インテル、「新世代モバイル・コンピューティング・コンファレンス」で“Santa Rosa”をアピール
発表の翌日に行われたイベントで、一般のユーザーに“第4世代”Centrinoの新機能をデモを交えて紹介。会場には第1世代から第3世代のCentrino構成パーツも展示された。
インテルは5月10に、前日発表した“Santa Rosa”世代のCentrinoをユーザーに紹介するイベント「新世代モバイル・コンピューティング・コンファレンス」を開催した。このイベントは2部構成で行われ、1部のスピーチセッションでは、インテルの吉田和正代表取締役共同社長や阿部剛士プロダクト&プラットフォーム マーケティング本部 本部長が新世代Centrinoのメリットを説明した。
「家庭や仕事で人々の生活をさらに豊かにしていく新世代のCentrino」と自ら紹介する新しいモバイルPCプラットフォームについて吉田氏は、2003年にインテルがCentrinoを登場させたときに打ち出した「いつ、どこでも可能なコンピューティングとネットワーク接続」のために必要となる要件「ノートPCの中に無線LANを組み込むこと」「長時間のバッテリーライフ」「持って歩ける薄くて軽いフォームファクタ」「いろいろなことができる性能」という「4つのベクターにフォーカス」(吉田氏)することでモバイルコンピューティングを実現してきたとこれまでのCentrinoプラットフォームブランドの成果を述べた。そして、現在までの4年で「アーキテクチャが変化し、パーソナル化が進み、家庭だけでなく企業におけるモバイルコンピューティングが進化している」とノートPCを巡るユーザーとその使い方の変化について吉田氏は語った。
ノートPC市場が成長する理由について吉田氏は、「1つはデスクトップPCからノートPCへの置き換え、 もう1つは以前は難しかったモバイルコンピューティングが、当たり前のようにできるなったこと」と説明する。「購入者が“買い替え”ではなく“買い足し”することで、(家庭で個人が)使えるPCが多くなり(使うPCの)選択の幅ができたことで、いろんな使い方ができるようになった。ユーザーニーズの進化というのはユーザー自身が広げていく」(吉田氏)
また、60〜70%とという世界でも突出したノートPCの出荷率の日本で、2007年にリビングPCや液晶ディスプレイ一体型PCといった消費電力をできるだけ抑えなければならない製品が登場した事例を挙げて、インテルの技術をベースにして新しいカテゴリーの製品の展開が日本で進んでいると述べた。「その(日本における)製品の傾向が世界市場のトレンドになる」(吉田氏)
今回発表された“Santa Rosa”Centrinoは、従来までの「4つのベクター」を強化させて「性能の向上、バッテリー駆動時間の延長、新しい無線LANの規格をふくめた」(吉田氏)ことに加えて、ビジネスユーザー向けに「セキュリティの強化」「運用管理のたやすさ」をいれることで「vProの要素をこれからノートPCで展開することができるようになりました」と吉田氏はアピールしている。
この新しいベクターを追加したことで、“Santa Rosa”Centrinoはコンシューマー向けの「Centrino Duo」とビジネスユーザー向けの「Centrino Pro」といった2つのブランドを擁することになったが、両者の特徴について吉田氏は「Centrino Duoはホームユーザーに先進的なモビリティとエンターテイメント環境を提供して、Centrino Proはビジネスユーザーに対して非常に優れた運用管理とセキュリティーの機能を供給する」と説明。無線LANについても、「これから新しい無線LANの規格が出た場合は、Centrinoのブランドの中に取り込んでいって、利用形態、性能、ユーザービリティなどを進化させていきたい」(吉田氏)と近い将来登場する新しい無線LANにもCentrinoは積極的に対応していくことを示唆した。
阿部氏のスピーチでは、“Santa Rosa”Centrino対応CPUで導入された新しい機能「800MHzのFSB」「ダイナミックFSBフリークエンシー・スイッチング」「拡張版ディーバー・スリープ」「インテルダイナミックアクセラレーション」の概要やチップセット「モバイルIntel 965Expressファミリー」で内蔵グラフィックスコアに採用されたIntel GMA X3100のパフォーマンスなどを紹介するとともに、ビジネスユーザーが多い聴衆に向けて、Centrino Proに実装されたIntel Active Management Technologyによる、クライアントPCの管理機能のデモンストレーションを行った。
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