インタビュー

Appleと日本の特別な関係林信行がApple幹部に聞く(2/3 ページ)

米AppleでOS XとiOSのマーケティングを統括するクロール副社長が来日。林信行氏が同社のOS戦略や日本市場との関わりについて聞いた。

OS標準アプリが連携して生み出す快適さ

クロール ここまでに紹介したiMovieも、GarageBandも、Logic Remoteもすべて無料のアプリですが、こうしたアプリに加えてAppleでは、もっと一般的なデスクワークに役立つPages、Numbers、KeynoteといったアプリもMacとiOS機器のそれぞれに提供しており、これらのアプリも自動で連携してくれます。

 iPhone版のPagesで文章を書き始めると、Macのドックの左端にPagesのアイコンが現れます。そこをクリックするとiPhone上で作成していた文章がMac上に現れそのまま作業の続きができるのです。

 そうですね。便利で、私もよくやっています。

advertisement

クロール また、あまり知られていませんが、Pages、Numbers、Keynoteは、Microsoft Officeの書類を直接開いて編集することができます。

 はい。そちらも便利でいつも使っています。Wordの注釈入りの校正書類はPagesで開いてもきちんと注釈が表示されるし、書き込めるんですよね。校正を終えた後、そのファイルをWord形式で書き出してメールをすれば、相手はこちらがPagesを使ったとは気が付かないでしょう。私もOffice書類をPages、Numbers、Keynoteで開いて作業してしまうことが多いです。

クロール ちなみに先ほど話した、1つのApple製品で途中まで行っていた作業を、ほかの種類のApple製品で引き継ぐ機能を我々は「コンティニュイティー」機能と呼んでいます。

 先の紹介したビジネス用アプリケーションだけでなく、例えばOS標準の「メモ」アプリなどでも利用できます。Macで書き溜めておいた「メモ」が、すぐに手元のiPhoneにも反映されるのです。

 我々がOS XやiOSで提供している最新の「メモ」ではチェックリストを作る機能も加えられているので、これを使ってMacで買い物リストのようなものを作っておけば、それを外出時に手元のiPhoneで確認することもできますし、項目をチェックすると、それがすぐにMacの側にも反映されます。

OS XとiOS間でデバイスの違いを意識することなく作業を続けられる「コンティニュイティー」

 その機能が便利過ぎて、これまでEvernoteに書いていたような内容を付属の「メモ」に書き込むことが増えてきました。

クロール そういう人のために、実は間もなく「メモ」に「Evernote」の情報を取り込む機能を追加する予定です。

 コンティニュイティー機能にも毎日、お世話になっています。一番便利に感じるのは電話の連携です。

 私の書斎は家の2階にあるのですが、よくiPhoneを1階のダイニングに置き忘れてしまいます。電話がかかってきた時、走ってダイニングまで駈けおりなくても、しばらくすると「コンティニュイティー」機能でApple WatchやMacでも着信音が鳴り始めるので、慌てず別の機器で電話を受けています。これは本当に便利。寝室とかリビングとかキッチンとか、どこにいても電話が受けられるように各部屋にiPadを置きたくなります(笑)。

iPhoneにかかってきた電話をMacで受け取れる

クロール あと、これはあまり知られていませんが、iPhoneでやりとりするiMessageはもちろんSMSも、コンティニュイティー機能でMacに同期されます。ですので、SMSで送られてきたメッセージに、Macのキーボードから返信をタイプしたり写真をドラッグして送信したりできます。

 それと、私が個人的によく使うのはテザリング機能です。外出時にMacをインターネットにつなげたい時に、わざわざiPhoneを操作せずとも、Macの側からiPhoneのインターネット共有(テザリング)機能をオンにすることができます。

 このように「コンティニュイティー」のおかげで、iPhoneを持っている人は、パソコンとしてもMacを使ったほうが色々な点で便利になってきます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.