“Sandy Bridge”でどこまで変わった?――新型「13インチMacBook Pro」の実力:驚異のコスパ(2/2 ページ)
第2世代のCore iプロセッサを搭載する新型MacBook Proから13インチモデルを取り上げ、各種ベンチマークを実施して新旧モデルを比較していく。旧型ユーザーは涙目になりそうな結果に……。
Windows 7環境でシステム性能をチェック
続いてWindows 7環境下でベンチマークテストを実施していく。今回使用したBootCampドライバは、製品付属のCD-ROMに収録されている「BootCamp 3.2 Build 2761」だ。なお、旧モデルは「BootCamp 3.1 Build 2351」で、厳密に環境が統一されているわけではない点に注意してほしい。実行したのは、PCMark05、PCMark Vantage、3DMark06の3つで、総じてグラフィックス性能の低さから3DMarkVantageや3DMark11などは実施していない。
PCMark05の結果は、CPUのスコアが8338とやはりCore i7搭載の旧15インチMacBook Proに肉薄している。旧型13インチモデルに比べれば圧倒的な差だ。またMemoryのスコアも高く、全体的なシステム性能が大幅に引き上げられているのが分かる。一方、Graphicsのスコアを見ると、CPU統合型のIntel HD Graphics 3000は、旧13インチモデルと同程度、外付けGPUを搭載する旧15インチモデルとは比ぶべくもない。
PCMark Vantageは、総合スコアが5091と、旧13インチモデルの3682を上回る一方で、旧15インチモデルにはやや水を空けられた。ただし、スコアを個別に見ると、大きく差をつけられたのはCommunicationで、これは新型13インチMacBook Pro(MC700J/A)に搭載されるCore i5(CPU-Zの画面ではCore i5-2415M)が、AES暗号化/復号化を高速化する命令セット「AES-NI」に非対応であるためだろう(旧15インチモデルのCore i7-620Mは対応している)。
一方、DirectX 9.0c世代のベンチマークテストである3DMark06の結果は、これまで見てきたCPU性能の向上とは裏腹に、最も悪い結果となった。NVIDIAの統合型グラフィックスであるGeForce 320Mに届かず、外付けのGeForce GT 330Mに比べると2倍以上の差をつけられている。いずれにしても最新の3Dゲームを楽しむのはやや厳しいのでそれほど気にすることはないが、いかにもインテルのGPUらしい結果といえなくもない。
なお、ベンチマークテストプログラムを走らせてシステムに負荷をかけると、排気ファンが回り始め、本体背面のスリットから暖かい空気が放出される。液晶ディスプレイがさえぎる位置にあるため、ノイズはいくらか軽減されるとはいえ、静かな部屋で使用しているとやや気になるかもしれない。
バッテリー駆動時間は実際のところどうなのか
最後にバッテリー駆動時間を実測した。新型MacBook Proのバッテリー駆動時間は、スペックシートによると約7時間になっており、旧モデルの約8時間から短くなったように思えるが、これは測定方法が変わったためで、実質的な駆動時間は「ほぼ同等」と同社は説明している。
そこでMac OS X環境で画面輝度とキーボードバックライトを最高にしたうえで、1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生し、バッテリーが切れるまでの時間を手動で計測した。また、Windows 7環境下では画面輝度を中間、10秒おきにキーボードを押下、60秒ごとに無線LANによるインターネット巡回を行う設定(BBench 1.01/海人氏作を使用)でテストしている。
結果はMacOS Xで約258分、Windowsでも約260分と、やや厳しい測定条件にも関わらず4時間を超える駆動時間を達成した。公称値には届かなかったものの、ほぼフルに使った状態でこれだけ持てば、移動の合間などにメールチェックやWeb閲覧、文章を書くといった作業はほぼ1日問題なく行えるはずだ。また、旧MacBook ProでBBenchを実行した結果は約274分となっており、短くなったという印象はまるでない。この点については安心していいだろう。
以上、新型MacBook Proのうち、最も安価な13インチモデルを見てきた。アップルが“最大2倍の性能アップ”とうたうだけあって、システム性能が大幅に引き上げられているのを確認できた。外付けGPUを搭載する15/17インチモデルとは違い、13インチモデルのIntel HD Graphics 3000にはやや不満も残るが、そもそもこのレベルのグラフィックス性能なら五十歩百歩ともいえ、旧モデルに比べて大きな違いはない。
それよりも、Core i7を搭載する旧15インチモデルとCPUパフォーマンスがほとんど変わらない点に注目すべきだろう。ディスプレイのサイズや解像度などが異なるとはいえ、半年前に20万円以上したモデルとほぼ同等の処理性能を持つマシンが、今では10万8800円で手に入るようになったと考えると、本機のコストパフォーマンスの高さがよく分かる。
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