個人ユーザーこそ使ってみよう──RAIDより簡単なストレージアレイ「Drobo」の実力検証(後編):うほほっ、スゴく便利っす……(3/3 ページ)
RAIDの欠点を補い、ほぼ“全自動”で管理できる工夫が魅力のストレージアレイ「Drobo」シリーズ。後編では、アドオン機能「DroboApps」とリビルド作業の使い勝手、データ転送速度などを検証する。
転送速度もそれなり──eSATA接続時で約84Mバイト/秒、ギガビットLAN接続時で約46Mバイト/秒
ではデータの転送速度はどうだろう。今回は容量2Tバイトの日立GST「HDS722020ALA330」を5台用い、搭載ドライブ数とインタフェース別に計測した。
Drobo SにおけるeSATA接続のみやや結果にバラつきがあったものの、基本的には搭載ドライブ数における転送速度の差はほとんどないとみていいだろう。それぞれシーケンシャルリードで見ていくと、Drobo SのUSB 2.0接続時で約30Mバイト/秒、eSATA接続時で約84Mバイト/秒、Drobo FSの有線ギガビットLAN接続時で約46Mバイト/秒となった。
転送速度の値そのものはとくに優秀ではない。ただし、よくあるUSB 2.0の一般的な外付けHDDをUSB 2.0接続で利用する実速度とさほど変わらない──ということで、決して遅いわけではない。Drobo Sをより高速な環境を望むならeSATA接続にて運用するとよいだろう。なお、同社によるとUSB 3.0対応モデルも今後のニーズに応じて検討したいとのことだ。
業務利用はもちろん、利便性と安全性を望む自作PCユーザーにも
Drobo S、Drobo FSは、SMBやSOHO、大容量データを扱うクリエイティブ業務といったといったビジネスシーンはもちろん、コンシューマーPCユーザーにも適する。高画素化が進むデジタルカメラや、フルHD対応のデジタルビデオカメラなどで一気にファイルサイズが増加しつつも、“ずっと保存しておくべき”大量のデジタルメディアデータを整理・管理したい人に対し、今までより一歩先となる“万一の故障時も想定した”データ管理用ストレージとして適している。
HDD自体の容量は年々増加し、Gバイト単価も安価になってきているが、急速に高画素化するデジタル機器によってそれを上回るペースでデジタルデータは増加していく。そろそろ全てのデジタルデータを1台のHDDで管理することが難しくなってきている人も多そうで、PCに何台もの外付けHDDが接続されている人もいるのではないだろうか。複数のHDDに分散したデータを1箇所にまとめて管理したくなったら、これまではRAIDアレイやNAS、Windows Home Server機などの導入を検討していたわけだが、RAIDにはやや高度な知識が必要で、ハードウェアの制限も多少存在する。この点、Droboならストレージ・ロボットたる全自動の管理がそうした手間を解消してくれるし、容量の拡張も簡単で1台のまま長期に渡って管理し続けることができる。
では、Drobo SとDrobo FSのどちらがよいか。5ベイ仕様のNASが軒並み10万円を超えることを考えると、実はDrobo FSが意外にお買い得。複数台のPCが常に稼働する自作PCユーザーの筆者としては、ネットワーク経由で使えるDrobo FSがお気に入りだ(DroboAppsの機能拡張で、ちょっと遊べるというのもある)。
やはり導入において気になるのは、“とはいえ初期コストがやや高額”なことか。2010年11月現在、Drobo S、Drobo FSともに実売7万円弱~7万円台後半で、別途2台以上の3.5インチHDDも必要だ(余っているSerial ATAのHDDを使用するなら別だが)。ただ、数年間使うことを想定したトータルコストと運用・管理の容易さを考えるとどうだろう。今後、1ドライブでより大容量なモデルも登場し、HDDのGバイト単価はさらに下がると思われるので、“足りなくなったら、ラクに追加できる”拡張性は大いに魅力と感じられる購入ポイントになるのではないだろうか。
このため、「足りなくなったら、そのときにコストパフォーマンスの高いベアドライブを追加して拡張可能」、そして「万が一HDDが壊れても、交換すればOK」というメリットは、決してむだにはならない投資と思われる。単なるUSB外付けHDDや、ベアHDD+外付けケースキットを都度買い足しながら運用するより、“一歩以上進んだ”便利で快適、かつ安心のPC利用環境になるはずだ。
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