「VAIO Prototype Tablet PC」を濃密にチェックする:タブレットに“超高性能”という新提案(5/5 ページ)
4コア/8スレッド対応の第4世代Core Hプロセッサ、Iris Pro、PCIe SSD、Adobe RGB対応の12.3型“2560×1704”液晶、ワイヤレスキーボード、筆圧ペン……新生VAIOが放つ超高性能タブレットの試作機に込められた数々のこだわりを追う。
クリエイター以外も注目したい完成度の高いハイエンドタブレット
今回はVAIO Prototype Tablet PCを数十分、撮影しながら触らせてもらったが、試作機であることを強調する割に、かなり完成度が高いレベルにあった。
ブラックで統一されたボディは背面にエンボスとダイヤモンドカットを組み合わせたVAIOロゴを施し、キーボード背面にヘアライン加工とVAIOロゴをあしらうなど、実際の製品同等の意匠も見られる。
スタンドの動きやペンの書き味などはさらに改善するとのことだが、パフォーマンスと放熱設計がきちんと追い込めていれば、このままクリエイター向けハイエンドタブレットとして発売できそうな仕上がりだ。おそらく、これにかなり近いカタチで製品化されるのではないだろうか。
にも関わらず、現時点で発売時期についてアナウンスされないのは、搭載するパーツに関係があると予想される。
今回の試作機は第4世代Core Hプロセッサ(Haswell Refresh)を搭載していたが、その後継となるBroadwell-Hは現状で出荷が2015年夏頃にずれ込む見込みで、すでに搭載製品が登場したCore M(Broadwell-Y)はもちろん、2014年内の出荷が予定されているBroadwell-U(第4世代Core Uプロセッサ後継)からも大きく遅れることになりそうだ。となると、今年の年末商戦だけでなく、次の2015年春商戦も逃してしまう。
Broadwell-Hの動向次第では、第4世代Core Hプロセッサのまま製品版として投入することも考えられるが、やはりここは素直にBroadwell-Hまで待つか、現行CPUのまま年度内に発売して後からBroadwell-H搭載モデルに移行すべきか、そもそも2015年夏まで発売を待つ余裕があるのかと、他に類を見ないHプロセッサ搭載タブレットという提案をしたことで、VAIOは悩ましい選択に迫られているのではないだろうか。
もっとも、現状のままでもVAIO Prototype Tablet PCは、かつてのVAIO Zを思わせる突出したパフォーマンスとモビリティの融合というアドバンテージがあり、これからBroadwell-U搭載の2in1やタブレットが先行して多数発売されても、クリエイター向けの突出したハイエンドWindowsタブレットという孤高のポジションは揺るがないだろう。
もちろんクリエイターに限らず、VAIO Zを愛用してきたハイパフォーマンス志向のモバイルPCユーザーにとっても、有力な買い替え候補となるマシンなので、今後の動向に注目したいところだ。
最後に、製品化した際の価格も気になるが、逆に何人かの関係者から「いくらなら買いますか?」と聞かれてしまった。クリエイター向けに突き抜けたスペックの製品とはいえ、あまり高すぎてはターゲットユーザーにも敬遠されてしまう。個人的にVAIO Zくらいの価格帯(構成によってはもっと上でもいい)であれば、クリエイター予備軍や個人のPCユーザーでも手を出しやすく、十分売れると思うのだが、いかがだろうか。
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