20年目の新モデル「REALFORCE R3」で変わったこと 変わらなかったこと(1/5 ページ)
高級キーボードシリーズでおなじみの東プレから、「REALFORCE」の第3世代となる「REALFORCE R3」シリーズが計20モデル発表された。11月1日の発売に先駆けて、待望の無線接続対応モデルを中心に試した。
東プレの高級キーボード「REALFORCE」が、2001年に登場してから20年が経過した。16年目の2017年に登場した第2世代R2シリーズから4年後の2021年、待望の第3世代R3シリーズが発売される。誰もが予想し、誰もが期待した無線対応は当然ながら、それだけではないヒューマンインタフェースを突き詰めた集大成となっている。
REALFORCE20年目の新シリーズ「REALFORCE R3」がついに11月1日から発売される。全20モデルのうち、16モデルがUSB Type-CとBluetooth 5.0両対応のハイブリッドモデルとなる(写真はR3HA12とR3HC21)
なぜREALFORCEなのか?
東プレのREALFORCEと言えば、少しでもキーボードにこだわりがある人なら誰でも知っている名称だ。もともと、業務用キーボードのOEMメーカーとして絶対的なシェアを持っていた東プレが、初めてコンシューマー向けの自社製品として2001年に市販したキーボードが初代REALFORCEとなる。
REALFORCEは、見た目こそ何の変哲もない、非常にオーソドックスなデザインだ。知らない人に見せても、それが2万円を上回るような高級機だとは分からないだろう。初代REALFORCEは特筆するような機能は付いていなかったが、それでも入荷即完売を繰り返すような人気を誇った。その人気の秘密は「疲れず、速く正確にキーが打てる」という、まさにキーボードとしての基本的な機能の高い水準にある。
その秘密の1つが、REALFORCEの代名詞とも言える静電容量無接点方式だ。静電容量無接点方式は接点が接触することなく、オン/オフを認識するスイッチ方式で、他の接点方式のスイッチは原理的にオンとオフの2つの状態がある。接点が接触すればオン、離れればオフ、というシンプルな仕組みだが、実際にはオン/オフぎりぎりのところまでしか押し下げられなかった場合などに、オン/オフを複数回繰り返すチャタリングを起こしてしまうことがある。
一方、静電容量無接点方式の場合は接点が近づくことで変化する静電容量を読み取り、一定値を超えることでオン/オフを判定する。このオンとオフは同じポジションではなく、そこに差(ヒステリシス)が設けられている。
簡単に言うと「オフとオンの間に状態が変化しない範囲」がある。キーが押されていないときは当然オフだが、そこから少しずつ押し下げられていくと、まずオフのしきい値を超える。元々オフなので何も変化はない。さらに押し下げられてオンのしきい値を超えたところでキーオンということになる。そこから戻るときは、先にオンのしきい値を超えるものの、もともとオンなので変化はない。さらに戻ってオフのしきい値を超えたときに初めてオフになる。
このように、オンとオフを切り替えるためには2つのしきい値を超えなければならない構造となっており、チャタリングが発生しない。
そして高速タイピングやゲームなど、速く正確なキー入力が求められる場面で違いが現れる機能がNキーロールオーバーだ。USB入力デバイスの仕様では、1度にキーボードから送ることができるキーオン情報は、最大6キー(通常キーの場合)となっている。そのため、一般的なUSBキーボードでは同時に7キー以上押下しても、7番目以降のキーは検出されない。
初代REALFORCEでは、PS/2接続の場合のみ全キー同時押しNキーロールオーバーに対応し、USB接続時は7番目のキーが押されたときには1番目のキーが離されたように処理することで、Nキーロールオーバーのみに対応していた。これによって高速入力時のときの取りこぼしはないものの、FPSゲームなどで多用されるキーの同時押しでは「離していないのに離したことになってしまう」という問題があった。
この問題は第2世代のR2で解決された。R2ではキーボード自体が単体のUSB入力デバイスではなく、複数のキーボードからなる複合デバイスとして認識されるように変更されている。その結果、同時キー数の制限を受けることがなくなり、R2はUSBキーボードでありながら全キー同時押しNキーロールオーバー対応となった。
このように、REALFORCEはキーボードの根本的な要件である「疲れず、速く正確にキーが打てる」をストイックに求め、それを実現しているという点で高く評価されている製品だ。
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