ガジェット好きにグッと来る「AtermWM3800Rの隠れ機能」セレクト10(後編):“WiMAX Speed Wi-Fi”レビュー(2/2 ページ)
「さらにじわじわ、“よさ”がにじみ出てきますよ」──AtermWM3800Rは、初期設定でオフになっている隠れ機能がいくつかある。後編では7~10個目+オマケを紹介しよう。
【10】 WiMAXとWi-Fi、普段使う通信はどちらを優先する?
公衆無線LANサービスの自動切り替え/共有機能を備えるAtermWM3800R。より安定して高速に通信できる可能性が高まるので、公衆無線LAN対応の場所ではそちらに切り替えられる──というのがやはり便利ポイントだ。
ただ、筆者は基本的に「WiMAXを優先」とする設定で運用している。理由は以下の2つ。
1つめは、通信量の上限を設けないWiMAXサービスは公衆無線LANに切り替えるメリットがあまりないこと。そして実通信速度も、電波が入りさえすれば十分高速に使えることが多いためだ。
公衆無線LANサービスに切り替えたとしても、必ずしも速度がWiMAXより速いとは限らない。特に公衆無線LANサービスのバックボーンが(固定光ファイバー回線でなく)低速なモバイル回線だった場合は、「わざわざ切り替えたのに」とガッカリすることになる。通信事業者が積極拡充し、利用可能な場所も広がっているWi-Fi/公衆無線LANサービスではあるが、中には“なんとなく設置しただけ”な、ひどい公衆無線LANスポットもあるから本当に困ったものである。
2つめは、スマホアプリ「Aterm WiMAX Tool」のほか、本体の操作でWiMAXと公衆無線LANの接続設定を容易に切り替えられるため。公衆無線LANへの接続を優先せずとも、「ここはWiMAXよりWi-Fiスポットのほうが速い」と判断できる場所では、自身で切り替えればよい。
なお、東京都心エリアのWiMAXの通信速度は、かつてauの+WiMAX対応スマホの販売台数が増えるにつれて通信速度が低下していた傾向があったものの、2013年3月現在の最新スマホは+WiMAXからLTE対応に切り替わっている。というわけで体感速度は改善された、というか元に戻ったように思う。
WiMAXサービスは基本的にデータ通信量の制限を設けていない。他社のデータ通信サービス利用時のように通信量の上限を気にする必要がないことは、WiMAXルータを活用するモバイラーにとってすごく安心のポイントだ。このためこの特長も、(遅くて使いにくい可能性もある)公衆無線LANサービスにわざわざ……それならば、と思ってしまう理由だ。
もちろんデータオフロードの観点で実用的なら公衆無線LANは積極的に使いたく、中にはとても高速で安定しているスポットもあるが……“がっかりWi-Fiスポット”を使うのだけはごめんだ。
【番外編】 MVNOのオリジナルデザインモデルもいい!
すでに本機を購入してしまった人は申し訳ないが、WM3800RはWiMAXのMVNO(So-net モバイルWiMAX、@nifty WiMAX、BIGLOBE WiMAXなど)経由でも契約・購入でき、そこではオリジナルデザイン(カラー/柄)のモデルを入手できる。
例えばSo-net WiMAX限定の「モモフライトピンク」。航空券をイメージしたデザイン(表面の柄)に、PostPetの“モモ”イラストを加えた、とても印象的なオリジナルデザインのモデルだ。筆者は実は……これがほしくてSo-net WiMAXをもう1契約加入してしまった。
モモフライトピンクモデルは、印字された数字にもなんとなく意味がある。PostPetに由来するものや、ソネットエンタテインメントの創立年である1995年、WiMAXの通信速度が下り最大40Mbpsであることなどが記され、もちろんユーザーは「FIRST CLASS」扱いである。
BIGLOBE WiMAXは、標準カラーにはない「インディゴ」カラーモデルが選べる。独自のイラストなどはないが、深緑系の藍色パネルがなかなか落ち着いた雰囲気である。
これらのMVNOから販売されているオリジナルモデルは、WiMAXを新規契約するとWM3800Rの端末代が0円になるなどの新規入会キャンペーンが行われている(2013年3月現在)ほか、キャンペーンによっては一定期間の利用を条件にキャッシュバック──などのよりお得な特典も用意していたりする。
ポータブルWi-Fiルータは、スマホやPCと違い、どちらかと言えば通信のための「黒子/周辺機器」的な存在だ。ただ、常に持ち歩く機器としてデザインやカラーにバリエーションが増えていることは、それだけ利用者も増え、それだけ増えたユーザーニーズに対応するための施策であることを示している。「選ぶ」楽しみがあることも、WiMAXルータの中でもAtermシリーズを勧めたい大きなポイントだ。はじめてWiMAXルータを買う人はもちろん、契約更新のタイミングを迎える買い換えユーザーも含め、WM3800Rを「どの色に、どのデザインにしようか」などと大いに悩んでいただきたい。
【まとめ】マイナーバージョンアップ?=「いいえ。使い出すと、じわじわと使い勝手のよさがにじみ出てくる」
正直に言うと、AtermWM3800R発表当初の第一印象は「マイナーバージョンアップ程度だよね……」と思っていた。WiMAXハイパワー対応や公衆無線LAN共有機能など多くの機能が追加されたAtermWM3600R登場時と違って目立つ機能追加はなく、そればかりか前モデルより連続通信時間が短くなってしまったためだ。
しかし「機器サイズの大幅な小型化」とした製品仕様は、より幅広いユーザーに対して「小型・軽量」が大きなメリットになること、さらに省電力動作機能の拡充・工夫、待機状態での連続通信時間の延長、待機状態からの復帰時間の短縮化、リモート起動機能の追加により「バッテリー小容量化をカバーできる」と考えた結果と予想される。1カ月じっくり使うと、実際に「その通りだ」と理解できた。
特に評価したいのが「WiFi WAN側連動」機能の実装。決して派手な機能ではないが、ポータブルWi-Fiルータを利用する上で不便に感じていた部分の解決策として、とても有効である。欲を言えば、WiMAX圏外→Wi-Fiも連動してオフ──になる時間が少し長めなので、即時オフあるいは自動オフまでの時間を設定できるよう機能を追加してくれるとさらにありがたい。
やはりAtermWM3800Rは、全体の使い勝手をグッと底上げし、ユーザーニーズに沿った改善・改良ポイントが多くあると実感できる。公開されているスペックのみで決めるのも当然アリだが、WM3800Rは「使い出すと、そのよさがじわじわにじみ出てくる」、最近はまれな特長を持つWiMAXルータだ。
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