フルHD時代のスタンダードに相応しい? 「Radeon RX 6600 XT」の実力をチェック!(3/3 ページ)
間もなく、AMDの新型GPU「Radeon RX 6600 XT」を搭載するグラフィックスカードがリリースされる。その実力はいかほどのものか、ライバルのNVIDIA製GPUと比べてみよう。
DXR対応タイトルではどう?
RX 6600 XTとRTX 3060はDXRに対応している。DXRを使ったリアルタイムレイトレーシング(RT)のパフォーマンスもチェックしておこう。
「RTX」の名を冠することもあり、RTのパフォーマンスはRadeon RX 6000シリーズよりもGeforce RTX 30シリーズの方が高い傾向にある。そのご多分に漏れず、今回も「RX 6600 XTよりもRTX 3060」なのだろうか……?
まず、3DMarkのRTテスト「Port Royal」のスコアを比較してみよう。結果は以下の通りとなった。
- Radeon RX 6600 XT:4352
- GeForce RTX 3060:5103
- GeForce GTX 1060:923
残念ながら「ご多分に漏れず」となってしまった。RX 6600 XTとRTX 3060のスコア差は15%ほどある。「たった15%」と思うかもしれないが、実際には無視しきれないパフォーマンス差となって表れる。
Port Royalは、GTX 1060でも実行すること“は”できる。しかし、RT専用の処理ユニットを持っていないこともあり、スコアはかなり低い。実際のゲームのフレームレートを計測すると目に当てられない状況となるため、以後のテストはGTX 1060での計測は省略する。
実際のDXR対応ゲームとして、先にテストしたCyberpunk 2077に再登場してもらおう。画質プリセットを「レイトレーシング:中」とした上で、フルHD、WQHD、4Kの3つの解像度で平均/最小フレームレートを計測してみた。
Cyberpunk 2077では、DXRを有効化するとGeForce RTX 30シリーズであれば「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」、Radeon RX 6000シリーズでは「FidelityFX CAS(Contrast Adaptive Sharpening)」が自動的に有効化される。しかし、RX 6600 XTではFidelityFX CASがうまく働かなかったようで、RTX 3060とフレームレートで大差を付けられてしまった。解像度の低いフルHDでも、フレームレートで3倍近い差が付いている。この差は「無視しろ」と言われても無理なレベルである。RX 6600 XTは4Kでテストを実行できなかった。
RT性能を重視するならGeForce RTX 30シリーズという構図は、RX 6600 XTとRTX 3060との関係にも当てはまる。
ピーク時の消費電力はRTX 3060を下回る
テストの締めくくりとして、システム全体の消費電力をチェックしておこう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。
アイドル時の消費電力はいずれも60W未満だった。高負荷時の電力は、RX 6600 XTが241W、RTX 3060が273Wで、消費電力当たりのパフォーマンスはRX 6600 XTの方が少しだけ良好だ。いずれにしても上位GPUに比べればかなりの省エネぶりで、電源ユニットは650W前後の容量があれば十分である。
フルHDをターゲットにするなら有力な選択肢
ここまで見てきた通り、Radeon RX 6600 XTはフルHDでの快適なゲームプレイに適した性能を備えている。フルHDの高リフレッシュレートディスプレイと組み合わせれば、コストパフォーマンスの高い高リフレッシュレートシステムを構築できる。
ただし、GeForce RTX 3060とのRTパフォーマンスの差は懸念材料といえる。ゲームにおけるRT効果に期待するなら、現時点ではGeForce RTX 3060の方が無難な選択といえる。
RTパフォーマンスにこだわらないのであれば、Radeon RX 6600 XTとGeForce RTX 3060は甲乙つけがたい。最終的には販売価格次第となるが、Radeon RX 6600 XTはフルHDクラスにおけるスタンダードGPUの1つとして、なかなか良いポジションに収まりそうな印象だ。
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