新型「iPad」はフルモデルチェンジしてiPad Airに近い使い勝手を実現 実機に触れて分かったこと:旧モデルとの価格差は日本市場も配慮?(2/3 ページ)
Appleの「iPad」が全面的に刷新され、新モデルに生まれ変わった。第10世代iPadの実機を林信行氏がチェックした。
アクセサリーにも大きな変化 気になるのはApple Pencilの充電
ここまで大きな仕様変更なので、純正アクセサリー類も大きく変わっている。
別売の純正外付けキーボードも1mmのキーストロークを備えた製品に付けられる「Magic Keyboard」を製品名にした「Magic Keyboard Folio」が新たに提供された。
Appleは初代のiPadから、本体を立てる機能を持ったさまざまなケースやキーボード付きケースを発売してきたが、今回はその歴史において初となる2ピースの構成となっている。本体背面にピタッと磁石で吸着するバックカバーと、Smart Connectorと呼ばれる側面の端子部分にピタッと吸着するMagic Keyboardの2ピースだ。
従来のキーボードカバーのように、キーボードと背面カバーが1ピースの方が、キーボード単体での持ち歩きがしやすくも思えるが、実際にはほとんどの人は、背面カバーはiPadにつけっぱなしなので、実はそれほどキーボード単体での持ち歩きやすさを気にする必要はない。
新型iPadの登場とともに、新しい純正キーボード「Magic Keyboard Folio」が用意された(3万8800円)。iPad入門機でも、MacBook Airに負けない快適な文字入力が可能になった。キーボード部分とバックカバー/スタンド部分の2ピース構成で、iPadに個別でマグネット吸着させる
それよりも、2ピースにしたことによる柔軟性の高さの方がメリットが大きい。
例えば、筆者はiPadでキーボード付きのカバーも持っているが、飛行機の中で映画を見るときには、できるだけ画面の前に無粋なキーボードがない方がうれしいので、そのシチュエーション専用にスタンド兼カバーを購入している(そしてやはり映画はそうやって見た方が心地よい)。
今回の2ピース構成だと、映画を見るときはバックカバーをスタンド代わりに使えるなど、多彩なシチュエーションに対応できる。
もっとも、別売のApple Pencilでの長時間の描き込みをしやすくするために、さらに深い傾斜をつけることができないのは少し残念なところだ。こちらの用途には、別製品の「Smart Folio」(1万2800円)が適している。
純正品を選ぶ場合、キーボード入力がメインか、Apple Pencilがメインかで選ぶカバーが分かれることになっている。
「Smart Keyboard Folio」(右/3万8800円)のスタンドは動画や電子書籍のビューアーとしては使えるが、ペン入力がしやすい角度にまでは倒れないので、Apple Pencil使いがメインの人は「Smart Folio」(左/1万2800円)も必要になってしまう
と、これだけ大きく変わった標準iPadだが、1つだけ変わらなかったポイントもある。第1世代Apple Pencilの採用だ。iPadの端子はUSB Type-Cに切り替わったのに、使うPencilはLightning仕様の従来品のままとなる。これを充電するには、一度、間に別売のアダプター(1380円)を挟んで行う必要があり、これがソーシャルメディア上で不評を買っている。
ソーシャルメディア上では大不評となっているアダプターを介してのApple Pencilの充電だが、USB Type-C側のケーブルにも、Lightning側にもかなりしっかりカチっとハマるため、カバンの中で充電していても外れてしまう心配は少なそうだ。余っているUSB Type-Cケーブルが手元にあれば、そのうちの1本をApple Pencil充電専用にして、このアダプターをつけっぱなしにしてもいいかもしれない。なお、充電中のApple Pencilは作業に使えないようだ
Appleは、既にApple Pencilを購入済みの人々のことを考えての配慮だとしている。標準iPadは価格が手頃なことから機材用の予算が限られた学校などにもよく導入されているが、その限られた予算でiPadとApple Pencilの両方を新調するとなるとコスト高になってしまう。
特に他のiPadが採用している第2世代のApple Pencilは、マグネットでiPadに吸着して充電できるスマートな仕様になっているが、その分、価格も第1世代より5000円高い1万9800円もする。学校などでの大量導入には、大きな障壁になりかねない価格だ。これがアダプターならわずか1380円の追加投資で済む。というわけで、このやり方は確かに初期投資が低くて済むのは、古いiPadからの乗り換えたい人には親切だろう。
でも、初めてiPadを買う人には少し不親切だ。今後はApple直営店やオンラインストアでApple Pencil第1世代を購入すれば、無料でアダプターが付属するので余分な支払いが発生しないようになっている。しかし、アダプターを介して充電する不自由さや、アダプターを無くしてしまう不安も考えると、あまり理想的な解決方法ではないようにも思える。
既にApple Pencilを持っている人にPencilを買い直しさせず、しかも新規ユーザーにも快適な充電を行えるようにする方法の1つは、iPadのUSB Type-C端子とApple PencilのLightning端子を直接繋ぐ専用ケーブルを新たに作って提供することだろう。製品化できたとしたら、おそらく既存のUSB-C→Lightningケーブル(2480円)とほぼ同じくらいの価格になりそうだ。
これは他にはほぼ用途がない専用ケーブルを大量生産することと、追加投資が1500円ほど高くなること、ケーブルを付属させたApple Pencilが1500円ほど値上がりすることを意味する。
関連記事
「iPad(第10世代)」を10月26日発売 ホームボタン廃止でUSB Type-C搭載、約6.9万円から
Appleが、第10世代の新型iPadを10月26日に発売する。従来のiPadで採用していたホームボタンとLightningを廃止した。カラーバリエーションはブルー、ピンク、シルバー、イエローの4色で展開する。価格は6万8800円から。Apple、第10世代iPad向けのカバーケース一体型キーボード「Magic Keyboard Folio」
Appleは、第10世代iPad用となるカバー一体型キーボード「Magic Keyboard Folio」を発表した。M2チップ搭載の新型「iPad Pro」、10月26日発売 約12.5万円~37.3万円
Appleが新型の「iPad Pro」を発表。11型と12.9型の2モデルで構成され、10月26日に発売される。Macでもおなじみの「M2チップ」を搭載しており、先代のM1と比べてCPUが最大15%高速化、GPUが最大35%高速化している。A15 Bionicチップを搭載した新型「Apple TV 4K」2モデルが登場 11月4日より発売
Appleが新型Apple TV 4Kを発表した。内蔵ストレージの容量と有線LANの有無で2モデル用意され、価格は税込み1万9800円からとなる。発売は11月4日からの見込みだ。Microsoftが「Windows 11 2022 Update」の新機能を一般公開 「Windows Terminal」がOS既定のターミナルに
うっかり見逃していたけれど、ちょっと気になる――そんなニュースを週末に“一気読み”する連載。まとめてチェックしましょう!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.