自分の環境にピッタリなUPSを選ぶ――重要なのは「供給電力」と「運転時間」 お勧めモデルも確認しよう!:転ばぬ先の「UPS」選び(第3回)(2/3 ページ)
PCやサーバ/NASを不意の停電から守ってくれる「UPS(無停電電源装置)」。過去2回の記事では、UPSを選ぶ上で必要な知識を解説してきたが、今回はその“まとめ”として、SOHO環境を想定して具体的にUPSを選んでいく。
バッテリーの駆動時間(バックアップ時間)も確かめよう!
過去の記事でも言及しているが、UPSは「停電時にPCやサーバ/NASのデータを保存した上で、安全にシャットダウンする(電源を切る)時間を確保する装置」である。機器のシャットダウンには、早くて数十秒、長いと数分~10数分ほど必要だ。UPSによっては商用電源(コンセントからの電源)が途絶えるとPCやサーバ/NASにシャットダウンを指示する機能を備えているが、全ての機器をこの機能でシャットダウンできるとも限らない。
そのため、UPSを選ぶ際は、最大出力容量はもちろん、機器に電源を供給できる「バックアップ時間」をどれだけ確保できるのかも重要な検討要素となる。必要なバックアップ時間は以下の手順で検討してみると良いだろう。
- ストップウォッチなど、時間を計測できるものを用意する
- UPSにつなぐ(予定の)機器を実際にシャットダウンしてみて、電源が完全に切れるまでにかかる時間を計る(※1)
- 一番時間が掛かった機器を基準として、シャットダウンに掛かった時間の少なくとも2倍を「バックアップ時間」とする
(※1)PCやサーバ/NASでは、念のためにOSの月例更新がある場合のシャットダウン時間を計測することを推奨する
「少なくとも2倍」としたのは、シャットダウンにトラブルが発生した場合の対応時間を確保する側面と、UPSのバッテリーが劣化した場合の「ゆとり」を確保する側面からである。もちろん、できることなら2倍超としたい……のだが、UPSの価格は最大出力容量やバッテリーの容量に比例して高くなる。予算と相談しつつも、「絶対にシャットダウン時間の2倍は確保する!」と心に決めて選定してほしい。
多くのメーカーでは、UPSの仕様書に最大負荷時(=最大出力容量)におけるバックアップ時間を記載している。また、一部のメーカーのWebサイトでは、UPSが出力する電力量(機器の総消費電力)を入力することでバックアップ時間を計算できるようになっていたり、出力別のバックアップ時間の目安を一覧形式で掲載していたりする。これらを参照した上で、必ず「公称のバックアップ時間>自分で算出したバックアップ時間」となるUPSを選ぶようにしよう。
シュナイダーエレクトリック(APCブランド)のUPSは、Webの製品情報の仕様欄にテキストボックスがあり、そこに機器の総消費電力(W)を入力するとバックアップ時間の目安を自動計算してくれる(標準では最大容量が入力されている)
バッテリーは「新品時の5割」になったら交換を
先述の通り、UPSのバッテリーは必ず劣化する。充電と放電を繰り返すごとに、満充電容量は減っていく。
UPSのバッテリーは、新品時の満充電容量の半分になった(≒バックアップ時間の余裕がなくなった)時点で交換することをお勧めする。
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