Nehalem世代のモバイルプラットフォーム「Capella」が動いたっ!:Intel Developer Forum 2008(2/2 ページ)
MIDやNetbookなどの新カテゴリーで盛り上がるノートPCプラットフォームで、Intelはいかにして自分たちの技術を訴求していくのだろうか。
勢いが止まらないNetbookは、モバイル機能の充実がカギ
2008年のノートPC市場を刺激しているのが、「Netbook」といわれる製品群だ。また、ノートPCでも、Intelは従来よりパッケージサイズを縮小した「Centrino 2」を投入する。パルムッター氏は「これで“Small Form Factor”と呼ばれる小型ノートPC市場に訴求できる」と、これからも、携帯性能を重視した小型ノートPC向けの製品開発に力を入れていく意向を示した。これまでは、日本の市場で特化した感のあった“ミニノートPC”市場だが、MacBook Airの登場に見られるように、最近では欧米市場でも「軽くて薄型」という要素が重視されつつある。「日本の一部のユーザーにしか受け入れてもらえない」という認識は改めるべきかもしれない。
また、小型化をさらに推し進めた極端な例がMIDとなり、低価格化を推し進めたのがNetbookと見ることもできるだろう。IntelのAtomリリース以降、わずか数カ月程度の期間に、多くのベンダーからAtomを搭載したNetbookが登場している。Netbookが2008年のノートPC市場で台風の目となっていることは、PC出荷台数調査を四半期ごとに行っているGartnerやIDCも指摘しており、世界経済の低迷で従来タイプのノートPC需要が鈍るなか、予想外の需要を喚起しているようだ。実際、ノートPCの出荷台数にNetbookカテゴリーの製品出荷台数を加えると、デスクトップPCのそれを大きく超えると予想されている。
ノートPCが全世界的に主流となったことで、多くのユーザーの意識はモバイルコンピューティングに向かうことになる。そうなると、これまで屋内で据え置きのPCを使っていたユーザーが外にPCを持ち出すことで遭遇するトラブルや、屋外でPCを快適に利用するためのサービスを求める声も多くなるだろう。外でPCを使うときに予想されるトラブルの最たるものは、ノートPCの盗難とそれに伴う情報流出だ。モバイルコンピューティングの先進国ともいえる日本では、すでのこのトラブルが続出している。また北米でも、車上盗難によるノートPCの被害が多発している。こうした、ノートPCの盗難で情報の流出を防ぐために有効なのが「リモートでデータを消す」技術だ(情報流出の損失は盗まれたノートPCの金銭的被害をはるかに上回る)。
それを実現する機能の1つが「Intel Anti-Theft Technology」だ。“盗難防止”と名づけられたこの機能では、リモートでノートPCの稼働状況を監視できるようになる。もしノートPCが盗難されたら、そのノートPCに「ポイズンピル」(毒薬)を有効にするコマンドを送ることにより、コマンドを送られたノートPCの機能を無効化し、データを消失させる仕組みだ。こうした機能は「リモートワイプ」(Remote Wipe)とも呼ばれ、モバイル機器の増加とともにさまざまなメーカーで技術研究が進んでいる。クライアントPCの集中管理を行っているような企業であれば、このAnti-Theft Technologyとの組み合わせで大きな効果が期待できるだろう。
モバイル向けサービスの充実という面では、日本でも2009年以降に試験運用が開始されるWiMAXが挙げられる。米国や韓国などではWiMAXをベースにしたサービスが開始しているが、加入者が当初の予想より伸びていないなど、成果を上げているとはいえない状況にある。Centrinoの登場でWiFiホットスポットが急増したように、ここで期待されるのがノートPCでのWiMAX標準サポートだ。
IntelはCentrino 2のリリースにあたり、IEEE 802.16eのWiMAX通信を可能にするモジュールの提供を公約している。IDF 2008では、WiMAXモジュールの提供が正式にアナウンスされ、数カ月内に出荷される見込みだ。Centrinoの立ち上げでノートPC製品の数が急増したように、WiMAXの利用も2009年から順調に成長していくことを期待したい。
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