レビュー

iPad Pro用「Magic Keyboard」のよいところ気になるところじっくり使って分かった(2/4 ページ)

Apple純正のiPad Pro用キーボードに、トラックパッド付きの「Magic Keyboard」が登場した。発売以降、供給不足が続いているが、従来のSmart Keyboard Folioとの違いは何なのか、11インチと12.9インチのそれぞれで比較した。

開く角度に制限あり。キー入力は抜群もタイプ音はやや大きい

 本製品の最大のポイントは、iPad Proが宙に浮く形で装着するギミックだろう。iPad Proをマグネットで吸着させる仕組みは従来のSmart Keyboard Folioと変わらないが、本製品はiPad Proの背面に吸着するパネルの下3分の1あたりで折れ曲がるようになっており、宙に浮いた状態で、角度を変更できるようになっている。

 ただし、角度を変えられるといっても、ノートPCほど自由度は高くない。多くのノートPCならば、完全にフラットとまではいかなくても、それに近い角度まで画面を開けるケースが多いが、本製品は通常使う画面の角度が精一杯で、それ以上後ろに倒せない。理由は単純で、それ以上開くと、重量バランスの関係で背後に倒れてしまうからだ。

 とはいえ、従来のSmart Keyboard Folioが2段階でしか角度を変えられなかったことを考えると十分な進歩であり、ぜいたくは言えないだろう。あくまでも、一般的なノートPCと比べるとあまり開けないというだけだ。

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 また倒れやすいといっても、パームレストに常時手を載せておく前提であれば特に問題はないので、膝の上に乗せてのキー入力にも向いている。従来のSmart Keyboard Folioはパームレストがなかったため、膝の上に乗せてタイプするにも手のひらで支えることができなかったが、本製品ではそのようなことはない。

 従って、置き場所をデスク上に確保できなかった場合に膝の上で作業をするのにも向いているが、その場合は画面の角度を上向きにできないため、どうしても背を丸めて画面をのぞき込むような姿勢になりがちだ。極端な姿勢で使う場合は、ノートPCよりも自由度の低さを感じる場合もあるだろう。


カバー単体で自立させたところ。背面パネルの約3分の一の部分で折れ曲がる構造だ

iPad Pro背面のSmart Connector(3つの丸印)の位置が合うようにカバーを吸着させる

最大限まで開いた状態。角度は意外と浅い

垂直近くまで角度を戻すこともできるが、現実的にこの角度で使うことは少ないだろう

従来のSmart Keyboard Folio(右)との比較。手前にあるトラックパッドの有無の他、iPad Proがフローティング構造か否かが異なる

キーボードの位置を基準に横に並べたところ。トラックパッドの有無が異なるので当然だが、奥行きが全く異なる

斜め方向から見たところ。形状自体はよく似ている

背面から見たところ。ちなみにやや青みがかったSmart Keyboard Folio(右)と異なり、本製品は黒に近いグレーだ

真横から見たところ。キーボード部の奥行きはかなりあるが、フローティング構造により本体の奥行きを最小限にとどめている

ふかんでのサイズ比較。ヒンジ部が出っ張っているぶん、本製品の方(左)が幅がある

基部のアップ。iPad Pro本体が浮いた状態なのが分かる。奥にはUSB-Cポートがある

こちらは従来のSmart Keyboard Folio。吸着位置によって角度を2段階で変えられる

気持ち良く入力できるが入力音はやや気になる

 アイソレーションキーボードのタッチ感のよさは、従来のSmart Keyboard Folioとは比較にならない。ただしストロークがしっかりしているぶん入力音は大きめだ。この音は構造に起因するので、ゆっくりタイプしてもあまり変わらないのがつらい。周囲に人がいる環境で気兼ねなく使うためにも、もう少し静かになるのが理想だろう。

 また、使っているとキートップに手の脂がやや目立ってくる。マットでザラザラした質感だった従来のSmart Keyboard Folioではなかった問題点だ。手前にあるトラックパッドについても、手の脂がかなり目につくので、神経質な人は気になるかもしれない。


キーボード面。配列自体はMacBookシリーズと同じで違和感はないが、後述する12.9インチと違ってEnterキー回りがやや窮屈だ

従来のSmart Keyboard Folioのキー配置を踏襲していることが分かる

Enterキーの周辺。上下左右キーは逆T字になっている

Smart Keyboard Folioでは上下左右キーが逆T字ではなく、左右キーが大柄だった

キーはアイソレーション構造で、どこを押しても垂直に沈み込む。ストロークは約1mmだ

Smart Keyboard Folioは全面を防水素材で覆った独特の質感で、端を押すとそこだけが沈み込む仕様だった

 また、Smart Keyboard Folioのように、キーボードが不要な時に背面に折り返して両手で持つことはできない。不要な場合は、iPad Pro本体をキーボードから取り外す格好になる。マグネットで吸着しているだけなので、取り外し自体は容易なのだが、タイピング以外のスタイルで使うには向いていないことは知っておこう。


Smart Keyboard Folioはキーボード面を背後に折り返して手に持つことができたが、本製品ではそれは行えない

 続いて、ライブ変換を見ていこう。

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