省電力モデルにX2──選択の幅が広がった「AM3」CPUを一挙に試す:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
COMPUTEX TAIPEI 2009にあわせたように、AM3対応CPUが一度に登場。今回発表された低消費電力版や3コア、2コア版、そしてAthlon II X2を一気に試してみる。
「同クロックでコア数違い」「少ないコアで高クロック」の優劣は?
Phenom II X4 905eと同じ動作クロックでコアが3つのPhenom II X3 705eや、3コアだが動作クロックが低いPhenom II X3 705eとデュアルコアでも高クロックなPhenom II X2 550など、いずれもベンチマークテストの結果が気になる組み合わせだ。
CPU処理能力が反映されるベンチマークテストで、確かに705eは905eのちょうど4分の3に相当する結果になる。全体的に見れば、905eのスコアが705eより高いが、Sysmark 2007 Previewでは、4コアと3コアではっきりとした違いが生じたのはVideoCreationと3Dであって、残りの項目はわずかな差にとどまっている。利用するアプリケーションのマルチスレッド対応や、同時実行を行うアプリケーション数とコアの数の関係によって、ベンチマークテストの結果が大きく左右されることになる。
Phenom II X3 705eとPhenom II X2 550のベンチマークテスト結果の比較でも興味深い傾向が見られた。SandraのCPU関連ベンチマークテストやCinebench 10のMultipleテストなどは、3コアのPhenom II X3 705eが優位であるが、Sysmark 2007 PrevireではPhenom II X2 550が705eを上回り、PCMark05とPCMark VantageでもX2 550がX3 705eを上回っている。もっとも、TDPを比べるとPhenom II X3 705eが低いわけで、それぞれに異なる局面でメリットがあるといえるだろう。
動作クロックが3.1GHzと3.0GHzとほぼ同じなPhenom II X2 550とAthlon II X2を比較すると、3次キャッシュメモリの有無、メモリ帯域幅の違いなどから、テスト結果がだいぶ変わる。動作クロックが影響しやすいSandraベンチマークテストでは、Phenom II X2 550がCPU関連テストで3%程度、メモリ帯域幅テストで6%程度上回る。しかし、ほかのベンチマークテストではそれ以上に差が開いている(Sysmark 2007 PrevireやPCMark Vantageでは10%程度)。
消費電力では、TDPが80ワットのPhenom II X2 550よりTDPが65ワットのPhenom II X4 905eが一番高い結果となった。コア数が多いことが影響しているのかもしれない。消費電力で優れた特性を示していたのがAthlon II X2 250だ。TDPは65ワットで、Phenom II X3 705eと同様という結果が出ている。
今回の4モデル発表によって、AM3対応CPUのラインアップは倍増した。各ユーザーが考える自作PCのプランに沿った製品が選べる環境が整いつつある。特にTDPが65ワットの3製品は、省電力志向のユーザーにとって注目できるモデルだろう。
価格を見ると、Phenom II X4 905eが2万1000円前後、Phenom II X3 705eが1万3000円前後、Phenom II X2 550が1万1000円前後、Athlon II X2 250が9500円前後になる。Phenom II X4 905eは4コアで低消費電力ということもあってやや高いが、Phenom II X3以下の製品は1万円前後で、それぞれの価格差が2000円前後と選びやすい。特にAthlon II X2 250のように1万円以下のCPUがAM3向けに登場することで、これまでAM3プラットフォームにあった割高感もいくぶん解消できるのではないだろうか。
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