2022年3月30日、Intelは単体GPU「Intel Arc A」シリーズを発表した。
このIntel Arcは、同社が2020年に発表した「Iris Xe MAX Graphics 」の後継版的な位置付けのGPUになる。ちなみにIris Xe MAX Graphicsは、同社がIntel 740(i740)をリリースした1998年以来、22年ぶりにリリースされた単体GPU(Discrete GPU)ということで話題になった。
このIntel Arcシリーズは、もともとはノートPC向け単体GPUとしてリリースされたものだが、2022年夏には、デスクトップPC向け版もリリースされ、一部のメーカーから、Intel Arc搭載ゲーミングデスクトップPCも発売されている。
今回は、このIntel Arcの末っ子モデルである、A380を搭載したゲーミングPCで、いつもの「ストリートファイターV」プレイテストを行っていきたいと思う。
今回の記事執筆にあたっては、マウスコンピューターから発売されている、Intel Arc A380 Graphics搭載ゲーミングPC「G-Tune PL-B-A380」をお借りした。
本稿掲載時の販売価格は15万9800円(税込み/送料別、以下同様)の製品で、標準構成ではCPUにIntel 第12世代CoreプロセッサのCore i5-124000、GPUにIntel Arc A380(グラフィックスメモリは6GB)、メモリはDDR4 16GB(8GB×2)、ストレージはNVMe SSD 512GBといったスペックだ。ボディーは背の低いミニタワー形状(Mini-ITX仕様)で重量は約6.8kgとなる。
なお、兄弟モデルとして、クリエイター向けPCの「DAIV Z3-A380」も22万9900円で発売中だ。こちらは、上位モデルのCPUを搭載し、メモリ容量も32GBに増量され、ボディーもATX用のミドルタワーになっているのが特徴となる。
まずは、本連載では初登場となるArcシリーズにまつわる基礎知識と、その末っ子モデルA380の素性を整理しておこう。
ArcシリーズのGPUは、CPUのCoreプロセッサのようにArc 3/5/7というグレード名が与えられており、3がエントリークラス、5がミドルクラス、7がハイエンドクラスに対応する。
最初に投入されたArc 3シリーズは,「CPUの統合グラフィックス機能(以下、統合GPU)よりも上位のゲーム体験が楽しめる」というコンセプトの「Enhanced Gaming」(拡張ゲーミング)を提供するGPUと説明されている。
中堅クラスのArc 5は「多様なゲームを満足いく品質でプレイできる」ことをコンセプトにした「Advanced Gaming」(先進ゲーミング)を提供するGPUとのこと。
最上位のArc 7は「高品位なゲーム体験が楽しめる」ゲーマー向けデスクトップPCに迫る性能を提供する「High Performance Gaming」(ハイパフォーマンスゲーミング)クラスのGPUだという。
今回の評価機に採用されているA380は、Arc 3シリーズのエントリークラスのGPUとなり、GPUダイとしては「ACM-G11」が採用されている。Intel製GPUではあるが、製造プロセスはTSMCの6nmを採用しており、トランジスタ数は約72億、ダイサイズは157平方mmだ。チップ規模的にはAMDで言うと、それぞれ54億、107平方mmのRadeon RX 6500XT(Navi 24)をちょっと下回るというイメージだ。
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