四半世紀を過ぎて進化し続けるロジクール製マウスに迫る:元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)
地味ながらPCのインタフェースとして重要な役割を担い続けているマウス。その最新モデルをチェックした。
解像度の切り替えスイッチを備えた「Logicool Performance Mouse M950」
一方、大型のPerformance Mouse M950は、MX Revolutionとほぼ同じサイズの8ボタンマウスだ。MX1100でも採用されていた親指付け根のボタン(アプリケーションスイッチャー)がサポートされているほか、進む/戻るボタンの下に専用のズームボタンが用意される。ホイールのスクロールモード(高速あるいはクリック・トゥ・クリック)を切り替えるスイッチは、ホイール下に独立して用意されており、ホイール自体をホイールスイッチとして利用することが可能だ。つまりM905とM950では、ホイールスイッチの扱いが異なることになる。筆者はどちらかの方式に統一すべきだと思っているが、それぞれの方式にファンがいて、なかなか統一が難しいらしい。もちろんホイールは垂直、水平ともスクロール可能だが、水平方向が感圧スイッチになっており、ドライバと合わせて徐々にスクロール速度が上がるようになっている。
電源は、底面の電池ぶた内部にあるニッケル水素充電池(容量は1.2ボルト 1200mAh)だ。交換ができなかったMX Revolutionに対し、汎用の単三形を1本利用する(駆動時間は約4週間)。充電は付属のUSB ACアダプタとマウスをケーブルで接続して行う。マウス側のコネクタは抜けにくいマイクロUSBコネクタが使われており、ケーブルを接続したままの状態で、充電しながら使うことも可能だ。なお、M950にもUSB ACアダプタとケーブルを収納するポーチが付属するが、残念ながらマウス本体は収納できない。
マウスの機能としてM905になくM950のみ備えているのが、マウス感度の切り替え機能だ。最大1500dpiまでの任意の感度設定を2種類登録しておき、ワンタッチで切り替えることができる。ただし、この機能はデフォルトではボタンに割り当てられておらず、ズームボタンや親指ボタンにユーザーが割り当てる必要がある。
四半世紀を経て、さらに進化を続けるマウス
この2つのマウスを使ってみた感想だが、確かにガラスの上でもマウスが使える。Darkfieldテクノロジーを利用するには、ガラスの厚さが4ミリ以上であることが必要なのだが、一般にガラステーブルなどはもっと厚いから、実用上の問題はないはずだ。手入れが容易という理由からか、海外で宿泊するホテルで、ライティングデスクの上にガラスが敷かれていることが意外に多い。Darkfieldテクノロジーを採用したマウスなら、そういう場合もあわててマウスパッドを探したり、最悪の場合、買いに出かけなくても済む。また、個人的な興味から試してみたが、鏡の上でも問題なくマウスを利用することができた。空中以外のあらゆる場所で使える感じだ。
このM905とM950にはUnifyingテクノロジーに対応した「超小型Unifyingレシーバー」が付属する。1つのレシーバーに最大6つの入力デバイスの接続が可能だ。6つというのは、使用する2.4GHzデジタル無線技術の帯域で十分な性能を保証可能な機器の数ということで決められたもので、1つのアダプタに7つ目のデバイスを登録(ペアリング)しようとすると、既存のデバイスの中からどれか1つを削除するよう求められる。
今回、まずM905をシステムに接続し、M950を追加してみたが、追加の際に必要な作業はUnifyingソフトウェア(ロジクールのマウスドライバソフトウェアであるSetPointに付属する)を起動し、マウスの電源を入れるだけ。マウスは自動的に認識され、マウスのクリックだけで登録が完了する。1つのアダプタには上で記したように最大6つのデバイスを登録できるが、1つの入力デバイスは1つのアダプタとしか接続できない。また、アダプタとデバイス間の通信は128ビットAESで暗号化されており、他人に入力を読み取られないようになっている。
マウスが一般のユーザーに広く使われるようになったのがGUIの普及だとしたら、マウスは1984年のMacintoshの発売以来、あるいは1990年のWindows 3.0の登場以来、使い続けられてきたことになる。すでに四半世紀あまりの歴史を持つデバイスであるにもかかわらず、このように目に見える形での技術革新が今も続いているというのは、IT業界においてもなかなか珍しいことだ。Darkfieldテクノロジーにより、ついにガラスまで克服したマウスは、次にどこへ向かうのか。それを考える前に、まずM905あるいはM950を手にしてみてはいかがだろう。
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