Antecで開発中の“ドデカ”PCケースを米国で見た
Antecといえば、PCケースベンダーでは珍しくプロモーションに積極的なことで知られている。2009 International CESでも、会場に隣接するホテルにプライベートブースを設けて新製品をプッシュしていた。
全載両開きのハイエンドPCケースを開発中
Antecは、開発中のコンセプトケースや、COMPUTEX TAIPEI 2008などで披露してきたユニークな「まな板」などの、多数の製品をプライベートブースに用意していた。
その中で最も注目したいのが、現在開発が進められているハイエンド“ドデカ”PCケース「P1000」(開発コード名)だ。4Uのサーバラックをそのまま立てたような、上部にごついハンドルを備えた重厚なデザインのP1000は、フロントパネルをスモークが入った半透明のカバーで覆い、その奥からは青色LEDが鈍く輝く。このフロントパネルカバーを右からでも左からでも開けるのがP1000の特徴の1つ、という説明だったが、展示されていたサンプルではまだ対応していなかった。サイドには大きく口を開けたエアインテークが設けられ、そこからボディ内部に取り入れられた冷却用の気流は、天面に設けられた大型のファンで外に放出される。
AntecのゲーミングPC向け大型ケースで採用されている、電源ユニットとバーツ収納スペースを隔壁で区切った「チャンバー方式」はP1000でも取り入れられている。正面には5型オープンベイのユニットとフロントファンユニットがすき間なく並んでいるが、これらはユニット単位で取り外しが可能なので、PCケース内部で重点的に冷却する場所が、上部なのか、中部なのか、下部なのかによってオープンベイとファンの配列を変更することが可能だ。
USB 2.0やeSATAのコネクタはケースの上部正面にも配置されており、床下にP1000を置いた状態でもケーブルの抜き差しが簡単に行える。また、サイドパネルはヒンジでつながっていて、観音開きのトビラのように開くほか、パネルを上方向にずらすことで、ヒンジがピンから抜けてパネルを完全に取り外すことも可能だ。ドライブベイには、振動を抑えるためのラバーが、サイドパネルに取り付けるファンのスリットには防じん用のフィルターが、そしてドライブベイのサイドにはツールを入れる収納ボックスが、それぞれ用意されている。
以上のように、大掛かりな仕掛けが施される予定のP1000だが、その予定価格は「約250ドル」と、電源ユニットが搭載されていない状態とはいえ、その重厚な見かけからは想像できないほどに安く設定される見込みだ。
デカイ電源ユニットはデカイケースに載せます
電源ユニットでは通常のATX電源よりも大柄な「CP-850」が新製品として登場する。ATXの規格を超えたサイズをあえて採用することで、ユニット内部のスペースを大きく確保しているので、サイズの大きなコンデンサや変圧ユニットを配置することが可能になっている。電源ユニットのサイズを大きくすることで、内部の空気の流れをよくして温度の情報を防いで安定動作を実現するだけなく、比較的価格の安い、大柄な部品を利用できるので製品の価格を抑えることが可能になるという。
ただし、先ほども述べたように、ATXの規格よりも大きいサイズであるため、汎用のATXケースに取り付けることができない。CP-850は、Antecがリリースしている大型PCケース(Hundredシリーズなど)で用意されている「通常より余計なスペースが確保された電源ユニット取り付け場所」があるPCケースでの利用を想定して企画された、いわば、Antec専用の電源ユニットでもある。(記事掲載時にCP-850の名称を間違えていました。おわびして訂正いたします)
CESのプライベートルームには、このほかにも電源ユニットが多数展示されていた。これらの多くは、イマドキの電源ユニットで流行りの「コネクタ式コード」を採用しているが、着脱式になっているのは「PCI Express 用電源」などの、特殊用途に使われるコードだけで、汎用のペリフェラル4ピンコードなどは固定のケーブルとして用意されている。この理由についてAntecは、固定式のコードは効率も高く故障も少ないので、標準構成で必ず使われるコードは固定式にして、ユーザーによって利用方法に違いが出るPCI Express電源は着脱式にするのが最も好ましいと説明している。
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