モバイル向けGPU「Intel Arc Aシリーズ」が発進 スペック別に3シリーズを順次投入エントリー向けは4月登場(1/2 ページ)

» 2022年03月31日 20時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 Intelは3月30日、モバイル(ノートPC)向け独立GPU「Intel Arc Aシリーズ」を発表した。エントリークラス製品を皮切りとして、搭載するノートPCは4月から順次登場する予定だ。

機能まとめ Intel Arc Aシリーズの概要
Intel Arc Aシリーズ Intel Arc Aシリーズのチップ(ダイ)のイメージ。左側の小さなダイ(ACM-G11)はエントリークラスの「Intel Arc 3 Graphics」で、右側の大きなダイ(ACM-G10)はミドルクラスの「Intel Arc 5 Graphics」とハイエンドクラスの「Intel Arc 7 Graphics」で採用される

Arc Aシリーズの概要

 Arc Aシリーズは、Intelが提唱するGPUアーキテクチャ「Xe(エックスイー)」の一角をなすゲーミング向けアーキテクチャ「Xe-HPG」(開発コード名:Alchemist)をベースに作られたモバイル向けGPUだ。プロセスルールは6nmを採用している。

 Xe-HPGアーキテクチャでは、GPUとしての処理性能を「レンダースライス」と呼ばれる処理ユニットの数で調整している。レンダースライス1基に搭載される主な要素は以下の通りだ。

  • Xe-Core(演算ブロック)×4
  • レイトレーシングユニット×4
  • サンプラー
  • ジオメトリエンジン
  • ラスタライザー
  • HiZ(階層型Zバッファ)
  • ピクセルバックエンド×2

 Xe-Coreには16基のベクトルエンジン(XVE)、16基のマトリックスエンジン(XMX)、L1キャッシュメモリなどが搭載されている。ベクトルエンジンは1基当たり256bit、マトリックスエンジンは1基当たり1024bitの演算に対応する。

レンダースライス Xe-HPGアーキテクチャのGPUは、レンダースライスの数を調整することでGPUとしての性能を調整している
Xe-Core Xe-Coreには16基のベクトルエンジンとマトリックスエンジンが搭載されている。レンダースライス1つ当たりでは、ベクトルエンジンとマトリックスエンジンは64基ずつ搭載されていることになる
最大8基 Xe-HPGアーキテクチャでは、レンダースライスを最大8基まで搭載できる
ベクトルエンジン ベクトル(ベクター)エンジンの仕様。ベクトルエンジンは「Xe-LPアーキテクチャ」ではEU(演算ユニット)と呼ばれているものである
マトリックスエンジン マトリックスエンジンの仕様。機械学習ベースのAI(人工知能)の演算に使われる
めっちゃ速い ベクトルエンジンとマトリックスエンジンはペアを組んでいる

 Xe-HPGアーキテクチャでは、レンダースライスとは別に「メディアエンジン」も搭載している。このメディアエンジンは、以下のコーデックのデコード(最大8K/60fps、12bitカラー、HDR)とエンコード(最大8K、10bitカラー、HDR)をサポートしている。中でもAV1のハードウェアエンコードサポートは業界初対応だという。

  • VP9
  • AVC(H.264)
  • HEVC(H.265)
  • AV1
メディアエンジン メディアエンジンでは、VP9、AVC、HEVC、AV1のハードウェアデコード/エンコードに対応している
AV1エンコード AV1のハードウェアエンコード機能は主要な動画編集/エンコードソフトウェアから利用できる。速度は最大で50倍になるという

 映像出力(パイプ)は最大4つで、うち1つは低消費電力に最適化されているという。物理的にはHDMI 2.0b出力とDisplay Port 1.4a/2.0(10Gbps)に対応している。表示同期機能(アダプティブシンク、スピードシンク、スムースシンク)にも対応する。

 グラフィックスメモリはGDDR6規格に対応している。Arc 3 Graphics(ACM-G11)は96bit、Arc 5 GraphicsとArc 7 Graphics(ACM-G10)は256bitとなる。接続バスはPCI Express 4.0で、Arc 3 Graphicsは8レーン、Arc 5 GraphicsとArc 7 Graphicsは16レーンでの接続に対応する

映像出力 映像出力の仕様。8K/60fps出力や4K/120fps出力をサポートしているにも関わらず、HDMI 2.1に対応していないのが気になる
同期表示 各種同期表示機能もサポート
SoCの仕様 Arc AシリーズのSoCの仕様(いずれも数値は最大スペック)

 Arc Aシリーズは、第11/12世代Coreプロセッサと協調動作する「Intel Deep Link Technology」に対応している。主な仕様は「Iris Xe MAX Graphics」におけるDeep Linkと同様で、以下の機能を利用できる。

  • ダイナミックパワーシェア
    • システムの負荷状況に応じてCPUと消費電力を相互融通
  • ハイパーエンコード
    • CPU内蔵GPUと独立GPUのエンコードエンジンを一体運用して動画を高速にエンコード
  • ハイパーコンピュート
    • CPU内蔵GPUと独立GPUの機械学習プロセッサを一体運用してAI処理を高速化
ディープリンク Iris Xe MAX Graphicsと同様に、Arc AシリーズもIntel Deep Link Technologyに対応している
パフォーマンス Intelが実施した検証におけるDeep Linkを利用した際のパフォーマンス向上状況
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年01月05日 更新
  1. 2026年のPC市場は「茨の道」か メモリ枯渇と価格高騰が招く“二極化”のシナリオ (2026年01月05日)
  2. イヤフォン連携&文字起こし無料! 無線機能を省いて物理ボタン搭載の異色AIレコーダー「HiDock P1」実機レビュー (2026年01月04日)
  3. 充電ストレスからの解放! 「Apple Watch Ultra 3」を選んだ理由と実機を使って分かったこと (2026年01月03日)
  4. アイ・オー・データが「Amazon 初売り」に参加 ゲーミングディスプレイやスティックSSDなどがお買い得 (2026年01月03日)
  5. クルマは95%の時間停まっている――シャープが挑む「部屋になるEV」と、大阪・堺筋本町への本社移転が示す覚悟 (2026年01月02日)
  6. 「35歳以下は節約しか知らない」 シャープが“野性味”を取り戻すために選んだ、オール日本人体制への回帰 (2026年01月01日)
  7. トラックボールの大定番がモデルチェンジ! 新「Expert Mouse TB800 EQ」(レッドボール)を試す (2025年12月29日)
  8. 現役情シスの2025年ベストバイ 外付けGPUボックスで脱・デスクトップ、そして“ZUNDAルーター” (2025年12月30日)
  9. 家族4人で「XREAL One Pro」を使ってみた “推し活”からガチの格ゲーまで、視野角57度の魅力 (2025年12月30日)
  10. 光学ドライブをあきらめない! 2026年に向けた「手持ちパーツ流用」で安くPCを延命/自作ガイド (2025年12月31日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年