System 7で幕をあけた激動の1990年代(中編):林信行の「Leopard」に続く道 第4回(4/4 ページ)
MacとWindowsのシェア争いがメディアの最大の関心事だった時代、アップルは新たな地平を求めて奔走し、やがて自らを窮地へと追い込んでいく。
Mac OS Xへ
Mac OS 8のリリース後、アップルは次世代OS「Mac OS X」の開発に本腰を入れ、旧Mac OSは収束に向かい始める(もっとも、旧OSの開発チームは、ぎりぎりまで新機能の開発に精力的で、最後の最後まで多数の便利な新機能の追加に励んだ。彼らの最後の輝きは賞賛に値する)。
Mac OS 8は、Mac OS Xへの移行準備を始めたOSであり、Mac OS 9は、Mac OS Xの機能の一部、つまりClassic機能のために開発されたOSだった。
Mac OS 8では、まずHFS+という新しいファイルシステムが採用された。これは後にMac OS Xのファイルシステムとしても採用されたものだ。続くMac OS 8.5では、Mac OS Xの標準文字コードとなるUnicodeの採用が進んだ。Mac OS 8.6は、nanoカーネルと呼ばれる新カーネルを採用し、開発者にスレッド・プログラミングというプログラミングを広める一方で、Mac OSの基本部分をハードウェアから切り離し、移植しやすい状態に近づけた。
Mac OS 9では、Mac OS 9用アプリケーションとMac OS X用アプリケーションのどちらも作れる「Carbon」というAPIが搭載され、その後はひたすらMac OS XのClassic環境の一部として安定動作するための改良を続けた。
アップルはClassic環境を当面提供し続けるとしていたが、Mac OS Xへの移行が予想よりも速く進み、MacのハードウェアがインテルCPUに移行したことで、徐々にフェードアウトすることになる。
現在、インテルCPU搭載のMacではエミュレータを使わない限り、旧Mac OSのアプリケーションは動かない。いまなお残っている旧Mac OS時代のわずかななごりといえば、Mac OS Xに息づくCarbon APIだけだ。そしてこれもインテルCPUへの移行にあわせて大きく変貌している(後編に続く)。
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ナノカーネル、Classic環境、Carbon API
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