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「Apple Watch Series 4」を試して分かった“iPhone以上の大進化”本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)

「XS」「XS Max」「XR」といったiPhoneの新モデルに注目が集まっているが、実は最も進化し、今後われわれの生活を大きく変えていく可能性があるのは「Apple Watch」なのかもしれない。そう予感させる新モデル「Series 4」を発売前に試したレポートをお届けする。

“時を知る”道具から“生活に寄り添う”道具に

 Apple Watchの第1世代はスマートフォンに集まる情報をフィルタリングしつつも、必要な情報を知らせる「通知」機能が主だった。その後、バッテリー性能や省電力性能の向上により、利用者の状態を常にモニタリングする機能が成熟しはじめ、心拍を含めた日常的な活動を記録、振り返りながらビジュアライズするウェルネス、ヘルスケアの機能が(少しづつだが)進歩してきた。

 また当初より主要機能として設定されていたスポーツ・フィットネスのトラッキング機能も、カジュアルなものから世代を重ねるごとに深みのあるものになってきている。


スポーツ・フィットネスのトラッキング機能も進化

 例えば代表的なワークアウトであるランニングアプリは、これまで比較的シンプルな情報と記録しかしていなかったが、watchOS 5ではケイデンス(1km当たりの歩数)を計測したり、現時点の瞬間的な速度以外に直近1km当たりの平均ペースを教えてくれたりと、少しずつかゆいところに手の届くのアプリへと成長している。

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 また従来も「その他」ワークアウトで記録しておき、それが後に何であったかを選んでおく機能があったが、「その他」では正確な記録が難しいヨガとハイキングについて、新しいワークアウトとして独立した設定が実装された。

 ヨガの場合、力強さを求められるポーズを中心としたシーケンスもあれば、リラックスを目的としたシーケンスもある。それら複数のヨガのタイプを識別しながら、正確にワークアウトの記録を行えるようにしたとのことだ。

 またハイキングについては、一般的なウオーキングとして処理するのではなく、アップダウンによる負荷の変化を心拍数とともに記録、追跡することで、こちらもより正確なワークアウトの結果が分かるようになる。

 さらに、Apple Watchは(ワークアウト中ほど高頻度ではないが)常時、光学式心拍計で心拍の動きをキャッチしており、腕の動きから検出される活動量を含め、15分間の活動ログがバッファされている。

 このバッファを活用し、ワークアウトの開始を忘れていたとしても、開始時間にまでさかのぼって消費カロリーの計算が行えるようになった。どのようなワークアウトなのかは、判別できる範囲で自動的にリストアップし、Taptic Engineで通知後に、ユーザーに選択とワークアウトか否かの確認を行う仕組みだ。もし行っているワークアウトとは別の運動しかリストにない場合は、マニュアルでの選択もできる。

 同様にワークアウトの終了を忘れていた場合でも、もしかして終わっているのではないか、と通知する機能が加えられた。実際に活動量計でワークアウトを記録している人ならば、こうした経験を何度もしていることだろう。

 実際に試してみたが、記録開始時間をさかのぼる機能は大変に役立った。ただしGPSの記録はされていないので、アウトドアランなどの開始地点は、ワークアウトだと認めた地点が地図上のスタート地点として扱われる。

ユーザーの動きからワークアウト中であることを自動で検出可能に。バッファを活用し、ワークアウトの開始を忘れていたとしても、開始時間にまでさかのぼって消費カロリーの計算が行える

 こうしたwatchOS 5の改良点は、既に6月開催の開発者向けイベントであるWWDC 2018でアナウンスされていた部分も多いが、Apple Watch Series 4はデュアルコアの「S4」となった内蔵プロセッサや、裏面が全てセラミックとなってアンテナ性能が改良された点なども含め、トータルで省電力化が図られ、GPSを利用した屋外ワークアウトの駆動時間が5時間から6時間に延びている点も見逃せないポイントだろう。

 しかし、こうした従来機能のアップデートだけがApple Watch Series 4の進化点ではない。もっと健康、あるいは生命の危機といったシリアスな場面でも役立つよう、何らかの事故を防止するための機能にAppleは取り組んでいた。

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