「VAIO Sシリーズ15」を自己責任でパワーアップしてみた:メモリ増設+SSD化で再レビュー(2/5 ページ)
コンサバな仕様のVAIO店頭モデルだが、意外に内部パーツを拡張しやすい構造のモデルも少なくない。今回は「VAIO Sシリーズ15」のメモリを増設し、HDDをSSDに換装した場合にどれくらい性能がアップするのかを確かめた。
増設用メモリにはセンチュリーマイクロのDDR3L/DDR3を用意
そんなわけで、今回は個人的に店頭モデルのイケてないと感じる部分、つまりメモリとデータストレージをカスタマイズしてみることにした。
まずはVAIO Sシリーズ15の仕様を改めて確認してみよう。メモリには1.35ボルト駆動のDDR3L-1333を採用している。4Gバイトがオンボードで実装されているほか、底面にはSO-DIMMスロットを1基搭載しており、ここに4Gバイトモジュールを差せば8Gバイトに、8Gバイトモジュールを差せば12Gバイトまで容量が増やせる。
メモリの標準仕様がシングルチャンネルアクセスなので、メモリモジュールを増設すればデュアルチャンネルアクセスになり、メモリを多く使わない用途でも速度面でメリットがある(12Gバイト構成時は8Gバイトの範囲内までデュアルチャンネル動作)。
底面のカバーを開けてみると、SK Hynixの「H5TC2G83CFR」というチップが8枚見える。2Gビットのチップなので、もう8枚は基板の裏側にでも隠れているのだろう。
今回手配した増設用メモリは、メモリモジュール一筋30年という異色のスペシャリスト企業であるセンチュリーマイクロの製品だ。基板の自社設計、国内製造による「Made in Japan」体制を特徴とする、産業用中心に高い実績を誇るブランドで、とにかく品質、信頼性には定評がある。今回はDDR3Lというまだそれほど普及していないメモリでもあり、何か問題が出ると面倒なので「堅い」ブランドのモジュールを選んだ次第だ。
今回は、PC3L-10600 SO-DIMMの4Gバイトモデルと8Gバイトモデルに加えて、低電圧駆動でない通常(1.5ボルト駆動)のPC3-10600 SO-DIMMも用意した。VAIO Sシリーズ15が搭載するIntel HM77 Expressチップセット、DDR3Lチップともに1.35ボルト/1.5ボルト両対応なので、DDR3を増設しても余計な負担がかかる心配はないが、バッテリー駆動時間は少し違うかもしれない。その辺りのことも試してみたい。
換装用のSSDはランダムアクセスに優れた「Intel 520」
データストレージは、2.5インチのSerial ATA対応HDDを搭載している。今回入手したVAIO Sシリーズ15には、Samsungの「ST750LM022/HN-M750MBB」(750Gバイト/5400rpm)が積まれていた。Serial ATAの転送速度は3Gbpsだ。これはHDDが3Gbps対応というだけでなく、インタフェース自体に3Gbpsのポートを用いていると推測される。
というのもVAIOオーナーメードモデルで、SSD RAIDのオプションを選ぶことができるからだ。このSSD RAIDは独自の基板で実装されており、6Gbpsポートが2基使われていることが過去の例から分かっており、SSD RAIDモデルとHDDモデルでマザーボードの構造を変えるということは考えにくい。
つまり、標準のHDDをSerial ATA 6Gbps対応のSSDに換装しても、3Gbpsでしか動作しないと思われる。最近のSSDは実測でもSerial ATA 3Gbpsの理論最大転送速度(300Mバイト/秒)を超える性能を持っているので、3Gbpsのインタフェースがボトルネックになってしまい、本来のシーケンシャル性能(連続したデータの転送性能)は出せないことが想定される。これが嫌ならば、ソニーストアでSSD RAIDを選ぶしかないだろう。
もっとも、HDDに対するSSDの最大のメリットはランダムアクセス性能で、起動時間やOS操作のレスポンスに影響するのもランダムアクセス性能だ。高速なSSD同士の細かい比較になると、また考え方も変わってくるのだが、今回はランダムアクセス性能の高さに定評のある「Intel 520」を換装用SSDとして用意した。IntelのSSDにはファームウェアのアップデートや性能最適化などが行なえる使い勝手のよいユーティリティソフトが付属しており、使い続けていくうえで便利だというメリットもある。
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