「Intel Arc A380」は「ストリートファイターV」をプレイするのに十分な性能なのか(5/6 ページ)

» 2022年10月20日 11時00分 公開
[西川善司ITmedia]

Intel Arc A380を使って感じたイロイロ

 今回、約1カ月間に渡って、このG-Tune PL-B-A380を使わせていただいたが、ストリートファイターVをプレイするにあたっては、GPUの性能自体には不満はなかった。

 実は、G-Tune PL-Bシリーズは、Arc A380搭載モデル以外に、NVIDIA GeForce GTX 1650を採用したモデルも存在する。それらの製品は、今回評価したG-Tune PL-B-A380のスペックにそろえるとほぼ同価格帯(15万4800円)で販売されており、コストパフォーマンス的には、昨今の円安傾向を考慮すれば、まあ妥当かな、という感じではある。

 しかし、GPU単体製品となると、2022年10月時点の価格は、約3万円程度となっており、これはやや割高感がつきまとう。3万円前後となれば、2022年10月時点では、NVIDIA GeForce RTX 3050(9.0TFLOPS)搭載製品も予算圏内に入ってくるため、あえてArc A380(4TFLOPS)を選ぶ理由は見つからない。

 個人的には、Arc A380と同等性能である、AMD Radeon RX 6400系や6500系の価格帯域、具体的には1万8000円から2万円前後あたりが適正価格なのではないか、と考える。もし、1万5000円前後あたりにまで下がれば、お買い得感も出てきて人気を博するようになるかもしれない。

 さて、今回の評価で困ったこと、気が付いたことを記しておこう。

 Arc A380のGPU自体とそのドライバの"出来栄え"には特に大きな不満もなかったのだが、いくつか、その周辺ソフトの完成度がいまひとつで、評価の際には苦労させられた。

 まずは、ドライバソフトのアップデート管理を行ってくれる「インテルドライバー&サポート・アシスタント」が、CPU内蔵GPUドライバと、Arcシリーズ向けGPUドライバを、シーソーゲームのように永遠に更新しつづけるというループに突入することに悩まされた。

 どういうことかというと、例えばCPU内蔵GPUドライバを更新すると、Arcシリーズ向けGPUドライバの一部のファイルが、この更新によって書き換わってしまうようで、次回起動時には、今度は、Arcシリーズ向けGPUドライバを更新しろ、といってくるのだ。これに従うと、今度はCPU内蔵GPUドライバを更新しろと言ってくる。つまり無限ループに突入してしまう。この無限ループから脱するには、「インテルドライバー&サポート・アシスタント」をWindowsの「コントロールパネル」からアンインストールすればいい。

 しかし、その後、Windows 11のアップデートと後述の「Intel Arc Control」が、CPU内蔵GPUドライバとArcシリーズ向けGPUドライバを同時更新することがあり、結局、おかしなドライバインストール・ループは再開された(笑)。さすがに気がめいってきた筆者は、UEFI(BIOS)画面にてCPU内蔵GPUを無効化することで、このループから根本的に抜け出すことに成功した。

 なお、G-Tune PL-B-A380は出荷状態では、CPU内蔵GPUが有効化されているので、同機ユーザーは、気に留めておくことをお勧めする。しかし、これをやってしまうと、ゲームグラフィックスをArc A380で、映像エンコードをCPU内蔵GPUで……という「ダブルGPUの使い分け」はできなくなる。

G-Tune PL-B-A380 Intel Arc マウスコンピューター Intel Arc Controlは、「インテルドライバー&サポート・アシスタント」をインストールした古いバージョンのドライバを最新版と誤認しているようで、いくら「更新」ボタンを押しても、「落ち着きましょう」と、ちっとも意に介してくれない!
G-Tune PL-B-A380 Intel Arc マウスコンピューター CPU内蔵GPU無効化すれば、「インテルドライバー&サポート・アシスタント」の“ご乱心”も収まるが、デメリットも発生する

 もう1つ気になったのは、ArcシリーズGPUのサポートソフトウェアの「Intel Arc Control」の完成度が低いことだ。

 Webサイトに最新版のドライバが上がっているにもかかわらず、「更新」ボタンを押しても、全然、アップデートしてくれないし、かたや新しいドライバをインストールすると、勝手に古いドライバをインストールし直すこともあったりと、「ドライバ無限インストール地獄」のもう1人の立役者が、コイツである。まあ、このIntel Arc Controlのドライバの自動更新を無効化した上で、ユーザー自身がこまめにドライバを手動でインストールすればなんとかなる。

 しかし、今回の評価期間中に問題を解決できなかったのは、Intel Arc Controlが提供するGPUステータスのオーバーレイ表示機能だ。

 まず、表示が安定しない。ストリートファイターVのプレイ時にゲームが一瞬止まるような症状(グリッチ現象)がときどき起こるのだ。

 また、その表示項目がなぜか極端に少なくなってしまうこともあった。恐らく、一連のドライバの無限インストールループの悪影響かもしれない。CPU内蔵GPUを無効化したあたりでちょっと安定したような気はする。

G-Tune PL-B-A380 Intel Arc マウスコンピューター 表示項目が2つだけになってしまった
G-Tune PL-B-A380 Intel Arc マウスコンピューター 正常時の表示項目はこちら

 それと表示項目自体も、その内容がどうもおかしい。

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