「より快適になった最新ノートンをいち早く使ってほしい」:日本は狙われている(2/2 ページ)
8月27日にシマンテックのセキュリティ製品「ノートン2011」シリーズの国内販売が始まった。製品担当の風間彩氏に、2011年版の特徴や最新のセキュリティ動向、日本先行発売の狙いを聞いた。
強化された「ダウンロードインサイト」
――最新版での強化点をもう少し具体的に教えてください
風間 レピュテーション技術をベースとした機能強化では、「ダウンロードインサイト」(Webからダウンロードしたファイルの安全性を評価する)が挙げられます。2010年版はIEとFirefoxでダウンロードしたものしか判定できませんでしたが、2011年版ではインバウンド全体を監視してより深いレベルで動作するようになり、ブラウザだけでなく、IMやメール、P2Pまで広範囲に保護を提供しています。加えて、このダウンロードインサイトは危険を特定するだけでなく、「いいものはいいよ」と言ってくれる点もオススメしたいポイントですね。例えば、何かアラートが出て「発行元不明」と言われたら、知識のない人は仮にそれが安全なものでも不安を感じてしまいます。一方、きちんと「安全です」と表示してくれれば、ユーザーへの心理的負担はなくなるでしょう。脅威がありました、と警告するだけでなく、保護されていることに関しても情報提示をするのは重要だと思います。
そのほかの機能としては、先に触れた検索エンジンの問題に対応する「ノートンセーフウェブ」(検索結果に表示されるリンク先の安全性を評価する)も強化されています。もしノートンセーフウェブが危険だと判断したリンク(赤い印)があれば完全に遮断するようになりました。
――2010年版に比べてパフォーマンスはどうでしょうか
風間 もちろん、パフォーマンス面に関しても最速・最軽量を目指して妥協なく改善を続けており、2010年版に比べて起動時間やファイルのコピー速度も向上しています。セキュリティ製品を設計する上で、現在ではパフォーマンスが重要な項目の1つになっています。実は2007年からその考えを開発コンセプトに取り入れ、2009年に製品設計の大幅な変更を行いました。ですので、今のパフォーマンスについては、悪いものを良くしていくというよりも、良いものをさらに良いものしていくという方向性ですね。実際、何かを大きく変えるのではなく、300くらいに分けられる細かい部分を各担当のエンジニアがコードレベルで見直し、全体としてパフォーマンスを向上させています。
まったく新しい保護者機能「ノートンオンラインファミリー」
――先ほど出てきたパワーイレイサーのほかに、保護者機能として「ノートンオンラインファミリー」も公開していますね
風間 ノートンオンラインファミリーは無償のWebサービスとして提供していますが、この製品をリリースしたそもそものきっかけは「これまでセキュリティソフトに付随してきた保護者機能が本当に子どもを守れるのか?」という問題意識が出発点でした。シマンテックにはセキュリティ以外にもさまざまな専門家がいますが、この分野でラウンドテーブルを重ねた結果、(行動を制限したところで)子どもはどんな手を使っても絶対にすり抜ける、そして多くの家庭では子どものほうがテクノロジーに関しては賢い、つまりスパイのような監視方法を取っても子どもには逆効果になるという結論に至りました。それでは保護者機能として何の意味もありません。大事なのは親にきちんと守られているということを子どもに感じさせることです。このため、ノートンオンラインファミリーでは両者の信頼関係を作るような仕組みになっています。
――ノートンオンラインファミリーをノートン2011に完全には統合せず、Webサービスとして提供した理由はなんでしょう
風間 利点は2つあります。まず、ノートンユーザーでなくても無償で利用できること。そしてもう1つは、いつ、どこからでもこの機能を利用できるということです。保護者が共働きなどで忙しかった場合は、子どもがインターネットを利用しているときにいつも側にいることはできません。以前、iPhoneからノートンオンラインファミリーを使うデモンストレーションをお見せしたかと思いますが、子どものほうから「見たいWebサイトがある」とか「クラスの友だちとIMで話がしたい」というリクエストがあった場合には、どこにいても別のネット端末から状況を確認して、問題がなければ許可することができます。
――現状では子どもが残したログを一定期間しかさかのぼれず、ログをWebからローカルPCに落とすこともできないようですが……
風間 ログをエクスポートしたいというニーズは私たちも認識しています。ほかには、プロバイダのサービスとして提供したい、ルーターなどの機器に組み込みたいといった、サービス事業者やメーカーからの声もありますね。このあたりについては検討課題ですし、ビジネスでメリットがあれば開発を進めたいと考えています。
日本は狙われている? ノートン史上初の日本先行発売
――ノートン2011は日本で先行発売されますが、この意図を教えてください
風間 日本先行発売はノートン史上初めての試みですが、その第一の理由はシマンテックが日本市場を非常に重視しているからです。これはマーケティングだけでなく、セキュリティの観点からも同様です。先ほど挙げた偽のセキュリティソフトがまず米国で流行し、その後日本語化されたものが出てくる、という流れを見ると、この“時差”によって対策を立てやすいと思うかもしれませんが、一概にそうとは言えなくなってきています。例えば、一時期日本で大流行したガンブラーは、トロイの木馬や偽のセキュリティソフトを拡散するためにオンライン犯罪者たちが計画した明確な“キャンペーン”でした。ネット犯罪者たちにとって裕福な日本は魅力的な市場と見られており、世界的な不況が続けばよりいっそうその傾向は強くなっていくでしょう。
ちなみにシマンテックのラボでは、個人情報を売買するようなブラックマーケットも監視していますが、(個人向け製品で)レピュテーション技術を導入した2010年以降は、ノートンに対する“苦情”を多く目にするようになりました(笑)。「ノートンにやられた」と。これはシマンテックにとって非常にうれしいことです。今まで以上に速く、より強固なセキュリティを実現した最新版のノートンを、日本のユーザーのみなさんにいち早く体験していただきたいですね。
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関連リンク
- 製品情報(ノートン インターネット セキュリティ 2011)
- 製品情報(ノートン アンチウイルス 2011)
- シマンテック
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