「VAIO Pro」を“徹底解剖”して見えた真の姿:VAIO完全分解&開発秘話(後編)(7/7 ページ)
“超”軽量モバイルノートPC「VAIO Pro」の内部構造はどうなっているのか? 開発者が語る独自のこだわり、先進的な設計とは? 後編は実機をバラバラに分解し、秘密のベールを剥ぐ。
第4世代Coreと独自技術を結集して生まれた新時代モバイルノートPC
最後に毎度恒例だが、開発陣にVAIO Proの満足度を自己採点してもらったところ、皆が100点満点かそれ以上のデキ、とのことだった。この質問に対するVAIO開発陣の回答は、点数がインフレ気味ではあるのだが、4人とも断言できるということは確かな自信があるということだ。
開発を統括した宮入氏は、「第4世代Coreの省電力性能と各デバイスの開発ターム、UDカーボンの美しいハウジングとデザイン、うまくタイミングが合い、どれも日程通りに進んだ。PCIe SSDは苦労したが、パッケージとしては100点満点以上で、最高のクラムシェル型モバイルノートPCができた」と、その完成度を誇る。
確かに、2回に渡りお届けしたロングインタビューを通じ、その自信を裏付けるVAIO Proならではの並々ならぬこだわりが、コンパクトボディにこれでもかと詰め込まれていることが実感できた。VAIO Proが発表された際、「第4世代Coreを搭載していながら、重量は770グラムに抑えた“超”軽量ノートPC」と話題になったが、単に軽いだけのモバイルノートPCと思うのは早計だろう。
薄型、軽量、高い剛性、見栄えのよいデザイン、キーボードの打ちやすさ、タッチ操作のしやすさまで、すべて兼ね備えるための内部と外装の計算された設計、拡張バッテリーも含めたスタミナへの配慮、第4世代CoreにPCIe SSDを組み合わせた高いパフォーマンス、高画質と省電力を両立した液晶ディスプレイ、限られたスペースで高音質に配慮したスピーカー、USB給電と無線LANルータのオプションに対応する小型ACアダプタなど、全体のバランスも非常によく練られているのだ。
軽さと薄さだけを徹底追求するのではなく、ノートPCとしての使いやすさをしっかり考えて細部まで作り込んでいることこそ、VAIO Pro最大の魅力であり、真の姿といえる。
過去にVAIOは、CPUにAtom(古くはCrusoe)を使ったより小型、薄型、軽量のモバイルPCを多数投入してきた。また、約10年前のPentium M時代には「バイオノート505エクストリーム」という、極限まで薄さと軽さを突き詰めたノートPCを発売したこともある。ハイエンド志向のモバイルノートPCでは、VAIO Zシリーズも熱烈なファンを生んだ。
しかし、VAIO Proほどの薄型軽量ボディを獲得しながら、PCに求められるその他の要素もうまく融合した“絶妙なバランス”のクラムシェル型VAIOノートは類を見ない。これには省電力化が進んだ第4世代Coreの貢献も大きいが、ソニーが長年のPC開発で培ってきた独自技術やノウハウ、AV機器やモバイル機器で得られた強みの横展開、そして開発陣の苦労なくしては、決してなし得なかっただろう。
これがVAIO Zシリーズのようなハイエンドな価格帯ではなく、10万円台前半のリーズナブルな価格から購入できるのだから、まさに新時代のモバイルノートPCといえる。UltrabookやモバイルノートPCを探している方は、とにかく軽くて小さいVAIO Pro 11か、薄型軽量で性能にも優れたVAIO Pro 13か、ソニーストアでパーツの構成をいろいろ変更しながら見積もりをして、頭を悩ませるのも楽しいだろう。
筆者としては、PCIe SSDと8Gバイトのメモリ容量、バッテリー駆動時間、キーボードの使いやすさといった点で、VAIO Pro 13を選びたい。
←・VAIO完全分解&開発秘話(前編):「VAIO Pro」の“超軽量ボディ”を丸裸にする
関連記事
- 特集:2013年PC夏モデル
VAIO完全分解&開発秘話(前編):「VAIO Pro」の“超軽量ボディ”を丸裸にする
クラス最軽量のボディに、色鮮やかなディスプレイ、そして使い勝手も追求した「VAIO Pro」。開発者が自ら実機を分解し、内部構造とともに、そのこだわりも明らかにする。真の実力が明らかに:「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(後編)――“世界最軽量”タッチ対応Ultrabookは1Gバイト/秒の“爆速”PCIe SSDも魅力
ソニーの超軽量Ultrabook「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」は、スペック面にもこだわっている。特にVAIO Pro 13は、先進のPCIe SSDで性能を大幅に強化可能だ。今回はさまざまなテストで総合的な実力をあぶり出していく。VAIO Zより高画質?:「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(中編)――“世界最軽量”タッチ対応Ultrabookはディスプレイもキーボードも妥協なしか
軽さよし、薄さよし、デザインよし――。ソニーの最新鋭Ultrabook「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」は、ディスプレイやキーボードに隙はないのか? カタログでは分からない、これらの完成度に迫る。VAIO Z/VAIO Tとの比較も:「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(前編)――ソニーがHaswellで実現した“世界最軽量”タッチ対応Ultrabook
片や11.6型、約770グラムで約11時間駆動。片や13.3型、約1060グラムで約13時間駆動。いずれも液晶はIPSでフルHD表示、タッチ対応モデルもある。思わず「こんなPCが欲しかった!」と狂喜乱舞したくなる最新VAIOノートの実力を検証しよう。2013年PC夏モデル:11型/13型で“世界最軽量”のタッチ対応Ultrabook――「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」
「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」は、11型/13型クラスでそれぞれ世界最軽量をうたうタッチ対応Ultrabook。さらにタッチパネル非搭載の構成ならば、約770グラム/約940グラムと驚異的な軽さになる。2013年PC夏モデル:最軽量タッチUltrabook、最長駆動スライダーPC、情熱を表現した“red edition”も――ソニー「VAIO」夏モデル第2弾
ソニーは「VAIO」の2013年夏モデル第2弾を6月22日より順次発売する。注目はクラス最軽量のタッチ対応Ultrabook「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」、最長バッテリー駆動のコンバーチブル型Ultrabook「VAIO Duo 13」、そして情熱を色で表現した特別カラーモデル「VAIO | red edition」だ。2013年PC夏モデル:重量ほぼ変わらず13.3型に大画面化+18時間動作、“スライダー”Ultrabookがさらに進化──「VAIO Duo 13」
タブレット/ノートで使い分けられる“スライダー”Ultrabook「VAIO Duo」に13.3型モデルが登場。ボディサイズや重さはDuo 11とほぼ変わらず大画面化し、世界最長のバッテリー動作時間を確保。もちろん第4世代Core搭載で、直販モデルは“au LTE”の内蔵も可能だ。2013年PC夏モデル:ものづくりの情熱を色で表した、“奇跡”の特別モデル──「VAIO | red edition」
VAIOオーナーメードモデルには、特別カラーモデル「VAIO | red edition」を用意する。情熱と挑戦の精神から誕生した──という“奇跡の色”をまとうモデルだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.