「Windows 10」は従来型デスクトップアプリも次世代へ導けるか?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/4 ページ)
次期OSの「Windows 10」は、Webアプリケーションや従来型デスクトップアプリケーションも新しい共通アプリ実行基盤「UWP」に取り込もうとしている。これらは現状のWindowsでも動作するアプリだが、Windows 10世代でどのように変えようというのか?
iPhoneに最適化されたサイトは新ブラウザ「Edge」でどう表示される?
このように書くと「標準への準拠が至上命題」のようにも思えるが、実際にそうはならないのがWebの世界だ。例えば典型的なものが「iPhoneに最適化されたサイト」で、同じ業界標準のモバイルブラウザであっても製品によって見え方が全然違ってくる。
これはいくつかトリックがあり、まず「WebKit拡張」と呼ばれる独自拡張機能が存在すること、そしてサイトにアクセスしてきたWebブラウザの「User-Agent」を判別して、iPhoneでのアクセス時(Mobile Safariのとき)に出力する結果を変えてくるケースがあることが挙げられる。
つまり、現在モバイルWebでは主流となりつつあるWebKit拡張をサポートしつつ、User-Agent偽装を合わせて各種サイトを“より意図した形”で表示されるようMicrosoft Edgeで対応しなければならない。すでにWindows Phone時代のMobile IEではこうした機能が盛り込まれており、Microsoft Edgeではそれがさらに顕著になったと言える。
だがEdgeHTMLとMicrosoft Edgeともに、まだまだ未完成だというのが現状だ。Modern.IEを見れば分かるように機能実装は途上にあり、Project SpartanことMicrosoft Edgeは、未完成といった印象が非常に強い。
さらにMicrosoft Edgeの目玉機能である「Extensions」は、7月と言われる今夏のWindows 10発売時点では実装が間に合わず、「基本機能の実装が終わった後は、アップデートで徐々に機能を拡張していく」というスタイルになっている。
連載の前回と今回でProject Astoria、Project Islandwood、Project Centennial、Project Westminsterの計4つのプロジェクトを紹介しているが、Project Westminsterを除く3つのプロジェクトは現時点ですべて開発途上にあるなど、Windows 10は全機能の実装を待たずに先行発車する印象が強い。
悪く言えば「完成前バージョンを販売している」と言えるが、一方で製品サイクルが保証されているうちは「継続的な製品アップデートが期待できる」メリットがある。ユーザーや開発者としては、「Windows 10とはこういう製品」だということを留意しておくといいかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.