レビュー

「Surface Book」はノートPCとして最上級の完成度か――USモデル先行レビュー気になるdGPUの性能を明らかに(2/4 ページ)

Microsoftが“究極のノートPC”と自慢する「Surface Book」。米国で先行発売されたこの注目モデルを入手し、ノートPCとしての実力をチェックしてみました。

さすがに打ちやすいキーボード、タッチパッドは発展途上

 個人的にSurface Bookで最初に感心したのはキーボードの操作感です。前述したようにキーボードのベース素材は高い剛性感があり、フルサイズのキートップが余裕を持って配置されています。キーストロークは十分に確保され、キートップ自体の触り心地が柔らかいので非常に打ちやすく、長時間タイプしても疲れにくいキーボードだと思います。

 最近の傾向としては、Appleの「MacBook」が採用するような極薄キーボードがトレンドと言えますが、長時間作業しているとタイピングの衝撃が指先の負担になるので、個人的には柔らかさのあるSurface Bookのキーボードが気に入っています。

 ここは好みの分かれるところですが、少なくとも従来のSurfaceシリーズに見られた簡易的なキーボードではなく、本格的な「ノートPCのキーボード」です。

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マグネシウム合金を採用した剛性感のあるキーボード。もちろん、バックライトも内蔵しています

キーピッチとキーストロークは十分に確保されていて、柔らかなタッチが打ちやすいです

 好印象なキーボードと比べて残念なのはタッチパッドです。僕はもともと生粋のMacユーザーで、ここ数年でWindows PCを使い始めたWindowsでは新参者なのですが、WindowsノートPCにスイッチするときの最初にして最大の障害はタッチパッド(Macでいうトラックパッド)の使い勝手でした。

 「Surface Pro 3」を購入したときも、Type Coverのタッチパッドには最後まで慣れることができませんでした。今回Microsoftも新しいSurface Book/Surface Pro 4におけるタッチパッドの性能向上をうたっていたのでかなり期待はしていたのですが、残念ながらMacBookを超えるほどの操作感ではないな、というのが正直な感想です。

 とはいえ、従来に比べて反応もよく十分実用的な精度なので、それほど不満に思う人はいないかもしれません。


大型で手触りのよいタッチパッドですが、OSとハードウェアの融合による直感的な操作性という視点では、まだMacBookを超えるほどではないと思います

高精細で美しい13.5型のPixelSenseディスプレイ

 次にディスプレイに関してですが、これはもう「すばらしい」の一言に尽きます。

 ピクセルセンス(PixelSense)と名付けられた13.5型の液晶ディスプレイは、解像度が3000×2000ピクセル(つまりアスペクト比3:2)で、画素密度が約267ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)の高精細表示を実現しています。

 これは、2880×1800ピクセル(16:10)で約220ppiのRetinaディスプレイを搭載する「15インチMac Book Pro Retinaディスプレイモデル」と比較しても高精細です。実際に見たときの評価もスペック通り、Retinaディスプレイに引けを取りません(どちらも目視で画素を識別できる範囲を超えた滑らかさです)。

 この高画素密度ディスプレイの搭載は、実は日本のWindowsユーザーにとって大きな恩恵があります。MacからWindowsにスイッチしたときに1番気になるのは、日本語フォントのレンダリングが汚いという問題です。これはWindowsとOS Xが持つフォントレンダリングとアンチエイリアス処理の仕組みが違うことに起因します。

 ですが、ここまで高精細のディスプレイを搭載すれば、フォント本来が持つデータをより正確に表示できるので、レンダリング処理による差が小さくなります。実際、Surface Bookの日本語表示は、(フォント自体の差はありますが)Mac並みにきれいな日本語フォントを表示できます。


Retinaディスプレイと比較しても遜色ない高精細表示のPixelSenseディスプレイ

 また、タッチ操作への対応は、WindowsノートPCの大きなアドバンテージです。意外と使われてない気もするのですが、マウスでの操作と違い、ポインタを移動することなくダイレクトに画面を直接触って操作できるので、うまく使い分けるとより効率よくPCを操作できます。

 個人的にはWindowsノートPCのタッチパネル対応は、地味ながら必要な機能だと思っています。タッチパネル非搭載のノートPCは、液晶ディスプレイ表面の強度がそれほど高くないため、衝撃で表面にダメージを与えてしまったり、ディスプレイを閉じるとき、不用意にペンなどを挟んで傷つけてしまったり、という経験をした人もいることでしょう。

 タッチパネルを搭載するということは、スマートフォンのようなコーティングされた液晶ディスプレイになっているということです。表面の強化ガラスにより液晶ディスプレイの強度は格段に向上するので、持ち運び時の耐久性や使い勝手も高まります。ここはタッチパネル対応ノートPCの意外と注目されていないメリットです。


タッチパネルの搭載により、液晶ディスプレイ表面は強化ガラスで覆われていて、高い剛性を確保しています

 なお、このディスプレイは筆圧ペン(Surfaceペン)もサポートしていますが、ペン入力については次回のレビューで取り上げます。

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