はざまを埋めるトリプルコアがAthlonでも──Athlon II X3 435の存在理由を考える:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
AMDから、Athlon IIシリーズの「Athlon II X3 435」が発表された。共有3次キャッシュなしの高クロックトリプルコアが発揮する性能とメリットとは?
省電力版のクアッドコアには負けないAthlon II X3
同じトリプルコアのAthlon II X3 435とPhenom II X3 705eでベンチマークテストの結果を比較すると、「SYSMark 2007」の“E-Lerning”や“Productivity”のように、より低クロックなPhenom II X3 705eがAthlon II X3 435を上回る項目もあれば、より高クロックなAthlon II X3 435がPhenom II X3 705eを上回ることもある。Overallで比較するとほとんど差がないというのも興味深い。ただ、Phenom II X3 705eは省電力版であるため、消費電力ではAthlon II X3 435が40ワットほど多い結果となっている。
一方、Athlon II X3 435の2.9GHzと動作クロックが近いAthlon II X4 630(2.8GHz)と比較してみると、PCMark05で、コアが1つ少ないAthlon II X3 435は分が悪い。しかし、SYSMark 2007では大きな差にならないところを見ると、実環境でのパフォーマンスはほぼ同等と考えられる。また、どちらもTDP 95ワットであるため、消費電力の測定でも14ワットという比較的少ない差にとどまっている。
一方、ピーク時の消費電力では、通常電力版と省電力版は明らかに異なっており、TDPという指標どおりの結果と言える。
Athlon IIのラインアップが広がってパフォーマンスと価格でより選びやすくなった
今回、Athlon IIのラインアップが拡充したことで、Athlon IIシリーズには、デュアルコア、トリプルコア、クアッドコアがそろった。コア数と動作クロックによっては選択が難しいレンジもあるが、それに加えてそれぞれに通常版と省電力版が登場しているため、消費電力という視点での製品選びも可能となった。
トリプルコアの製品は、クアッドコア製品よりも低価格、あるいは同じ価格帯であれば高クロックというメリットがある。また、マルチスレッドに対応したアプリケーションも増えてきているが、クアッドコア(以上)に最適化されたものはまだ少ない。そうしたアプリケーションを実行するユーザーには、トリプルコアのAthlon X3 435はクアッドコアのX4に負けない価値を持つだろう。
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