「“よい電源”と、そうでない電源の見分け方、教えましょう」──Antecがアピール
米Antecのリチャーズ上級副社長が来日。ハイエンドゲーマーやオーバークロッカー向けとする1200ワット級電源の新モデルとともに、自作PCユーザーに向けた「よい電源の見分け方」を説いた。
Windows 7の登場を機に、「では、早速新OSをインストールしよう」「いやまてよ、どうせならシステムごと一新してしまいたい」「そうだ、Radeon HD 5870買おう」などと計画する自作PCユーザーも多いだろう。発売日近辺の深夜イベントなどで、Windows 7とともにパーツをお値打ち価格で購入できた人などはなおさらだ。
「自作PC、特にハイエンドクラスのグラフィックスカードを用いるゲーマーの人は、マザーボードやCPU、メモリ、グラフィックスカードなど以外に、電源の仕様にも大きく気にかけてほしい。今回は、よい電源の見分け方を教えましょう」──東京・秋葉原のActecショールームに米Antecのスコット・リチャーズ上級副社長が来場し、同社製電源の新モデルとともに、“よい電源”を見分けるポイントを説明した。
「まずは電源選びの第一ポイントになるだろう“出力”について。継続定格出力とピーク出力の2種類がよく聞かれ、製品名や型番にも記載されると思うが、これらは異なる基準であり、たまに混同してしまうのに気をつけてほしいところです。継続定格出力は電源が継続的に供給できる“真の出力”ですが、ピーク出力はごく一時的に出せる最高値を示しているに過ぎないので、これだけを過信すると電力不足でシステムが不安定になることもあります。Antec製電源はスペックも型番も継続定格出力で示すので、安心かつ分かりやすいのが特徴。安定的かつ継続的に質の高い電力を求めるユーザーにとくに選んでほしいですね」(リチャーズ氏)
このほか、「OCP」(Over Current Protection:過電流保護回路)の搭載も“今後の電源”に求められる機能。電源がトラブルを起こす要因の1つに、システムの求める負荷が大きすぎている状況や何らかの要因でショートしてしまった場合などが挙げられる。この状況下でも、さらなる電源のダメージ増加や、ほかのハードウェアまで致命的なダメージを与えないよう、想定以上の電流から保護するのがOCPの役割だ。「他社製品にOCP搭載モデルは意外に少ないようですが、その多くはマーケティング的理由──より高い80PLUS認証を得るため、よりパワフルだと思わせるためなど──と思われます。Antecは安全性を最重要課題としてるので、電源製品には+12ボルトを含む全系統にOCPを搭載しています」(リチャーズ氏)
「さらに、内部温度に応じて回転数を自動制御するPWM(Pulse Width Modulation:パルス振幅)ファンによる静音性を確保しつつ、電流損失や空気抵抗、内部の破損トラブルも減少させる2層/2オンス基板レイアウトを採用するなど、普段は見えないところにこそ安心と高品質への工夫を盛り込んでいます。こういう細かいディティールの違いが、“いいものとそうでないもの”の違いといえます。同じ容量の製品でも価格差があるのは、その中身の品質が大きく違うからです」(リチャーズ氏)
ハイエンドゲーマーから高コストパフォーマンスモデルまで、1000ワットクラスの新製品
Antecが今回披露した4新製品は、いずれも定格出力1000ワット以上のモデル。“これ以上いい製品はない”(リチャーズ氏)という80PLUS GOLD認証のサーバ向け1200ワット電源「SG-1200」、新技術“PowerCache”搭載のハイエンドゲーマー向け1200ワット電源「TPQ-1200」、TPQ-1200にファン回転/+12ボルト出力の可変機構を追加したゲーマー/オーバークロッカー向けの「TPQ-1200 OC」、Antec製ケース専用のコストパフォーマンスに優れる1000ワット電源「CP-1000」の4つをラインアップする。
発売日や想定実売価格は2009年10月現在未定だが、2009年末から2010年にかけて発売する「ボーナス/年末商戦にはどれかが間に合えば……と思っています」(国内販売代理店のリンクスインターナショナル)とのことだ。
TPQ-1200とTPQ-1200 OCに搭載する「PowerCache」は、同社が“電源業界初”をうたう技術だ。2200μFのコンデンサーをCPUおよびグラフィックスカードへのコネクタ直下に搭載することで、ハイエンドシステムの急激な電力変化時にも対応する電力出力の安定性を確保する。このほか、使うものだけ設置する「ハイブリッドケーブルマネジメント」機構や6つ/計38アンペアのプラス12ボルト系統、Core i7/i5のスリープモード電流要件に対応、NVIDIA SLI/Hybrid SLI(デュアルGeForce GTX295、トリプルGeForce GTX285対応)とATI CrossFire X-Ready認証(4枚のRadeon HD4890サポート)、低ノイズPWMダブルボールベアリングファン搭載などの特徴とともに、80PLUS Silver認証モデルとなっている。ちなみに“OC”モデルは、背面にファン回転数とプラス12ボルト出力を好みで調整できるアナログスイッチを設け、より“上”を目指すハイエンドコンシューマー向けとする台数限定モデルに仕上げた。
CP-1000は同社製ケース“Twelve Hundred/P183/P193”専用として、余裕のあるサイズと構成で設計されたコストパフォーマンスに優れるモデルとして展開する。OCP搭載の4つ/40アンペアのプラス12ボルト系統、PWM制御の大型12センチファン、6ピン×2、8(6+2)ピン×2のグラフィックスカード用電源供給コネクタなどを備える。
「すべてのAntec製品は、“VIP”の思想に基づいている。これはValue(価値)/Innovation(創造性)/Perfection(完ぺき、熟成)を意味する頭文字だが、もう1つ、“大切な(自作ユーザーの)あなたへ”という意味もあるのだ」(リチャーズ氏)。
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