モバイル向け「第12世代Coreプロセッサ」の本格展開は3月から 性能はどう?(3/3 ページ)
ハイエンド向けから先行展開が始まったモバイル向け第12世代Coreプロセッサ。いよいよメインストリームを担う「Pプロセッサ(28W)」と「Uプロセッサ(9W/15W)」を搭載するノートPCの展開が始まる。それに先立ってIntelが実施した説明会をもとに、製品概要を改めて解説する。
Evoプラットフォームは「第3世代」に
第12世代Coreプロセッサのリリースに合わせて、IntelのノートPC認証プログラム「Intel Evoプラットフォーム」は、前身の「Project Athena」から数えて第3世代となる。
第3世代のEvoプラットフォームは、第11世代Coreプロセッサに合わせて登場した第2世代の要件を時代に合わせて進歩させたものだ。主要なものは以下の通りだ。
- ハードウェア的要件
- 第12世代Coreプロセッサを搭載すること
- 「Intel Wi-Fi 6E(Gig+)」を実装すること
- 「Intel CPS(Connectivity Performance Suite)」に対応すること(※3)
- 音声ノイズ抑制機能を備えること(Intel GNAを活用)
- フルHD(1920×1080ピクセル)以上の解像度で撮影できるカメラを搭載すること
- Intel VSC(Visual Sensing Controller)を搭載すること(オプション)
- 体験要件
- 一貫性のあるレスポンスを維持すること
- 最大9時間以上のバッテリー駆動時間を確保すること
- 1秒未満でスリープ(スタンバイ)から復帰できること
- 30分で4時間以上稼働できるだけのバッテリー容量を充電できること
- Web会議に便利な4つの機能を備えること(ハードウェア要件に含まれている)
(※3)通信に優先順位を付ける機能と、Wi-Fi接続を自動的に分析して最も品質の良いアクセスポイントにつなぎ替える機能からなる
Intelによると、100を超える第3世代Evoプラットフォームに準拠するモデルが2022年中にリリースされる予定だという。そのうち、8を超えるモデルがIntel VSCを備え、15を超えるモデルが5G通信に対応するとのことだ。
体験要件の1つである「Web会議に便利な4つの機能を備えること」は、ハードウェア要件を満たせば容易にクリアできそうに見える。ただし、ハードウェアはもちろん、ソフトウェアを含めてチューニングをしっかりとしないと満たせないようだ
“周辺”にもフォーカス
第3世代Evoプラットフォームでは、ノートPCを取り巻く“周辺要素”にもフォーカスを当てている。
まず、2022年末をめどにスマートフォン、タブレットやスマートウォッチなどマルチデバイス間のシームレスな連携機能を一部のEvoプラットフォーム準拠モデルに実装する。具体的には、以下のようなことを行えるようにするという。
- スマホの通話の発着信やメッセージ(SMS)の送受信
- 写真やファイルの転送/共有
- マルチデバイス間の情報のシームレスな共有
さらに、Evoプラットフォームに最適化された周辺機器を認証する「Enginered for Intel Evo」アクセサリーパートナープログラムを立ち上げる。この認証を取得できる周辺機器はThunderbolt 3/4対応機器とBluetoothヘッドセットで、以下の要件を満たした上でIntelの認証を受ける必要がある。
- Thunderbolt 3/4デバイス
- スリープからの復帰が迅速であること
- クロスデバイス利用が問題なく行えること(高い互換性を有すること)
- (PCの)急速充電に対応すること(電源供給に対応する場合)
- Bluetoothヘッドセット
- 高い品質と信頼性を備えること
- ペアリングが簡単であること
- PCとスマホと簡単に切り替えられること
Evoプラットフォーム対応ノートPCで使うThunderbolt 3/4デバイスやBluetoothヘッドセットを認証する「Enginered for Intel Evo」認証もスタートする。現時点では既存製品が中心となっているようだ
フォルダブルPC向け要件も
第3世代Evoプラットフォームでは、フォルダブル(折り曲げ可能な)ディスプレイを持つタブレットPCも認証対象に含まれる。第3世代のハードウェア/体験要件を全て満たした上で、以下の要件も全て満たす必要がある。
- 新しい使い方や体験をもたらす新しい形状を持つこと
- 16型以上かつQHD(2560×1440ピクセル)以上の表示に対応する、タッチ対応で没入感のあるフォルダブルディスプレイを備えること
- 本体から離れて設置できるBluetoothキーボードを提供すること
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