フルHD時代のスタンダードに相応しい? 「Radeon RX 6600 XT」の実力をチェック!(2/3 ページ)
間もなく、AMDの新型GPU「Radeon RX 6600 XT」を搭載するグラフィックスカードがリリースされる。その実力はいかほどのものか、ライバルのNVIDIA製GPUと比べてみよう。
「Radeon RX 6600 XT」の性能を検証
ここからは、BIOSTAR AMD Radeon RX 6600 XT graphics cardを使ってRadeon RX 6600 XTの性能をチェックしていこう。
今回は「Ryzen 9 5900X」を主体とするAMDプラットフォームでテストを実施する。比較対象として、AMDが公式で「仮想敵」に設定した以下のGPU(グラフィックスカード)も用意した。
- GeForce RTX 3060(ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge)
- GeForce GTX 1060(ROG-STRIX-GTX1060-O6G-GAMING)
グラフィックスドライバーは、Radeon RX 6600 XTがテスト版の「Radeon Software Adrenalin 21.8.1」を、GeForceはテスト時点で最新の「バージョン471.41」を利用している。
なお、Radeon RX 6600 XTとGeForce RTX 3060は、PCI Expressバスを介してCPUがグラフィックスメモリにアクセスできる「Resizable BAR」(Radeonでは「Smart Access Memory(SAM)」と呼んでいる)を利用できる。今回は、この機能を有効にしてテストを実施している。
3DMark
まず、DirectX Raytracing(DXR)を利用しないベンチマークテストを進めていく。
1本目は、3Dグラフィックスの描画性能をチェックする定番のベンチマークソフト「3DMark」だ。今回は、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズを実行した。
RX 6600 XTの総合スコアは、フルHDで描画する「Time Spy」で9920、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Time Spy Extreme」で4677となった。RTX 3060と比較すると、Tyme Spyで8%ほど、Time Spy Extremeで5%ほど高いスコアを記録した。GTX 1060との比較では、両テスト共に約2倍のスコアをたたき出した。
GTX 1060の発売当初の想定販売価格は249ドル(当時のレートで約2万5000円)だった。このGPUが“5年落ち”であることも加味すると、AMDの言う通りRX 6600 XTにGeForce GTX 1060を置き換えるだけの価値があることは間違いない。
Fire Strikeシリーズのテストでは、RX 6600 XTとRTX 3060のスコア差がやや大きく出た。計測回によってわずかなばらつきはあるものの、どの解像度でもRX 6600 XTの方が20%ほど良いスコアである。GTX 1060とのスコア差は、Time Spyシリーズと同様におおむね2倍だった。
PCゲームにおけるフレームレート
実際のゲームにおけるフレームレート(秒間の描画コマ数)もチェックしてみよう。
まず、人気のシューター系タイトル「Apex Legends(エーペックスレジェンズ)」を試してみよう。今回は描画負荷がもっとも高くなるように設定を行った上でゲーム内の一定コースを移動する際の1分間の平均フレームレートと、最小フレームレート(Min 1%)を「CapFrameX」を使って取得した。解像度はフルHD、WQHD、4K(3840×2160ピクセル)の3種類で試している。
RX 6600 XTとRTX 3060とのフレームレートの差は、3DMarkにおけるスコア差よりも控えめだ。フルHDとWQHDではスコアがおおむね拮抗(きっこう)している。フルHDであれば、どちらのGPUも高リフレッシュレートディスプレイを活用できるだけの性能を備えている。ただし、4K時のフレームレートは、RTX 3060がRX 6600 XTを大きく上回る。
本作はGTX 1060でも十分に楽しめるのだが、フレームレートを測ってみるとRX 6600 XTやRTX 3060に2倍超の差を付けられてしまう。高リフレッシュレートディスプレイのラインアップが充実してきた現状を踏まえると、可能な限り新しめのグラフィックスカードを用意しておいた方が良さそうである。
より高負荷なタイトルでは、フレームレートにどのくらい差が付くのだろうか。「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」で試してみよう。
このゲームはDXRに対応しているが、ここではDXRを無効とした状態でフレームレートを計測する。画質はプリセットの中で最も高画質な「ウルトラ」を選択し、フィールド上の一定コースを移動する際の1分間の平均/最小フレームレートをCapFrameXで計測した。解像度は、先ほどと同様にフルHD、WQHD、4Kの3種類で試している。
Cyberpunk 2077は、現行のPCゲームの中でも処理負荷的な意味で屈指の“ヘビー級タイトル”である。それでも、RX 6600 XTはフルHDで平均66.8fps、最小51.8fpsと、実際のゲームプレイにおいて十分なフレームレートを確保している。レート自体の傾向はApex Legendsと同様で、フルHDとWQHDではRX 6600 XTとRTX 3060はおおむね同レート、4KになるとRTX 3060がRX 6600 XTを突き放す、といった格好だ。
これだけ重いタイトルともなると、最高画質にするとGTX 1060にはフルHDでも荷が重い。カク付きが多くなり、スムーズなプレイは厳しい状況である。4Kにすると起動すらできなかった。
少なくともApex LegendsとCyberpunk 2077のフレームレートを見る限り、RX 6600 XTのフルHDにおける描画性能は、RTX 3060と同等か少し上回るようだ。ただし、解像度が上がるとRTX 3060の方が有利になる傾向も見受けられる。
もっとも、RX 6600 XTもRTX 3060もフルHDにおけるゲーミングに最適化されたGPUである。フルHDでゲームを楽しむなら大差はなく、甲乙つけがたい。RX 6600 XTはこのクラスのGPUとして有力な選択肢の1つであることは間違いない。
関連記事
大きさは? 補助電源は? 新世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 6600 XT」搭載グラボをチェック!
AMDの新世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 6600 XT」を搭載するグラフィックスカードが間もなく登場する。今回、BIOSTAR製のグラフィックスカードを試す機会を得たので、まずは外観からチェックしていこうと思う。1080pゲーミングに最適化したGPU「Radeon RX 6600 XT」が登場 米国では8月11日発売 379ドルから
AMDの最新GPU「Radeon RX 6000シリーズ」に、1080p(フルHD)ゲーミングに最適化されたモデルが登場する。想定販売価格は379ドル(約4万1500円)からで、従来よりもさらに手頃となっている。8月6日19時発売! Zen 3採用APU「Ryzen 7 5700G」「Ryzen 5 5600G」の実力を先行レビュー
AMDがZen 3アーキテクチャを採用するAPU(GPU統合型CPU)を8月6日19時に発売する。その実力はいかほどのものか、先行してレビューする。RTX 3070よりも性能は向上したが…… 「GeForce RTX 3070 Ti」は“Ti”に相応しいのか?
6月10日22時に「GeForce RTX 3070 Ti」が発売される。GeForce RTX 3070の上位モデルという位置付けだが、消費電力の大幅増など気になる面もある。ベンチマークテストを交えて実力をチェックしてみよう。サイズは? 映像出力ポートは? 補助電源は? Radeon RX 6800/6800 XTをチェックしよう
間もなく発売されるAMDの新型GPU「Radeon RX 6800」と「Radeon RX 6800XT」。そのリファレンスカードが一部メディアおよびレビューワーに配布された。まずは、どのような外観を持っているのかチェックしていこう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.