未来のスマホは、端末をねじって操作する:CEATEC JAPAN 2012
CEATEC JAPAN 2012の村田製作所ブースでは、スマホやタブレットのディスプレイに触れずに、端末自体を曲げたり、ひねったりして操作するUIを展示している。
村田製作所はCEATEC JAPAN 2012(2012年10月2日~6日、幕張メッセ)で、ディスプレイに触れずにスマートフォンやタブレットの操作を行えるインタフェースを多数出展している。その中でも、曲げ/ねじりを検知するタッチパネルと、画面手前で手を動かすだけで操作を可能とするモーションセンサー「表面実装型超音波センサ」の2つを紹介しよう。
曲げ/ねじりを検知するタッチパネルは、同社が開発した圧電フィルムによって実現する。フィルム内の4カ所(左上、左下、右上、右下)に電極を埋め込み、フィルムがたわむと電荷が生じるようにする。4カ所の電極にマイナスとプラスどちらの電荷が発生したかを測定し、曲げとねじりの状態を判別できる仕組みだ。
ブースでは、曲げ/ねじり操作で、写真のスライドショーを動かすというデモが行われていた。端末を右にねじると写真が1つ進み、左にねじると写真が1つ戻る、ディスプレイを押し込むように端末を曲げるとズームインし、その逆に曲げるとズームアウトする、といった具合だ。
ただ、曲げ/ねじりを使った操作が一般的なものとなるには、まだ時間がかかりそうだ。「実用化には曲がる端末が必要だ。端末の場合、ディスプレイだけではなく、基盤やバッテリーも曲がらなければならない。しばらくは端末側の進化を待つことになる」(説明員)という。
表面実装型超音波センサーは、センサー正面にある障害物に超音波(40kHz)を当て、その反射波を検知して距離を算出し、顔や指といった障害物の座標を特定するという仕組みだ。これにより、ディスプレイの近くで指を動かすだけでスクロールやタップなどの操作ができるようになる。ブースでは、センサー正面に指をかざし、指の座標をPCのディスプレイに表示させるというデモが行われていた。
センサーの本体サイズは52(幅)×52(奥行き)×11(高さ)ミリで、指向性は約60度。デモでは、センサーが検知可能な距離を5~10センチに設定していたが、10センチ以上の距離でも検知できる。「検知可能な距離は、ディスプレイの大きさによって変える必要がある」(説明員)という。
ディスプレイの大きさによって、顔(目)から端末との距離が変わり、指と端末との距離も変わる。検知可能な距離の設定を誤れば、指以外の不要な情報を検知してしまい、誤動作を起こす原因になる。
デモでは、もっともセンサーに近い1点のみの座標を認識していた。しかし、仮に1点しか認識できない場合、ピンチイン/ピンチアウトなど2本以上の指を使う操作には対応できない。マルチタッチを認識する可能性については、「ハードウェア上では認識可能であるものの、認識を処理するソフトウェアの問題となる」(説明員)という。
例えば、ディスプレイに指が2本近づいた場合、それはピンチイン/ピンチアウトをするため意図的に指を近づけたのか、スクロール操作をしようとして、偶然指が2本ディスプレイに近づいてしまったのか、など意図的な行動か、偶然なのかをソフト側で判断する必要が出てくる。実用化について聞いたところ、「認識の精度を高め、ここ1年でセンサーの量産まで目指す」(説明員)とのことだった。
こういった非接触型のUI(ユーザーインタフェース)が実現すれば、手袋をつけたままだったり、ぬれた手でもスマートフォンやタブレット端末の操作ができるようになる。タッチ以上に直感的な操作も可能となり、端末の利用シーンや活用方法がさらに広がっていくだろう。
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