾向が進行する。そのタイミングで登場したのが、RTX 40シリーズに属する第一弾GPU「GeForce RTX 4090」を搭載したグラフィックスカードだ。10月12日に29万円弱から36万円弱で登場し、反響の大きさと供給の少なさが重なって初回入荷分はたちまち街から払底した。
一方で、11月16日に売り出されたRTX 40シリーズ第2弾の「GeForce RTX 4080」カードは初日から売り切れとなるショップを見かけなかった。価格は22万円弱から27万円台前半で、年末まで枯渇気味だったRTX 4090カードと比べると対照的で、以後も十分な在庫が各店舗に並ぶことになる。
パソコンSHOPアークは「RTX 3090カードには残存していた別枠感がRTX 4090カードではかなり緩和されていて、最強を目指す人がこのクラスを選びやすくなった印象があります。逆に、価格差が薄いRTX 4080カードは選ばれにくくなっているのかなと思いますね」と話していた。
年末に人気があったのも、RTX 4090カードと底値になったRTX 3080カードだった。RTX 3080カードは多くのショップで在庫切れとなっており、「10万円台で買えるハイエンド」を求める需要に応えるラインに穴が空いている。そこをうまく突いたのがRadeonだった。
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