PFUの熱いユーザーイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.5」で語られたこと(4/5 ページ)
発売から25周年を迎えた2021年、PFUがユーザーイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.5」を開催した。熱烈なファンが集う会で何が話されたのか、レポートをお届けする。
HHKB開発に携わった関係者による誕生秘話
最後のパートは、「HHKB黎明期 25年前何があったのか」と題して、HHKBの誕生にかかわった富士通システム総合研究所 白神一久氏、テラテクノス 取締役CTO 八幡勇一氏、そして松本氏がトークセッションを行った。
白神氏は、PFU研究所時代、Sun ワークステーションで使われるようなキーボードを使うほど、キーボードにこだわりがあった。そこへ、和田教授から寄稿された論文を読み、共感し、上司のところに相談に行ったことが、HHKBの開発とのかかかわりのスタートだったという。
「ソフトウェアのエンジニアだったので、ハードは八幡さんにお願いした」(白神氏)
八幡氏はSPARCstationの開発に携わっていたが、PFU研究所に配属され、HHKBの試作、和田教授とやり取りしながらキー配列の調整、そしてHHKBの初代からProfessionalまでの企画と開発、サポートを行った。
「試作機を作るため、本物のキーボードをカットし、ボンドで貼り付ける、ということを行って、インタフェース部分についての試行錯誤を半年ほど行っていた」(八幡氏)
PFUには、Sunキーボードの仕様、IBM PC、Macintoshの仕様を理解する人たちがおり、そのことからSunだけでなく、PCやMacでも使えるキー配列を目指すことになったという。
「和田先生が理想とするキーボードは『Alephキーボード』。Emacsが使えて、文字が打てれば良い、というまっすぐな思いで作られている。しかしそれではSan、PC、Macに接続したときにキーが足りない。それで、少しずつキーを追加していった」(八幡氏)
しかし、和田教授からは「Altをスペースバーの両側に置くのに譲歩した。左右非対称なのも気に入らない。Mac使いは何の工夫もしない人たちなのか。どうしても(彼ら/彼女らが)使えないのなら、Macを対象機種から外しても仕方がない」と言われたことを八幡氏は明かした。
「とはいえ、私たちもメーカーとして数を出さないといけない。そこで、和田先生にご理解いただき、3機種対応のキー配列が決定した」(八幡氏)
完成したが、そもそも研究所という体の組織であること、B2Bの起業であることなどから、販売ルートがなく、消耗品を販売するCE部隊に便乗して会計に乗せてもらったという。また、今でこそ珍しくないが、インターネット通販(パソコン通信による販売)も開始した。これが現在のPFUダイレクトの原型となった。
台数が伸びなかったことから、「価格を下げたものを作るよう」(松本氏)言われ、米国限定でLiteモデルを作成。価格は7800円とした。
当初のHHKBのロゴがあまりクールではなかった、とのことで現在の「~」を「H」と組み合わせたロゴが米国で発明された。また、「ハッキング」という単語に良いイメージを持たれていなかったため、「Happy Hacker Keyboard」という名称に変更された。
なお、商標登録の際、「ハッキング」という単語に悪いイメージがつきまとっていた当時の時代背景もあり、一旦は不受理となったが、そもそもの意味について参照資料とともに提出することで、無事に受理されたという経緯があることも明かされた。
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