TwitterのCEOが休暇に「スマホ断ち」して行ったこと:ITはみ出しコラム
AppleやGoogleは「デジタル中毒対策」に乗り出していますが、ついついスマホに手が伸びてしまうもの。ただ、Twitterのジャック・ドーシーCEOや、salesforce.comのマーク・ベニオフCEOといった「スマホが必須」と思われるような人たちは、長期休暇を「デジタル断ち」で過ごしています。
昨年(2018年)は、AppleとGoogleが「デジタル中毒対策」の機能をそれぞれのモバイルOSでサポートしたことが話題になりました。
私の「Pixel 3」でも昨年11月からスマートフォンの使いすぎ防止アプリ「Digital Wellbeing」が使えるようになっています。1日にどのくらいどのアプリを使ったかが一目瞭然。使いすぎだと思うアプリには自分で「タイマー」を設定しておけば、使用制限時間が近づくと警告してくれます。
最終的には自己管理能力の問題ですが、まずは自分のスマホ使用状況を把握するのに役立つアプリです。
人とのつながりを大事にする人の場合はLINEやInstagramなどのソーシャル系アプリの使用時間が長そうです。私の場合は海外ニュースの新ネタがあるんじゃないかとTwitterやRSSリーダーを頻繁にチェックします。
それぞれ本人にとっては大切なことですが、何事も過ぎたるは猶及ばざるがごとし。偏りが見つかったら使い方を再考した方がよさそうです。個人的には、新着ニュースにばかり気を取られ、何かのテーマについてちゃんと調べて勉強する時間をほとんど確保していないことに気付きました。
読みたい本を持ってカフェに行っても、メッセンジャーのプッシュ通知をチェックしたらそのままスマホでニュースを読んだりして時間が過ぎてしまう、ということもよくあります。
人間は弱い生き物なので、目の前にスマホがあればつい手を出していつも通り使ってしまいます。一番簡単なデジタル中毒対策は、物理的にスマホやPCをシャットアウトすることです。
Twitterのジャック・ドーシーCEO(42歳)は19年前から、自分の誕生日イブには「デジタル断ち」しているそうで、今年はミャンマーで10日間、デジタルを排除した瞑想(めいそう)の日々を送ったそうです。
ドーシーさんがロヒンギャ問題に触れずに「ミャンマーっていいところだよ」と能天気そうにツイートしたことが問題になりましたが、それは置いておいて、いつ見てもApple WatchとiPhoneを手にしているドーシーさんが実はヴィパッサナー瞑想に凝っているのは知りませんでした。
TwitterとSquareという2つの会社を経営し、いろいろ批判も浴びる中で平常心を保つ役に立っているのかもしれません。
salesforce.comの創業者で会長兼CEO、マーク・ベニオフさん(54歳)も昨年7月、「iPhoneとiPadをFedexでハワイの別荘に送り」、ガラパゴス島、ボラボラ島、イースター島で2週間のデジタル断ち夏休みを過ごしたそうです。
ベニオフさんはAppleの故スティーブ・ジョブズ氏やOracleのラリー・エリソンCEOの影響で、来日すると京都の龍安寺に座禅しにいきます。この夏休みもたっぷり瞑想して自分と向き合ったそうです。その結果、自分は忙しすぎるという啓示を受けたと、CNBCのインタビューで語りました。
salesforce.comが8月に共同CEOを指名したときには驚きました。ベニオフさんが自分の会社をとても愛しているのは良く知られているからです。でも、ベニオフさんは、CEOとしての仕事で忙しすぎることに気付いたので「CEOを2人にして分割統治すればいいと思い付いた」とCNBCに語りました。
そこで以前からいつかはCEOになりたいと思っていたCOOのキース・ブロックさんをハワイの別荘に呼び出して合意を得ての発表だったのでした。
これからはCEOとしての実質的な経営はブロックさんに任せ、企業文化やイノベーションなど、好きな業務だけをやり、プライベートでも買収したTIMEや妻とやっている慈善事業にこれまで以上に時間を費やすそうです。
ベニオフさん、昨年のWorld Economic ForumでのCNBCのインタビューで、「ソーシャルメディアはタバコのように中毒性があるからタバコと同じように規制すべきだ」と語りました。もしかしたらベニオフさんも一度はSNS中毒になりかけたのかもしれないですね。デジタル断ちでそれに気づいて警鐘を鳴らしたのかも。
ドーシーさんやベニオフさんのような長期間のデジタル断ちは難しそうですが、例えば1日だけでもスマホに手を伸ばさずに過ごしてみると、自分にとって大事なことが少し見えてくるかもしれません。
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