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2016年に起きるPC市場の“二極化”とは?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)

2016年からはPC業界内で3種類のグループが大きな動きを見せ、結果的に市場の二極化が進むと予想される。

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グループ3――新規のプレイヤーたち

 先日、米MicrosoftのOEM部門担当コーポレートバイスプレジデントであるニック・パーカー氏と話す機会があったが、ここでの最大の収穫は市場へ新規参入してくるプレイヤーたちの存在と、それを支援するMicrosoftの活動の一端を知ったことだ。同氏は米国でのWal-Martの例を挙げたが、世界最大の小売店であるWal-Martが自社ブランドのタブレットを市場投入したことは大きなトピックだろう。

 現在、中国は深センを中心としたエリアにPCやスマートフォンの関連会社が集まっており、世界の工場として機能している。サプライヤーや組み立て工場だけでなく、それぞれの強みを持ったODM(Original Design Manufacturer)やEMS(Electronics Manufacturing Service)が存在しており、これらと提携することで、自社に工場や専門の設計部門を持たずとも製品開発や製造が可能になるわけだ。

 現在、世界市場で売られているPCやタブレット、スマートフォン製品の多くはこれらODMやEMSを介して開発/製造されたものだが、Microsoftは製品開発にあたって技術を持つODM/EMSや関連会社をリストにまとめており、Wal-Martのような新規参入プレイヤーが自社ブランドでの製品投入を望めば、必要な人員のアテンドや関連会社を紹介している。

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 これは日本マイクロソフトも例外ではなく、Windows 10 Mobile発表のタイミングで次々と登場した同OS搭載スマートフォンの数々は同社の力添えがあって誕生したものだ。本連載でも何度か紹介しているが、スマートフォン初参入となるトリニティの「NuAns NEO」の開発も、こうした日本マイクロソフトの仲介と中国現地の事業者あってこその成果と言える。

 この辺りの背景はあらためてフォローアップしていきたいが、NuAns NEO以外にも、長らく停滞していた日本のWindows Phone市場を開拓したマウスコンピューターの「MADOSMA」、求めやすい価格でSIMロックフリー端末市場に風穴を開けようとしているFreetelの「KATANA 01/02」など、従来の端末メーカーや携帯キャリアの組み合わせでは開拓されることのなかった市場が、フットワークの軽い中小メーカーや新規参入メーカーによって実現されつつある。


トリニティが2016年1月に発売するWindows 10 Mobile搭載スマートフォン「NuAns NEO」

 恐らくは、今後のPCとスマートフォン市場は大きく2分されることになると考えている。1つはLenovoなど大手と呼ばれるメーカーが市場の多くを握る一方で、比較的小規模な多くのメーカーが端末のバリエーション増加や細かいユーザーニーズのキャッチアップを担う……といった区分けだ。

 前述の東芝と富士通の合弁がもし成立した場合は、どちらかといえばビジネス市場の確保を中心として動くと予想されるため、多くの一般コンシューマーの細かいニーズを満たすのは大手以外のメーカーになるのではないだろうか。

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