ThinkPadを思わせるユーティリティとパワフルな構成──レノボ・ジャパン「IdeaPad U350」に満足する(2/2 ページ)
Netbookで日本のコンシューマー市場に参入したIdeaPadシリーズ。その第2陣として登場した“Ultrathin”なIdeaPadの実力を試してみた。
ThinkVantageと同じ使いやすさをIdeaPadで
IdeaPad U350には、ユーティリティソフト「Lenovo ReadyComm 5」や、「OneKey Recovery」、本体に内蔵するWebカメラを利用する顔認証ソフトの「Lenovo VeriFace 3.5」、Windows Vistaで用意された電力管理機能より細かい制御が可能な「Lenovo Energy Management」などのユーティリティソフトがインストールされる。
レノボ・ジャパンでは、IdeaPadでもThinkPadに相当する使い勝手を実現すると説明会で述べていたが、例えば、Lenovo ReadyComm 5はThinkPadシリーズに導入された「Access Connections」のように無線接続設定を支援する機能を持ち、ObeKey Recoveryは、ウィザード形式でシステムのバックアップやリカバリーを実行するなど、その目的は、ThinkPadの「Rescue and Recovery」に近い。
Lenovo ReadyComm 5から無線接続コントローラの電源オンオフができないことや、Lenovo Energy Managementに無線LAN、サウンドコントローラ、Bluetooth、有線LANの各コントローラで電源オンオフが設定できる機能がありながら、「スーパー省エネルギー」モードでしか使えないなど、ユーザーが自由に設定ができる構成になっていてほしい部分もあるが、コストパフォーマンスを重視したIdeaPadのラインアップでもThinkPadのようにユーザー支援を意識していることは、高く評価したい。
デュアルコアCULVの性能に満足。バッテリーもガシガシ使って4時間いける
電力管理モード | 高パフォーマンス | 省電力 |
---|---|---|
PCMark05:PCMark | 3237 | 2234 |
PCMark05:CPU | 3674.0 | 1974.0 |
PCMark05:Memory | 3510.0 | 1921.0 |
PCMark05:Graphics | 1306.0 | 1029.0 |
PCMark05:HDD | 5124.0 | 4993.0 |
PCMark05:HDD - XP Startup | 8.4 | 8.0 |
PCMark05:Physics and 3D | 60.3 | 35.4 |
PCMark05:File Decryption | 41.5 | 21.6 |
PCMark05:Audio Compression | 943.2 | 614.4 |
PCMark05:Video Encoding | 327.4 | 172.0 |
PCMark05:Image Decompression | 19.0 | 10.8 |
PCMark05:File Compression | 4.0 | 1.6 |
PCMark05:HDD - Virus Scan | 19.0 | 57.3 |
3DMark06:3DMarks | 705 | 577 |
3DMark06:CPU | 1215 | 733 |
CineBench10:Single Rendering | 1646 | 867 |
CineBench10:Multiple Rendering | 2885 | 1637 |
FinalFantasy XI Official Benchmark 3:Low | 2320 | 1410 |
FinalFantasy XI Official Benchmark 3:High | 1583 | 1005 |
今回評価に用いたIdeaPad U350は、冒頭で紹介したように、CPUにデュアルコアのCore 2 Duo SU9400を搭載する。そのほかにも、メモリが4Gバイト、HDDもSerial ATA接続の500Gバイトを搭載するなど(評価機にはWesten Digitalの「WD5000BEVT-22ZAT0」が組み込まれていた)、そのスペックは実売価格が8~9万円というモバイルノートPCとしては高い。そのIdeaPad U350の能力をベンチマークテストの「PCMark05」、「3DMark06」(3DMarksとCPU)、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「Cinebench 10」で検証した。
奇しくも、今週(2009年9月第3週)のPC USERでCULVを搭載したノートPCのレビューが連続して掲載されているが、MSIのX-Slim X400(ディスプレイとキーボードを改善して7万円を切った!──MSI「X-Slim X400」で遊ぶ)はCore 2 Solo SU3500を搭載し、ASUSのUX50V(大画面×スリムボディが新鮮なCULVノート――「UX50V」に迫る)は、IdeaPad S350と同じCore 2 Duo SU9400を採用する。UX50VはNVIDIAのGPU「GeForce G105M」を搭載してグラフィックス性能が有利であったり、X-Slim X400に搭載されたCore 2 Solo SU3500はシングルコアながら動作クロックはCore 2 Duo SU9400と同じ1.4GHzであるものの、評価機に導入されていたOSが英語版だっりと、プラットフォームごとに構成条件が同一でないので、横並びの評価は難しいところだが、それでも、CPUとメモリ、HDDの性能比較において、IdeaPad U350で測定したベンチマークテストの結果は、UX50Vと互角と考えていい。
液晶輝度、電力管理、システム負荷 | 消費電力(ミリワット) |
---|---|
高輝度、高パフォーマンス | 9206 |
中輝度(5/11レベル)※手動設定、バランス | 6453 |
低輝度(1/11レベル)※手動で設定、省電力 | 5772 |
中輝度、省電力、PCMark05 Multithreaded Test3 | 14534 |
中輝度、高パフォーマンス、PCMark05 Multithreaded Test3 | 18441 |
IdeaPad U350のバッテリー駆動時間はレノボ・ジャパン公称値で約5時間とされている(JEITA測定法1.0)。ノートPCの消費電力を測定するユーティリティの「Ybinfo」(Yuryu氏作成 Yuryu's Bettery Information Ver.1.0)で調べたところ、評価用のIdeaPad U350に搭載されていたバッテリーの設計容量は61331ミリWhであった。このYbInfoを使って、電力プランと液晶輝度を変更したそれぞれの状態でシステムの消費電力を測定したところ、高輝度、高パフォーマンスプランでは約9000ミリワット、最低輝度、省電力プランで約6000ミリワットという結果になった。
また、CPUでマルチスレッドを処理するPCMark05のMultithreaded Test 3テストを中輝度、省電力プランで実行したところ、消費電力は1万4534ミリアンペアに達した。これらの結果から、パッテリーが設計値どおりの容量である場合、IdeaPad U350は重い負荷を連続して実行しても4時間半程度は余裕で動作してくれると思われる。
キーボードとパームレストにおける温度分布も測定してみた。評価中にキーボードとパームレストに手を置いていると、熱くて汗をかくというほどではなかったものの、左手が右手に比べて温かく感じた。しかし、実際に温度を測定したところ、パームレスト左側とキーボード左側がともに約31度、パームレスト右側とキーボード右側がともに29度とその差は少ない。また、左側の温度そのものの特に高熱というほどでもなかったことも測定結果からいえるだろう。
Atomを搭載した低価格モバイルノートPCの多くは実売価格で5万円を切るモデルが当たり前になっている。多くのユーザーが、「モバイルノートPCは5万円から」という認識を持ってしまうまでにNetbookは普及したが、最近になって「Atomマシンのもっさり感がどうもね」と声が少なからず聞こえているのも事実だ。
CULVの登場によって、Netbookとは格段に異なる快適なパフォーマンスが10万円を切るノートPCでも可能になった。IdeaPad U350のように、デュアルコアCPUとIntel GS45 Expressなどの最新チップセットに統合されるIntel GMA 4500MHDの組み合わせで、HDコンテンツの再生も問題なく対応できる。さらに、IdeaPad U350なら、標準で導入されるユーティリティソフトによってThinkPadシリーズを思わせる使い勝手も享受できる。
「メールとWebブラウザだけじゃないんだよね」と思うようになってきた脱初心者ノートPCユーザーだけなく、最初のモバイルノートPCを探しているユーザーや、軽くてパワフルなモバイルノートPCを求めるベテランなど、幅広いユーザーに、IdeaPad U350は有力な候補となるだろう。
関連キーワード
IdeaPad | レノボ | ノートPC | IdeaPad S シリーズ | IdeaPad S10 | Netbook | ThinkPad | CULV | ミニノートPC | モバイルPC | MSI X-Slim Series | ASUS Uシリーズ | モバイル・サブノート PC | Core 2 Duo | ユーティリティ | IdeaPad S9e | 薄型ノートPC | HDMI
関連記事
新モデルの情報を随時更新:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
新作が続々と登場するミニノートPC。人気のVAIO type Pはもちろん、東芝や富士通、シャープといった国内メーカー製の新型Netbookに注目だ!!大画面×スリムボディが新鮮なCULVノート――「UX50V」に迫る
CULVと聞くと低価格の薄型軽量ノートPCをイメージするかもしれないが、ASUSの「UX50V」は大きく違う。15.6型ワイド液晶を備えつつ、スリムなCULVノートPCなのだ。ディスプレイとキーボードを改善して7万円を切った!──MSI「X-Slim X400」で遊ぶ
MSIとは思えないほど(し、失礼っ)斬新な外見で注目を集めたX340 Super。その進化形が登場した。価格抑えめで使い勝手は向上したX400をじっくり検証した。CULV搭載ノートは「モバイル・サブノート PC」へ
2009年8月19日に行われたIdeaPad発表会には、インテルもゲストスピーカーとして登場。CULV搭載ノートの“インテル公式呼称”を紹介した。レノボ・ジャパン、日本市場向けIdeaPadラインアップを拡充
レノボ・ジャパンは、8月19日に日本市場に投入する新しいIdeaPadを発表した。出荷開始は9月5日からの予定だ。スペック以上に大変身した第2世代の“S10”──カジュアルなIdeaPad S10-2を楽しむ
レノボ・ジャパンが日本のコンシューマー市場に投入するNetbookが思いっきりカラフルになって登場。見た目の変化と実力の変化を検証してみた。レノボ、最薄部18ミリの薄型軽量筐体を採用したミニノート「IdeaPad S10-2」
レノボ・ジャパンは、ミニノートPC「IdeaPad」の新モデル「IdeaPad S10-2」を発表。さらなる薄型軽量化を実現、駆動時間も最長6時間となった。Lenovo、ION採用のIdeaPad S12を発表──日本市場への投入は「検討中」
Lenovoから12.1型ワイド液晶を搭載する「IdeaPad S12」が発表された。NVIDIAの「ION」搭載モデルも用意され、2009年夏以降に出荷する予定だ。レノボ、「IdeaPad S10」にソフトバンク製ワイヤレスWAN搭載モデルを開発
レノボは、ソフトバンクモバイル製となる通信モジュールを搭載したミニノートPC「IdeaPad S10(通信モジュール搭載モデル)」の開発を発表した。“S10e”と何がどう違う?──レノボ・ジャパン「IdeaPad S9e」
大々的に発表されたIdeaPad S10eに比べて、IdeaPad S9eはかなり控えめな存在だ。レノボ・ジャパンのWebページでも情報が出てこない「隠れた銘品」を紹介しよう。IdeaPadは“新しい流れ”になる
「ThinkPadは法人向け」という姿勢を崩さないレノボ・ジャパンがIdeaPad S10eでコンシューマー市場に参入した。彼らはどれだけ本気なのだろうか。レノボ・ジャパンがコンシューマー市場に参入した理由
IdeaPad S10eの新製品発表会では、製品以上にレノボ・ジャパンが日本のコンシューマー市場にどのように取り組んでいくのかについても注目が集まった。「IdeaPad」で国内コンシューマー市場に“再参入” レノボからミニノート
「納得できる製品ができるまで待っていた」──レノボ・ジャパンがミニノート「IdeaPad」で国内市場に“再参入”する。ハイスペックかつフルサイズに近いキーボード、手厚いサポートをそろえ、後発ながら大手の一角への食い込みを狙う。レノボのNetbookがついに日本市場へ──IdeaPad S10e“いきなり”フォトレビュー
レノボのNetbookがようやく日本で登場する。ワールドワイドモデルからちょっと“豪華”になったIdeaPadを早速チェックしてみよう。レノボ、「IdeaPad S10」を発表──日本市場への投入は「検討中」
レノボは、8月4日にコンシューマー市場向けのNetbookとして、IdeaPadの新製品「IdeaPad S10」を発表した。出荷開始は10月からで価格は399ドルの予定。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.