即戦力の「ドキュメントスキャナ」を利用シーンごとに選んでみた(A4据え置きモデル編):SOHO/中小企業に効く「ドキュメントスキャナ」の選び方(第3回)(2/2 ページ)
紙の書類を効率よくデジタルデータ化するのに欠かせない「ドキュメントスキャナ」。その選び方を紹介する本連載の第3回目は、A4据え置きタイプのおすすめモデルを紹介する。
A4サイズ(法人向け)
続いて以下に紹介するのは、各社が法人用のラインアップとして位置付けている製品である。
法人向け製品の多くに共通する特徴は読み取りが高速な点だ。一部の例外を除き、300dpiカラー設定でも毎分40~60枚の読み取りは当たり前。製品によっては毎分80~100枚という高速読み取りが可能な製品もあり、これは個人/SOHO向け製品の2~3倍にもあたるスピードだ。大量の書類をデータ化したい場合、導入コストが多少かかっても、これらの製品をチョイスしておけば生産性の向上に直結する。
またバーコード読み取りやマルチストリームなど、法人向けならではの機能を備えた製品も多い。フラットベッドスキャナの機能を兼ね備えた製品もあり、自動給紙機構(ADF)を通過できない厚みのある紙などでも効率よくデータ化できる。ただし個人/SOHO向け製品に比べると価格は高く、10万円オーバーは当たり前であるほか、Macに対応していない割合も多いので、Win/Mac混在環境での利用を考えている場合は事前に確認を怠らないようにしたい。
PFU「fi-7180」
読み取り速度が毎分80枚というスピードを誇るのが、PFU「fi-7180」だ。外観は一般的なドキュメントスキャナと変わらないが、読み取りが高速であることに加えて、同時セット可能枚数は80枚と多い。また付属のユーティリティ「PaperStream Capture」を用いることでバッチスキャンにも対応する。ScanSnapシリーズでは非対応のTWAINにも対応している。実売価格は14万円前後(税込)。読み取り速度が毎分60枚で価格を抑えた「fi-7160」もある。
PFU「fi-7280」
PFU「fi-7280」は、前述のfi-7180にフラットベッドスキャナを合体させた、特殊な形状のモデルだ。冊子の原稿はフラットベッド、それ以外の原稿はADFと、原稿の種類に応じて2つの読み取り方法を使い分けられる。300dpiでのカラー/モノクロ読み取り速度が毎分80枚、ADFの同時セット可能枚数が80枚という仕様は、前述のfi-7180と同等だ。実売価格は22万円前後(税込)。こちらも読み取り速度を毎分60枚に落として価格を下げたモデル「fi-7260」が用意されている。こちらの実売価格は14万円前後(税込)。
キヤノン「DR-C240」
ボディの形状が異なる複数の製品をラインアップしているのがキヤノンだ。オーソドックスな形状の「DR-C240」は、300dpiでのカラー読み取り速度こそ毎分20枚と速くはないが、モノクロは毎分45枚を確保する。同時セット可能枚数は60枚と、個人/SOHO向け製品に比べて余裕があり、かつ実売価格は4万5000円前後(税込)と、法人向けモデルの中ではリーズナブルな価格を実現しており、個人/SOHOでも導入しやすいだろう。
キャリアシートを用いてパスポートなどのスキャンに対応するのも特徴の1つだ。同じキヤノン製品では、読み取り速度が毎分50枚でMacにも対応した「DR-M160II」もあるが、こちらは実売価格が11万円前後とやや値が張る。
キヤノン「DR-6010C」
さらにワンランク上、300dpiでのカラー/モノクロ読み取り速度がともに毎分60枚、同時セット可能枚数が100枚というハイスペックモデルが「DR-6010C」だ。実売価格は20万円台後半と値は張るが、多数の原稿をスピーディに処理したい用途に向く。ただし1000ミリを超える長尺原稿やエンボスカードなどは非対応である点には注意したい。
形状こそ異なるが、こちらも前述のDR-M140と同じく前面から給紙排紙を行う構造なので、立ち上がらずに原稿のセットや交換が容易に行えるのも利点だ。
エプソン「DS-7500」
フラットベッドスキャナにADFを搭載した独特の形状のスキャナが、エプソン「DS-7500」だ。前述のPFU fi-7280はADF搭載スキャナとフラットベッドスキャナをそのまま合体させたかのような外観だったが、こちらはフラットベッドスキャナをベースにADFを上部に追加したフラットベッド寄りの外観が特徴だ。300dpiでのカラー/モノクロ読み取り速度はともに毎分40枚、オプションを利用することでネットワーク接続にも対応する。実売価格は28万円前後(税込)。
読み取り速度が毎分25枚とややスペックが低い代わりに実売価格を落とした「DS-6500」もラインアップされている。こちらは実売価格が12万円前後(税込)。
・→SOHO/中小企業に効く「ドキュメントスキャナ」の選び方(第4回):即戦力の「ドキュメントスキャナ」を利用シーンごとに選んでみた(A3モデル/モバイルモデル編)
関連キーワード
スキャナ | ドキュメントスキャナ | PDF | 電子化 | SOHO/中小企業に効く製品の選び方
関連記事
- 「SOHO/中小企業に効く製品の選び方」バックナンバー
思わぬ差が出る「ドキュメントスキャナ」選びのポイント
紙の書類を効率よくデジタルデータ化するのに欠かせない「ドキュメントスキャナ」。その選び方を紹介する本連載の第2回目は、確認すべきポイントと、製品仕様からは読み取りにくい意外な違いについてチェックしていく。SOHO/中小企業に効く「ドキュメントスキャナ」の選び方(第1回):意外に知らない「ドキュメントスキャナ」の効率アップ機能
紙の書類を効率よくデジタルデータ化するのに欠かせない「ドキュメントスキャナ」。その選び方を紹介する本連載の第1回は、製品の特徴と、法人モデルならではの機能についてチェックする。SOHO/中小企業に効く「雷サージ対応製品」の選び方:落雷から大切なPCやデータを守るためのポイント
夏のIT機器運用で注意しなければならないのが「雷」だ。落雷によって機器の故障はもとより、大切なデータが一瞬で破壊されて読み出せなくなるのは致命的と言える。今回はSOHO/中小企業レベルで可能な雷対策を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「モバイルプリンタ」の選び方(第2回):即戦力の「モバイルプリンタ」を予算1万~3万円で選ぶ
据え置き型のプリンタと異なり、場所にとらわれず、あちこちに持ち歩いて利用できるのがモバイルプリンタの大きな特徴だ。そんなモバイルプリンタの選び方を紹介する本連載の後編では、具体的な製品例を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「モバイルプリンタ」の選び方(第1回):意外に知らない「モバイルプリンタ」という選択肢
据え置き型のプリンタと異なり、場所にとらわれず、あちこちに持ち歩いて利用できるのがモバイルプリンタの大きな特徴だ。そんなモバイルプリンタの選び方を紹介する本連載の前編では、製品選びの基本ポイントをチェックしていく。SOHO/中小企業に効く「レーザー/LED複合機」の選び方(第2回):即戦力の「レーザー/LED複合機」を利用シーンごとに選んでみた
SOHO/中小企業にとって、プリンタに加えてスキャナ、コピー、FAXといった機能をオールインワンで利用できる複合機は頼もしいパートナーだ。そんなレーザー/LED複合機の選び方を紹介する本連載の第2回は、利用シーンごとのおすすめ製品を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「レーザー/LED複合機」の選び方(第1回):「レーザー/LED複合機」選びの基本的なポイントとは?
SOHO/中小企業にとって、プリンタに加えてスキャナ、コピー、FAXといった機能をオールインワンで利用できる複合機は頼もしいパートナーだ。そんなレーザー/LED複合機の選び方を紹介する本連載の第1回は、製品選定の基本ポイントをチェックする。SOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第4回):即戦力の「ビジネスインクジェットプリンタ」を選んでみた(単機能モデル編)
本体が低価格で省電力などの利点が評価され、近年法人でのシェアを伸ばしつつあるビジネスインクジェットプリンタ。その選び方を提案する本連載の最終回は、印刷機能に絞った単機能モデルのおすすめ製品を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第3回):即戦力の「ビジネスインクジェットプリンタ」を選んでみた(複合機編)
本体が低価格で省電力などの利点が評価され、近年法人でのシェアを伸ばしつつあるビジネスインクジェットプリンタ。その選び方を提案する本連載の第3回は、複合機のおすすめ製品を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第2回):今さら聞けない「ビジネスインクジェット」とページプリンタの違い
本体が低価格で省電力などの利点が評価され、近年法人でのシェアを伸ばしつつあるビジネスインクジェットプリンタ。その選び方を提案する本連載の第2回は、ページプリンタと比べた場合の向き不向きを紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第1回):「ビジネスインクジェット」は家庭向けプリンタと何が違うのか?
ページプリンタに比べて低価格で省電力などの利点が評価され、近年法人でのシェアを伸ばしつつあるのがビジネスインクジェットプリンタだ。その選び方を紹介する本連載の第1回目は、製品選びの基本ポイントをチェックしていく。SOHO/中小企業に効く「ページプリンタ」の選び方(第4回):小型ボディで高速出力が頼もしい! 即戦力の「A4ページプリンタ」を選んでみた
オフィス機器の代表格と言える「ページプリンタ」。そんなページプリンタの選び方を提案する本連載の最終回は、A4対応ページプリンタのおすすめ製品を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ページプリンタ」の選び方(第3回):やっぱりA4じゃ物足りない? 即戦力の「A3ページプリンタ」を選んでみた
オフィス機器の代表格と言える「ページプリンタ」。そんなページプリンタの選び方を提案する本連載の第3回は、A3対応ページプリンタのおすすめ製品を紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ページプリンタ」の選び方(第2回):「ページプリンタ」を正しく選ぶためのポイント“7選”
オフィス機器の代表格と言える「ページプリンタ」。そんなページプリンタの選び方を提案する本連載の第2回は、適切な候補機種をリストアップするための7つのポイントについて紹介しよう。SOHO/中小企業に効く「ページプリンタ」の選び方(第1回):「ページプリンタ」選びで“見落としがち”なポイントとは?
ペーパーレス化を推進している企業も少なくないだろうが、まだまだ重要なオフィス機器として使われ続けている「ページプリンタ」。実際、データを紙に印刷する機会は依然として多いだろう。本連載はそんなページプリンタの選び方を紹介する。「PC USER Pro」
SOHO/中小企業に役立つPC、スマートデバイス、周辺機器、データ通信、ソフトウェア、サービスなどの注目情報をお届け! 仕事で使う製品をしっかり選びたい方へ!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.