今さら聞けない「プロジェクター」選びのポイント(その2):SOHO/中小企業に効く「プロジェクター」の選び方(第2回)(2/2 ページ)
会議や取引先へのプレゼンに欠かせないプロジェクター。そんなビジネス用プロジェクターの選び方を紹介する本連載の第2回は、前回に引き続き、製品選定の基本ポイントをチェックしていく。
消費電力
プロジェクターは本体にランプを内蔵し、強力な光を発するため、その消費電力はかなり高い。本稿で取り扱う会議室などで使うビジネス用プロジェクターは、プロジェクター全体から見るとローエンド~ミドルクラスに当たるが、それでも消費電力は200~300ワット前後の製品が多く、標準的な液晶ディスプレイの10倍近くにもおよぶのが普通だ。
国内メーカーの多くは「エコモード」(低輝度モード)などで省電力にも配慮しており、各社とも同クラスの製品であれば極端な違いはないのが実情だが、海外メーカーでは相対的に消費電力値が高い傾向もある。とはいえどちらかというと、本体のレンズカバーを閉めることですばやく待機状態へ移行できるなど、未使用時にこまめに消費電力を抑える工夫を備えた製品のほうが、消費電力の最大値だけで判断するよりも、トータルでは電力の消費量を抑えられるはずだ。
なお中長期での運用コストを考えると、消費電力だけでなく、ランプの寿命と交換用ランプの価格についても確認しておきたいところだが、ビジネス用プロジェクターで標準的な水銀ランプの寿命は約2000時間以上で、一般的な用途で約5年かそれ以上は持つ計算だ。昨今は光源にLEDやレーザーを用いた製品も登場し、これらは水銀フリー設計で約2万時間以上もの長寿命を誇る。
もっとも5年間使い続けられれば、ランプを交換して古い製品を継続利用するより、新世代の製品に買い替えたほうが性能、機能、省電力といった恩恵を得られるため、トータルコストの視点でメリットがあることも少なくない。常設用の高級モデルなどは別として、使わないときに収納しておくような低価格帯のモデルでは、ランプ寿命の長さにあまり執着しなくてもよいだろう。
騒音レベル
プロジェクターは高温になるランプの排熱が必要なため、運転中はファンの音が聞こえるのが一般的だ。特に狭い会議室で、すぐ脇に本体を置いて使用する場合は、うるさく感じられることも多い。仕様欄に記載されている騒音レベルのdB(デシベル)数は必要に応じてチェックしておこう。ちなみにビジネス向けのスタンダードモデルだけを見ていくと、国内メーカーは20dB台の前半が多いのに比べて、海外メーカーでは30dB台が多く、中には40dBを超える製品もある。
その他の付加機能
ここまでビジネス用プロジェクター選びにおいて知っておくべきポイントを紹介したが、これ以外に各社の製品が備える便利な機能についても紹介しておこう。いずれも付加価値的な機能であり、必須というわけではないが、このような機能が存在することを知っておけば、製品選びで迷った際の1つの指針になるだろう。
前面排気
ユーザーの至近距離にプロジェクターを設置する場合、排気口から出た熱風がちょうど体に当たる位置だと、不快なことこの上ない。例えば、それが営業先で商談している相手だったら、せっかくのプレゼンも台なしになってしまう。こうしたことから、ファンのレイアウトを工夫し、体に当たらないようにした製品が増えつつある。
具体的には、排気が前面に出るように設計した「前面排気」をうたう製品がそれだ。というのもプロジェクターはその仕組み上、光を発する本体のすぐ前に人が座ることはまずないからだ。最近はこの前面排気を採用した製品が一般的になりつつあり、排気口を側面に備えた製品は、徐々に減少しつつある。
クールダウン不要
プロジェクターを使い終わった後、ランプおよび本体から発せられた熱を逃がす行為をクールダウンという。据え置きで使用している場合は、そのまま放置して自然に冷えるのに任せればよいが、出先でプレゼンを行って終了後すぐに会場を撤収しなくてはいけない場合、クールダウンに数分もかかるようだと、下手をするとプレゼンそのものを早めに切り上げなくてはいけなくなる。それゆえクールダウンが不要であることは、特にモバイルユースでは重要なチェックポイントだ。
2画面投写
前回も触れたように昨今のプロジェクターはワイド画面化が進んでいるが、ワイドならではのメリットの1つに2画面の投写機能がある。つまり、横長の投写画面を生かし、左右に分割して2種類の映像を映し出す機能だ。
セミナーのプログラムを表示しながらプレゼンを行ったり、プレゼンをしながらWebページを参照するなど、用途は数多い。片方の画面だけを拡大して強調することもできるので、うまくコントロールして参加者の視線を引き付けることも可能だ。製品選びの決定的なポイントにはならないだろうが、購入した製品に付属していれば、ぜひ試してみたい機能だ。
カスタムロゴ表示
ホーム用にはない、ビジネス用プロジェクターならではの機能と言えるのがこのカスタムロゴだ。プロジェクターの起動時や画面を切り替える際に、画面を真っ暗や真っ青にするのではなく、あらかじめ指定しておいた企業ロゴやメッセージを表示できる機能をそう呼んでいる。
例えば、複数人が順番にプレゼンする場合など、プロジェクターと接続するノートPCを入れ替えることはよくあるが、交換作業に手間取り、プレゼン中に画面が真っ暗や真っ青な状態が続くと、見ているほうは時間の無駄だし、トラブルで唐突に中断したように感じられがちだ。ここで企業ロゴが表示されれば、間を持たせやすくなり、次のプレゼンへの切り替わりもシームレスに感じられるメリットがある。
カウント表示
こちらもプレゼン用途が主となるビジネス用プロジェクターならではの機能で、プレゼンの進行時間を投写画面に直接表示できる。プレゼンのリハーサル時に所要時間のチェックに役立つのはもちろん、本番時になかなか手元のタイマーに目が行かない場合に投写し、登壇者の注意を喚起するといった使い方もできる。例えば、カシオのプロジェクターの場合、表示位置は画面の上下左右から選べるほか、リモコンを使って機能のオン/オフが行える。
次回は、前回および今回紹介したポイントを踏まえつつ、利用シーンに応じた各社のおすすめ製品を紹介していく。
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プロジェクター | プレゼンテーション | 選び方 | DLP(Digital Light Processing) | モバイルプロジェクター | SOHO/中小企業に効く製品の選び方
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