AppleとGoogleが「テック中毒」対策を発表 スマホ使いすぎ問題は意外と深刻?:ITはみ出しコラム
AppleとGoogleの開発者会議では、どちらもテクノロジー中毒対策の新機能が発表されました。スマホの使いすぎ問題(特に子どもの使いすぎ問題)は深刻な問題として話題となっています。
米IT企業の開発者会議ラッシュも、AppleのWWDC 2018で一段落です。Appleはうわさ通り、ハードウェアを1つも発表しませんでした。お楽しみは秋に、というところでしょうか。
WWDCの基調講演でやっぱり来たなと思ったのは、同社ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギさんが「最近話題のアレについて話そう」と言った、“テック(テクノロジー)中毒”対策の機能です。
Googleも5月開催のGoogle I/Oで、やはり少し時間を割いて同様の機能を紹介しました。
どちらかがどちらかをまねしたわけではなく、もちろん偶然でもありません。フェデリギさんも言うように、テック中毒が最近話題だからです。
両社のスマートフォンの使いすぎを防ぐためのアプリは、細かい違いはありますが、いずれも自分がどれだけスマートフォンを使ったか、どのアプリを使ったかを可視化してくれるツールです。結果を見てもまだ使いすぎてしまう意志の弱い人のために、自分でアプリごとの使用時間上限を設定できるところも似ています。いずれもペアレンタルコントロールで子どもの端末やアプリの使用時間を制御できます。
テック中毒問題はずっと前から懸念されてはいましたが、注目を集めたのは多分、Facebookの出資者で初代社長(で私が個人的にお騒がせショーンと呼んでいる)のショーン・パーカーさんが2017年11月にAxiosのイベントで、「SNSが子どもたちの脳にどういう影響を及ぼすかは神のみぞ知る、だ」と語ったときだと思います。「Facebookは、いかにして人の時間と関心を奪うかを意識して開発した」とも言いました(長く滞在してもらうことが広告収入に直結するので)。パーカーさん、2児の父になって少し意識が変わったようです。
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOも2児の父。娘のガジェット教育をどうしているのか気になります。シリコンバレーのエンジニア家庭では、授業で一切IT端末を使わず、子どものガジェットの持ち込みも禁止する私立学校に入れるのがはやりだと、2011年には既にThe New York Timesに載っていました。教育機関へのIT端末売り込みでしのぎを削るAppleやGoogleの従業員が、自分の子どもは自社製品を使わない学校に入れたいというのは、ちょっと皮肉な話です。
Appleの場合はさらに、大株主からのプレッシャーもありました。2018年1月にAppleの株を20億ドル分持つ投資ファンドのJana PartnersがAppleに、子どものテック中毒の対策ツールを出しなさいと公開書簡で要請したのです。Jana PartnersはWWDC後、「今回の発表はまあまあだったけど、今後もさらに精進してね」という公開書簡も出しています。
Appleの場合は主な収益源がコンテンツや広告ではないので、iPhoneやiPadが使われる時間が減ってもそれほど影響はなさそうですが、広告収入がメインのGoogleは長く使ってもらうのが大事なはず。それでも自ら「あまり使いすぎないようにね」とユーザーに呼び掛けなければならないほど、実は事態は深刻なのかもしれません。
2018年2月には元GoogleやFacebookの従業員も参加するテック中毒警告団体「Center for Humane Technology」が結成され、「テクノロジーによる心のハイジャックと戦おう」と呼び掛けています。
デジタルネイティブな子どもたちは、今の大人より上手にSNSやテクノロジーを使いこなしているのかなと思ったのですが、そうでもないかも、と思わせる動画を最後にご紹介しておきます。
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